各国の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)による市場競争力の維持・向上に取り組むなか、DevOpsの体制を強化し、ビジネス・開発・運用の三位一体でソフトウェアのリリースと改善のスピードを高めようとする動きも活発化している。
 こうした動きに追随できない企業は、デジタル技術の効果を巧みに使う新たな競合に、市場での地位を奪われないようDevOps体制の確立が急がなければならない。

 事業戦略に基づくシステムのリリースと改善の速度を上げるために、開発と運用を一体化させたDevOps体制の確立が必要であることは、かなり以前から指摘されていた。その必要性が、DXの潮流によってさらに増幅され、いまや、ビジネス・開発・運用のチームが三位一体となって商品(サービス・製品)の付加価値や顧客体験を向上させるサービスを開発し、展開し、改善を繰り返していかなければ、市場で勝ち残るのは困難とすらいわれている。こうしたなか、すでに海外企業の多くはDevOpsの強化に乗り出し、開発した成果物の品質向上や市場投入のスピードアップなど、会社の競争力アップにつながる効果を手にしているという。例えば、オーストラリアに本拠を構えるソフトウェア開発、アトラシアンが2020年2月に実施した『2020年DevOps トレンド調査』(*1)によると、調査に協力したソフトウェア開発者やIT部門の意思決定権者のほぼすべて(99%)が、DevOpsは組織にプラスの効果をもたらしていると回答したという(図1)。ちなみに、この調査に協力した回答者の半数が所属する組織は、3年以上、DevOpsに取り組んでおり、組織の経営幹部も経営課題としてDevOpsを認識しているという。

図1●DevOpsのプラス効果

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出典:アトラシアン『2020年DevOps トレンド調査』(*1)

*1 『2020年 DevOps トレンド調査』は、CITE Researchの協力の下、500名のソフトウェア開発者やIT部門の意思決定権者を対象にオンラインで実施された。

 その一方で、日本では企業によるDevOpsの取り組みは進んでいない。背景要因の一つは、日本企業の場合、事業部門(あるいは、ビジネスの現場)から出されたシステム開発の要求を、IT部門が受け取り、協力会社(ベンダー)に開発作業を委託するのが一般的なスキームであり、そのスキームがDevOps体制を組むのを難しくしてきたからだ。ただし、DevOpsの体制を組まなければ、ビジネスの現場から出された新サービスの立ち上げ要求にIT部門がタイムリーに対応できず、商機を逸してしまうリスクが大きい。また、そのような状態のままでは、デジタル技術を巧みに使い、顧客ニーズをとらえたサービスをすばやく展開してくる企業に市場を奪われてしまうおそれも強い。そのリスクを可能なかぎり低く抑えるには、DevOpsの遂行へと組織戦略の舵を切るのが不可欠といえる。

 幸いなことに、DevOpsで先行する海外企業でも、さまざまな課題を抱えており、すべてがDevOpsの完璧な体制を組めているわけではない。したがって、先行企業がどのような課題と対峙しているかを知っておけば、解決の方策を考え、後発の利を生かしたDevOpsを展開することも可能になる。


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