「ニューノーマル時代」に求められるマナーとは(2020年8月、時事)

(オトナンサー)

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止策として、新生活様式が発表されています。それに伴い、公共マナーや日常マナー、ビジネスマナーなどを含む、さまざまな状況におけるマナーにも変化が生じています。

 もともと、マナーは互いに相手の立場に立ち、互いがハッピーになるものですから、TPPPOに応じてその型は変わっていいもの。ですから、今回の新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う新生活様式もそれぞれの状況下に応じて、その型が変わるのは自然なことです(「TPPPO」とは「Time=時」「Place=場所」「Person=人・相手」「Position=立場」「Occasion=機会・場合」)。

時代や状況に応じて変わるマナー

 今年のクリスマスはご自宅で過ごす方も多いようですが、ホテルなどでのバイキングスタイルのサービスも今年はそれを中止したり、手袋を着用して行ったりするなど各店舗がさまざまな取り組みをしています。

 さて、ここで皆さんにクイズです。バイキングスタイルで食事をするとき、後ろに立っている人にお皿を手渡して差し上げるのは、思いやりのマナーとしてOKでしょうか、NGでしょうか。

 もともと、自分のお皿は自分で取るというのがマナーの型です。しかし、今までの日本では、よかれと思って他の人の分までお皿を取って差し上げたり、さらには、料理を盛り付けて差し上げたりする風景をよく目にしてきました。その方が親切な感じがしたり、気の効く人と評価されたりしていた現実は否めません。

 ところが、これが現在は感染症の観点から、手と手でのやりとりを極力控える方針でありますから、他人のお皿を取って差し上げたり、料理を取り分けたりすることが日本でもマナーとは言えない時代となりました。

 例えば、食事をするときのナプキン。これは膝の上にかけるとされ、首からかけるのはマナー違反だとか、ましてや、肩にかけておくなんてとんでもないとも言われてきました。しかし、このナプキンの歴史をたどれば、もともとは肩にかけていたもの。理由は、ナイフやフォークなどのカトラリーを使用せずに手で食べていた頃、汚れた手を肩にかけたナプキンでふいていた時代がありました。

 このように、マナーは決まり事やルールではなく、時代や状況、立場などのTPPPOに応じて変化するものなのです。

 前述のナプキンの話ですが、これは臨床心理士でアンティークのご専門家としてNHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」(12月28日放送)で美術協力もなさった青山櫻さんの最新刊「気品のレッスン」(学研プラス)に書かれています。英国の文化人類学の研究所ヒストリックロイヤルパレス研究員で食文化の歴史やレシピ、食べ方の研究をなさっていらっしゃる方からの情報です。

 このように、マナーの型はその時代や状況に応じて変化していくものであり、こうでなければならないと決めつけられるものではありません。また、その型がその場にいらっしゃる方々にとって心地よいものであれば、それぞれの状況などに応じて、いくつもの型が存在してもいいわけですね。

 一方で、プロトコルというものはその型が共通認識として決まっています。ですから、マナーとプロトコルは異なるものなのです。今までの日本における認識はマナーをしきたりや慣習だと誤解していたことは否めません。繰り返しますが、マナーは決まりきったルールではありません。マナーは相手の立場に立ち、相手を思いやる心「愛」です。その心、気持ちを形で表現するコミュニケーションです。

 従って、それに一つの答えはありません。ただ、マナーの心である相手への思いやりの心。これは世界共通のマナーの形。それをどのような型で表現するかは国やそれぞれの状況、立場などによって異なっていいわけですね。時代は変わります。ニューノーマル時代のマナーは皆さんが安全で健康に心地よく生活できるよう、お互いに思いやりの気持ちを表現していく心重視のマナーと言えましょう。

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