だんだんと涼しくなってきました。食欲の秋、旬の魚や果物などが楽しみな季節ですね。今回は「和食」の配膳について考えていきます。


問題に挑戦!

問題
和食の配膳で正しいものを選びなさい。
(慶應義塾中等部 2016年 改題)

ごはん、おみそ汁、そして焼き魚、煮物、漬物の並べ方の問題です。

パターンが、3つ示されています。

“みそ汁は、関東ではごはんの右だけど、関西では左奥に置く”など、並べ方には、地域によってや個人個人で違いはありますが、入試問題では、和食の基本的なマナーとされる並べ方を聞いています。

和食の歴史や文化に詳しい京都府立大学文学部和食文化学科、上田純一特別専任教授に、“この問題をどう解くのか”、考え方を聞いてきました。

ごはんは左手前 なぜ?

上田さん
「基本的には、ごはんというのは手前の左側が定位置です。その理由については諸説あります」

平安時代の貴族の公式の宴会では、大きな卓を囲んで大勢で食事をしていました。卓の上には数多くの料理が並べられ、個別に配膳はされていませんでした。

その後、武士が中心の時代に。それに伴い、食事の様式も、鎌倉時代から室町時代にかけて、ひとりずつの「お膳」に料理が載せられる「銘々膳(めいめいぜん)」と呼ばれる形式が広まりました。

上田さんは、この「銘々膳」の器の並べ方が、今に残っているといいます。

武家社会の“右利き文化”

そのうえで、ポイントとしてあげたのが、武家社会の“ある文化”です。

上田さん
「“右利き文化”の反映。武士は武芸というものを最優先に考えます。左利きは、刀を使ったり弓を使ったりするとき矯正の対象であったというふうに考えられます」

右利きだとお箸を持つ手が当然、右に。ごはんの器を頻繁に持ち上げるのは、左手に。このため、ごはんは左手前になりました。

正解は…

ということで、入試問題の選択肢(3)は不正解。
残るは(1)と(2)、おかずの並べ方はどちらなのでしょうか。

上田さん
「芋の煮つけ、さらには漬物、そういうのも小さなお皿ですから、手に持って食べるわけです。やっぱり左側にある」

一方で、焼き魚などの主菜は大皿に盛られ、持ち上げる必要がないために右の奥になったといいます。

ということで、答えは(1)の配膳でした。魚が左を向いているのも右利きを意識しているといいます。

上田さん
「置いたままお魚を、左の指で頭を押さえながらそして右の箸で食べるわけです。左利きの方を想像して考えてみると分かりますけれど、非常に難しいです」

変わる和食文化

上田さん
「和食がこの配置になるまでには、非常に長い歴史のいろいろな要素が加わってできています。歴史を理解しつつ、マナーのひとつとして知っておいていいとは言えます。ただ、それだけではいけないんです。食も文化ですからどんどん変わっていく。変わらないほうがおかしいんです。つまり、ひとつのマナーだけが絶対的なものではないということも、同時に心に置いておいてほしいと思います」

和食の一般的なマナーとされる配膳は、右利きの人にとってみれば、食べやすさを追求した合理的な形といえるかもしれません。

ただ、上田さんは、長い歴史のなかで出来た和食の配膳の形を理解しながらも、時代にあわせて変わる食文化を楽しんでほしいといいます。もちろん、左利きの人は自分で食べやすいように配置してほしいと話していました。

自分にあった食べ方で食事を楽しみたいですね。

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