名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)に収容されていたスリランカ人女性(33歳)が亡くなった問題。支援団体によると、女性は体調不良を訴えていたが、「入管に見殺しにされた」という。上川陽子法務大臣は、死亡した経緯について調査するよう、出入国在留管理庁に指示しているが、第三者による調査でないことから「結論は目に見えている」と疑念を抱く声もあがっている。

支援者「一回も点滴を打ってもらえなかった」

スリランカ人の女性は3月6日、名古屋入管の施設で亡くなった。

支援団体「START」(外国人労働者・難民と共に歩む会)顧問の松井保憲さんによると、この女性は昨年8月、オーバーステイ(超過滞在)で、名古屋入管の施設に収容された。

その後、帰国できない事情が発生したことから、仮放免(一定の条件の下で解放されて、施設外での生活を認めること)の申請をおこなっていたが、入管に聞き入れてもらえず、何度も帰国するようプレッシャーがかけられていたという。

「ストレスが溜まっていたと思う。まるで厄介者扱いだった」(松井さん)

今年1月に入って、食事をほとんどとれなくなり、手足がしびれてはじめて、それが全身に広がっていったという。1月下旬からは、嘔吐を繰り返すようになり、1月28日には吐血して、監視カメラ付きの部屋(単独室)に移された。

それでも、入管は、内科の治療はおこなわず、結局、点滴を一回も打たれることなく、亡くなったという。

松井さんは3月26日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見して、「本当に痛ましい事件だ」「まさに見殺し」と訴えた。そのうえで、政府が国会に提出した入管法の改正案や、入管の対応について、次のように批判した。

「(入管は)帰国できない事情がある外国人の声に耳を傾けて救済しようとするのでなく、厄介者扱いして、追い返すかたちで入管法を改正しようとしている。今回の事件も、命の大切さがわかっていたら、現行の入管法でも、十分に女性を救うことができた。

入管は、今回の事件の真相究明を公正な第三者委員会のもとでおこなって、1日でも早くことの真相を公表し、根本的に考え方を改めて、困難の中で日本社会で必死に生きている多くの非正規滞在者を救済する方針に転換すべきだ」(松井さん)

外国人問題に詳しい弁護士「入管は『焼け太り』を狙っている」

政府の「改正案」について、外国人問題にくわしい指宿昭一弁護士は「改悪だ」と指摘する。国内外から問題とされている無期限・無令状の収容については改善されないどころか、送還を拒否した人には刑罰を課したり、監理人を通じて入管の権限を強化しようとしているからだ。

「日本には『焼け太り』という言葉がある。入管は、みずからの誤った政策によって、たくさんの死者を出しておきながら、それを改善するのではなくて『焼け太り』を狙っている」(指宿弁護士)

指宿弁護士は、(1)適正に在留許可を出すこと、(2)送還ができない人については、仮放免にすること――を徹底すれば、「法改正の必要はまったくない」と指摘した。

外国特派員協会の会見では、海外メディアの記者から質問が飛んだ。「スリランカ人の事件は、国に対する訴訟を起こすことは可能ではないか」という質問に対して、指宿弁護士は次のように答えていた。

「遺族が訴訟を決意すれば十分可能で、違法性が認められる可能性が高い。ただし、日本の裁判所は、こういうケースで、国にとても甘く、遺族に厳しい。

名古屋入管は、女性の死亡直後、日本のメディアに対して、『入管は適切に対応していた。問題ない』というコメントを出している。

(上川)法務大臣が、この死亡事件についての調査を、第三者機関ではなく、入管庁自身に指示している。私は超能力者ではないが、結論を知っている。『問題はなかった』だ」(指宿弁護士)

スリランカ女性の死亡「超能力者でなくても、結論わかる」 入管による調査に疑念の声

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