※本作はハードコアなセックスシーンなどがある成人向け作品です。プレビューのスクリーンショットにはそういったシーンは含まれませんが、子供は帰ってねんねしましょう。


官能表現と恐怖表現は切っても切れない縁にあります。まあ切っても切れないとは言っても、宗教的なテーマを用いストーリーの根幹に根ざしている場合もあれば、低予算ホラー映画を商業的に成功させるためにエロシーンを露骨に差し込む場合もありますから、作品によってその捉え方は様々です。ただ、今日まで多くのホラー作品で官能表現が用いられてきたことは事実です。

ですが、これだけポピュラーな手法にも関わらず、官能表現を用いたホラーゲームというのはあまり多くありません。家庭用ゲーム機という全年齢向けに配慮が必要なプラットフォームを考えればそうした作品が難しいのは当然のことでしょう。ですが、そういうプラットフォームでなければ尖ったテーマが大手を振って扱えます。かくしてPCゲーム市場は官能×ホラーの主戦場となったわけです。

もしあなたの満たされぬ性欲が、招いてはいけない恐ろしいナニカを引き寄せているとしたら、あなたはそれから逃げることはできるのだろうか?

ということでみなさんのまだ知らないかもしれないPCゲームの世界を紹介する『PCゲーム極☆道(きわめみち)』。今回は特別編として期待されるエロティックホラー『Lust from Beyond』のデモ版『Lust from Beyond: Scarlet』を一般公開に先立って開発からご提供いただいたので、プレビューします。

アランは自身の抑えきれない性欲とそれによる悪夢に悩まされ、カウンセリングを受けていた。もはや自分ではコントロールできない欲求に苛まれ彼は疲弊している。彼は藁にもすがる思いで自身の状態と、その欲求によって引き起こされたであろう恐怖体験を医師に語り始めた。

それは、彼と彼の抑えきれぬ性欲の謎を知るカルト集団の話であった。

現在、ポーランドのインディディベロッパーMovie Games内のチームMovie Games Lunariumが開発中のホラーゲーム『Lust from Beyond』。すでにその序章を体験できるデモ版『Lust from Beyond: Prologue』が公開されています。ですが、先日『Lust from Beyond』の発売延期が発表され、それを踏まえてデモ第2弾の『Lust from Beyond: Scarlet』が公開されることとなりました。

このショートデモでは、このデモの主人公であるアランがカルト集団に目をつけられ、人が触れてはいけないナニカへ繋げられてしまうストーリーを体験できます。このデモ版は英語のみですが、本編『Lust from Beyond』は日本語ローカライズも実装予定です。

本作は1人称視点で進行するホラーアドベンチャーであり、薄暗い劇場とそこに潜むカルト集団のアジト、そして生物的で不気味な異世界を探索することとなります。アイテムを集め仕掛けを解除していく今日ではかなりメジャーなスタイルのホラーゲームです。ただ、歩き回り仕掛けを解除するだけでなく、カルト信者や化け物との戦闘も用意されています。(このデモではカルト信者との戦いのみ。本編では化け物との戦闘もある。)

さて、本作の大きな特徴であるのがその官能表現です。主人公アランは彼の内に潜む欲望が良からぬナニカとつながっていることをカルト集団に利用されてしまいます。カルト集団は彼に性欲を高ぶらせることでそのナニカを現世へと呼び寄せようとしているのです。

性欲とつながるナニカを信奉するカルト集団は、官能を崇拝する危険な集団です。彼らは自身の悲願と信仰のためならば人の命さえも奪ってしまう。死体が辺りに転がるアジトで、アランはカルト信者との性行為を強制されます。そしてオーガズムの瞬間、彼は化け物がうろつく異界へと飛ばされてしまうのです。

本編ではいわゆるハードコアなシーンもある。

アダルトゲーム顔負けの強烈な官能表現に驚いてしまいます。モザイクオンオフを切り替える機能がありますが、どぎついセックス描写は入るし、カルト信者は半裸だし、化け物にも性器やら胸やらついてるし、モザイクがあっても当メディアでは掲載が難しいでしょう。ただ、本作はなにもこの作品をアダルトゲームとして売りたいわけではありません。あくまでこのゲームはホラーゲーム、恐怖表現として官能表現を取り入れています。体験版ではまだまだその一端しか感じることはできませんが、人の持つ欲望の恐ろしさとその闇に潜む化け物を描き出そうとしているんです。

『Lust from Beyond』は作家H・P・ラヴクラフトや、アーティストのH・R・ギーガー、ズジスワフ・ベクシンスキーをリスペクトしていると公言しており、そうした偉大なる先人が描いてきた精神的恐怖、グロテスクな世界観を下敷きとしています。この表現を官能表現と合わせることで、この作品ならではの恐怖を描こうとしています。

薄暗い建物を探索する不安感はホラーゲームらしい雰囲気で、それがカルト集団のアングラさをより浮き彫りにしてくれます。館の中でカルト集団が性と官能を崇拝している恐ろしさは、リアルさえ感じるます。カルト集団に強要された性行為から発展する異界の描写や化け物のデザインはリスペクトした先人のエッセンスに官能描写を織り交ぜており、ゲームの雰囲気をぐっと盛り上げます。エロティックな描写そのものが恐怖と結びついているんです。

恐ろしいカルト集団に匿われ、自身の欲望に苛まれ疲弊するアランはどんな顛末を迎えることになるのか。そして、もう一つの序章『Lust from Beyond: Prologue』で登場したビクターは、アランとどのように関係していくのか?まだまだその物語の導入部分しか楽しむことはできませんが、ホラーと官能の組み合わせというある意味では王道のストーリーを楽しませてくれるだろうと期待を大きく感じました。

ただ雰囲気重視の作品ゆえに、この雰囲気をパズルや敵との戦闘が壊してしまうのではという不安はあります。カルト集団のアジトにパズルめいた仕掛けが用意されているのはわかりますが、異界にまであるのはなんだか違うような……。ゲームとしてこういう部分がないと楽しくないというのはわかりますので、ここは好みの分かれる部分になるかもしれません。いい塩梅にパズルと戦闘が挟まり、恐怖心を冷めさせない作りに期待したいところです。なんにせよ、完成が待ち遠しいゲームではあります。

今回プレイさせていただいたデモ版『Lust from Beyond: Scarlet』は近日の配信が予定されています(2020年10月2日配信予定でしたが、Steamの審査がずれ込んでいるようです)。気になった方はすでに公開されている『Lust from Beyond: Prologue』をプレイしつつ、もう1つのデモの公開を待ちましょう。

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