現在、日本には約300万人の外国人が在留している(2019年=293万3137人 法務省データ)。その数は右肩上がりで、都心部にとどまらず、地方でも外国人が増え続けている。忍び(忍者)の里として知られる滋賀県の甲賀地域(湖南市・甲賀市)もそのひとつだ。ウィズコロナ、アフターコロナの時代に、外国人と日本人がどう共生し、未来の日本を創っていくべきか――同地にある日本語学習広場「かみやんど」の在り方からその答えのひとつを探っていく。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部) 

*本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティ マガジン 「Oriijin(オリイジン)2020」からの転載記事「日本の「ダイバーシティ」社会に、外国人労働者は何をもたらすか?」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。

「かみやんど」の起点は日系ブラジル人たちの要望

 住民基本台帳をもとにした人口調査結果によれば、滋賀県の在留外国人は3万2995人(2019年12月31日現在)。前年同時期から12.8%の増加となっている。なかでも、ブラジル人が27.9%を占め、これは全国的に見ても高い数値だ。

 日本語学習広場「かみやんど」は、そうした滋賀県内の市町で外国人が5番目に多い「湖南市」にある。「かみやんど」創設者のひとりである黄瀬重義さんに、その誕生の経緯から尋ねた。

 「かつて、私が勤めていた『あすぱる甲賀』には、毎週土曜日の午後、外国人住民の子どもたちのための学習サポートの場がありました。それは、外国人のお母さん方の『子どもの学びの場をつくりたいけど、その場所がない』という相談を受けたことがきっかけでした。そして、2015年12月、数人の日系ブラジル人が私のもとにやってきて、『夜間中学をつくってほしい。学び直しの場がほしい』という声を発しました。それが、『かみやんど』の始まりです」

*公益社団法人甲賀・湖南人権センター「あすぱる甲賀」は、滋賀県の甲賀市と湖南市(発足当時甲賀郡7町)によって1999年に設立され、人権教育・啓発、福祉・就労、相談支援の取り組みを住民と行政で行った。2016年2月、解散。

*夜間中学とは、市区町村が設置する中学校において、夜の時間帯に授業が行われる公立中学校の夜間学級のことをいい、2020年現在、10都府県に34校が設置されている。文部科学省では、夜間中学が少なくとも各都道府県に1校は設置されるよう、その設置を促進している(文部科学省ホームページより)。

 夜間中学は、何らかの理由で勉強することができなかった人のための公立中学校における夜間学級だ。黄瀬さんにその設立を直訴した日系ブラジル人は、ニュースで「夜間中学」の存在をたまたま知り、「学びたい!」と思ったのだという。

 「すぐに夜間中学の設立というわけにはいきませんでしたが、学校でもない、塾でもない、公園で一息つくように仕事帰りに立ち寄り、外国人住民が学び合う…そんな場所でもいいのでは?と思いました。ポルトガル語で『道』を表す『カミーニョ』という言葉を、すでに歩んでいるという意味で進行形にすると『カミニャンド』になります。それを日本語っぽくひらがな書きで『かみやんど』とし、学びの場に命名しました」

黄瀬重義(きせしげよし)さん

黄瀬重義(きせしげよし)

1981年より小学校教師、2008年より公益社団法人甲賀・湖南人権センター「あすぱる甲賀」に勤務。現在は、湖南市総務部人権擁護課に在籍。福祉と人権のまちづくりについて自由に語る場「かふか夢塾」代表。滋賀幼年美術の会 会長。全国幼年美術の会 副会長。ライフワークは美術活動。最近では一日一点その日の心の赴くままに絵(「宙画/そらえ」)を描き、FBにアップしている。

 


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