九州と朝鮮半島に挟まれ、玄界灘に浮かぶ国境最前線の離島、長崎県の対馬。今や韓国人観光客が大挙して訪れ、島の経済が潤う一方で、韓国人の横暴なマナー違反も常態化していた。現地ルポでわかった、テレビや新聞が報じない島民が頭を悩ませる「苦悩」と「現実」とは─。

 韓国人に人気の観光地になってから、メディアでたびたび「韓国化」が報じられる長崎県・対馬。

 今年2月には、18年に国際航路で対馬市へ入国した韓国人観光客が、初めて40万人を超えたことを同市が発表した。過疎化が止まらない人口約3万人の離島に、韓国人観光客が3000人も訪れる日もあるというのだから驚くばかりだ。それどころか、韓国人ガイドが、韓国人ツアー客に対して、


「いずれこの島は、韓国の領土になる」

 と吹き込んでいるという情報まで飛び込んできた。かつて「魏志倭人伝」や「日本書紀」に登場した歴史と文化が根づいた対馬で今、何が起きているのか─。

 その真相を探るため、梅雨シーズンの真っただ中、博多港から対馬北部の玄関口・比田勝港までフェリーに揺られること約6時間。乗船客の20人余りは日本人ばかりで、まだ韓国風情は微塵も感じられない。

 下船しても、朝方の町に島民や韓国人観光客の姿はなく、水を打ったように静まり返っていた。それでも比田勝港周辺を歩いていると、さっそく韓国語で書かれた案内が目につく。

 島内を回るためレンタカー店に向かうと、そこで思いがけない「洗礼」を浴びることになった。店に入ると、そこのスタッフは日本人客というだけでビックリしているのだ。さらに続けて、

「カーナビの言語が韓国語になっているから直してきますね」

 と言われ、ふだんから韓国人観光客をメインにしていることをあらためて実感する。

 レンタカーの準備を待っている間、気になったのはカウンターの上に置かれた旅行者向け注意事項の貼り紙だ。韓国語と日本語で〈許可なく写真を撮る〉〈体に触れる〉〈車に誘う〉と項目を挙げ、それらの行為をやめるように警鐘を鳴らしている。しかもそのイラストには、ランドセルを背負った女の子や、制服姿の女子学生が描かれていた。

 せわしなく働いてるスタッフとはタイミングが合わず質問できなかったが、いちばん下には〈対馬市・対馬市教育委員会〉と書かれ、過去に韓国人観光客との間で、何らかのトラブルがあったことを十分に想像させた。

 レンタカーに乗って、しばらく国道382号線を走っていると、大型観光バスと何度かすれ違う。どうやら午前10時頃から観光ツアーがスタートしたようだ。

 それにしても、そもそも韓国人旅行客は何を目的に対馬に来るのだろうか。島民の男性はこう説明する。

「博多の中洲みたいな繁華街や遊園地などのテーマパークはないので、観光地巡りと買い物ですよ。それ以外だと、対馬は山林が約9割を占めているので、トレッキング(山歩き)をしたり、日本有数の好漁場で釣りを楽しんでいる人も見かけますね」

 韓国から直線でわずか49.5キロの位置にある対馬が注目されたのは、2000年に韓国・釜山─対馬航路で旅客船の定期運行が始まってから。当初の観光客は年間1万人弱だったが、11年秋にJR九州高速船が開通し、1時間余りで対馬まで行けるようになると、たちまち「近場の外国」として人気の観光地に変貌。

 だが島民男性は、

「町なかですれ違うのは韓国人ばかりで、10年前には考えられなかった‥‥」

 と、とたんに苦い顔を見せるのだった。

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