国内外でプレイヤーの心をつかむ『あつまれ どうぶつの森(以下、あつ森)』。その人気は日本や欧米にとどまらず、中国でも隆盛を極めている。昨年12月に正規版Nintendo Switchが発売されたこともあり(関連記事)、その影響力は“官”民に及ぶほど。中国ではさまざまな公的機関が『あつ森』を用いたPRを行っており、市民の注目を集めているようだ。その様子をご紹介しよう。

なお『あつまれ どうぶつの森』は、中国向けには正規発売されていない。ただしゲーム内には中国簡体字に対応しており、海外版を入手したユーザーによってプレイされている。

 

バーチャル防火訓練

中国消防の公式Weiboは3月20日、『あつ森』を使って市民に防火を訴えるスローガンを投稿した。ポストには「可燃物を火元から離しておきましょう」「森をしっかり火から守りましょう」「事前に水を得られる場所を確認しておきましょう」「友だちと火の元の安全について話しておきましょう」といったポイントが記されており、それぞれの文言にちなんだ『あつ森』のスクリーンショットが添えられている。焚き火やキャンプファイアなど、DIYで作れる「火の元」インテリアを利用したユニークな防火キャンペーンだ。同じく添付された画像の中には広場の掲示板を写したものもあり、そこには「島は私のおうち。火災防止はみんなが頼り」との標語が書かれている。メッセージ性もさることながら、本当に『あつ森』のコミュニティに存在する町内掲示板のような生活感にほっこりさせられる。

 

バーチャル消防訓練

これに続いたのが3月26日、上海消防の投稿だ。こちらで投稿されたクリップは防災のためのマナー向上を訴える作品となっている。映っているのはマイデザインで作ったと思われる「消防道路」。しかしその上には長靴や空き缶などのゴミが散らかり、自転車も駐輪スペースから外れたところに放置されてしまっている。これではいざというときに緊急車両が通れない。そこに駆けつけるのが消防士。こちらもマイデザイン仕立てのハットとワンピースを身に着け、黄色い安全ヘルメットと耐火服風の出で立ちだ。手際よく道ばたの障害物を片付け、「消防道路は命の道路。道を占有してはいけません」とのメッセージを伝えてくれる。

 

バーチャル感染症対策

そして本日4月1日、ユニークな投稿をしたのが上海公安局の公式Weiboだ。こちらで訴えられているのは感染症対策。動画はドードーエアラインに乗って島の外からプレイヤーがやってくるところから始まる。上空から見下ろした島でひときわ目を引くのが、島の地面に貼られた「外防输入 内防反弹」のデザインだ。これは外国から感染を持ち込まず、国内でも防疫を整え再発を防ぐことを意味するスローガン。渡航者が飛行場から出てくると、そこには木製の柵で仕切られた通路が待っている。その奥で出迎えるのはふたりの島民だが、かたや黒いキャップに制服をまとった公安局員姿、もうひとりは白い医務服で検疫官風の格好だ。どちらもしっかりマスクを着用している。外から訪れた島民はまず局員の求めに応じてマスクとゴーグルを装着。検疫官に体温を測定してもらい、ぶじ上海入りを果たすことができた。

その後、検閲官から「14日間の隔離措置」に従うように指示を受けている。これは実際の上海市でも行われている対応だという。中国では国内の新型コロナウイルスの感染が鎮静化しつつある一方、帰国した留学生などがウイルスを持ち込む事例が急増している。感染再発防止の重要な局面にあって、ポピュラーな『あつ森』を使い改めて市民意識の向上を訴えたのが今回の投稿のようだ。コメント欄には親しみやすいプロモーションを好意的に受け止める声のほか、新たに引っ越してきたどうぶつの家を柵で囲った画像を貼り「うちでも隔離措置とってます」と申し添えるブラックなリアクションも見られた。公的機関のトレンドゲームを用いての呼びかけ、幅広く受け入れられているようだ。

ちなみに中国の『あつ森』トピックでいえば、“官”だけでなく“民”からもホットな取り組みが注目されている。マイデザインで作成したQRコードを経由し、WeChat Pay / AliPayといった電子決済で島主にリアルマネーを送れるというシステムだ。島に遊びにきたプレイヤーは好みのカスタムデザインを配布するアーティストに対し、任意で「投げ銭」ができるという。お気に入りのデザイナーに積極的なお布施を送れる仕組みができれば、より盛んなクリエイティビティが生まれてくるかもしれない。ただし、ニンテンドーアカウント規約の8条禁止事項には「ニンテンドーアカウントサービスまたはショッピングコンテンツに関連して利益を得ることを目的とする行為(ショップ残高やゲーム内通貨等を現実の法定通貨で売買する行為を含みます。」との記述があるので、このような行為は規約に抵触しえることを留意されたい。

もし隣国の『あつ森』事情を覗いてみたい人は「动物森友会」のタイトルでネットを検索するといいだろう。節々からアナーキーさも見て取れるが、日本のマンガ・アニメをモチーフとした秀逸なマイデザインも多く、島民としての知見がよりいっそう広まるはずだ。


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