東京証券取引所が2022年に予定している市場区分の改定(プライム市場・スタンダード市場・グロース市場)が、すでに日本の投資家の間で浸透しているESG投資にとってどのような影響をもたらすのか注目されている。

  金融庁は4月6日のプレスリリースで、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」による提言を取りまとめ、投資家と企業の対話ガイドラインの改定の主なポイントの一つとして「プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任」および「TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実」を挙げている。

  ブルームバーグ端末の機能を使って、ESGの中でも特にガバナンスに注力している日本企業のパフォーマンスを探っていく。

日本のESG指数のパフォーマンスは他国の同等指数よりも上回っている

  指数の観点から見ると、上の図のように、日本におけるESG指数は米国やグローバルに対する同等の指数に比べて大きくリターンを上げていることが分かる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がパッシブ運用に選定しているMSCIジャパンESGリーダーズ指数と、米国およびグローバルに対する同指数をブルームバーグ端末で比較する場合の手順は以下の通り。

  • 左上のコマンドラインに“japan esg net”と入力し、「M4JPES Index – MSCI Japan ESG Leaders Net Total Return Local Index」を選択
  • ラインチャート画面GPを開き、画面右上にある下向き矢印をクリックし「チャートの編集」をクリック
  • 左手の「直近価格」の横の鉛筆マークをクリックし、「スプレッドまたはレシオ」の黄欄を「除算(/)」に設定
  • 右側の比較対象の銘柄の欄に“topix 500”と入力してTPX500 Indexを選択し、右下の更新ボタンをクリック
  • 上段赤帯の「編集」から「標準化」をクリックし、M4JPES Index / TPX500 Indexの横のチェックボックスをクリックし更新、さらに標準化ボックスをクリックし「変動率」を選択
  • 次に、左上のコマンドラインに“us esg net”と入力し、「USSLM Index – MSCI USA ESG Leaders Index」を選択。左手の「直近価格」の横の鉛筆マークをクリックし、「スプレッドまたはレシオ」の黄欄を「除算(/)」に設定し、右側の比較対象の銘柄の欄に“spx”と入力してS&P 500 Indexを選択し、右下の更新ボタンをクリック
  • 上記と同じ動作を MSCI World ESG Leaders Index および MSCI ACWI Indexに対して繰り返す
  • 左上の期間の並びにある下向き日印をクリックし、日足3年に設定する。ショートカットは{G #FFM 1009<GO>}

  結果を見てみると、MSCIジャパンESGリーダーズ指数のリターンは、過去三年間でTOPIX500を約9%上回っているのに対し、MSCIワールドESGリーダーズ指数ではグローバルのベンチマークを4%上回りMSCI米国ESGリーダーズ指数ではS&P500を2%上回っていることから、日本におけるESG指数のパフォーマンスは高い水準にあると言える。

  コロナ禍においてESG関連の上場投資信託が買われる傾向にある中、世界的にもサステナブル投資に対する関心はますます高まりを見せている。殊に、日本では15年のコーポレートガバナンス・コードの施行、およGPIFの責任投資原則への署名やESG指数に基づいたパッシブ運用の開始など、ESG投資を後押しする機運が大幅に上昇している。

  今回、金融庁の提言でも示された独立社外取締役を3分の1以上選任しているTOPIX銘柄をポートフォリオとして、株式パフォーマンスにどの程度影響があるのかについても端末の機能を使って分析していく。

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株式スクリーニング機能EQSを用いた独立社外取締役比率と株式パフォーマンスの分析

  • 株式スクリーニング機能EQSを開き、「条件追加」の欄に“tpx”と入力しTOPIX – 指数を選択
  • 同じ欄に「独立取締役」と入力して独立社外取締役比率を選択し、右手の直近年の欄に“2020”と入力
  • 項目名の下の黄欄で「>= 以上」を選択し、その下の欄に数字の“33”を入力し、エンターキーを押す
  • 右下の結果ボタンをクリックし、画面上段の「分類」の欄で「銘柄」を選択

  結果を見ると、株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(3563)の独立取締役比率が88%と最も高いことが分かる。ソニーグループ株式会社(6758)や新生銀行(8303)はそれぞれ75%、71%となっており、金融庁が推奨する3分の1を大きく上回っている。

  独立取締役比率が3分の1以上の企業でポートフォリオを作成する手順は以下の通り。

  • EQSの結果の画面の上段赤帯の「エクスポート」から「ポートフォリオ」を選択
  • 適当なポートフォリ名を入力し、2015年からの分析にするためエクスポート日を“01/01/2015”に設定、通貨をJPYに変更
  • 右下の選択ボタンをクリックした後、コマンドラインにBBUと入力し、ポートフォリオの作成状況が「完了」になるまで待つ

  次に、作成したポートフォリオのパフォーマンスを見るための手順は以下の通り。

  • コマンドラインに“portfolio”と入力し、ポートフォリオ&リスク分析機能を開く。ショートカットキーはPORT
  • 左上の黄欄をクリックし、[ソース追加]を選択。「ポートフォリオ」をクリックして先程名前を付けたポートフォリオを選択し、選択ボタンをクリック
  • その横の「対」の右側にある黄欄をクリックし、「指数」をクリックして“topix” と入力し、Topix指数を選択
  • 画面の「パフォーマンス」のタブをクリックし、その下の「トータルリターン」をクリック
  • 右上の期間の開始日を01/01/2015に設定し、しばらく待つ
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PORTを実行し、TOPIXに対して独立取締役が33%以上の企業を追跡する

  独立社外取締役比率が33%以上のTOPIX企業は、過去5年間で株式リターンが2倍以上である一方、TOPIX全体のパフォーマンスは5年間で約60%のリターンとなっている。金融庁による独立社外取締役比率の底上げが実際に株式リターンに寄与することの裏付けとなる。

  ブルームバーグ端末上で見られるその他のガバナンス関連データ項目を検索するには、端末上でESGデータ検索画面ESGDを開き、左手の“ESG Pillar”の下のGovernanceのチェックボックスをクリックすると確認できる。また、BI ESG画面からブルームバーグ・インテリジェンスチームの画面も閲覧可能。

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