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この記事では、裾上げのシングルとダブルの違いや、裾上げの長さの目安について解説します。自分で裾上げをする方法についても詳しく紹介するので、参考にしてください。

裾上げの「シングル」と「ダブル」の違い

一般的なスラックスの裾というと、ダブルよりもシングルをイメージする方が多いのではないでしょうか。日本では、ビジネススーツの裾上げはシングルが主流となっています。しかし、シングルでなければいけないという決まりがあるわけではなく、好みに応じてダブルを選んでも問題はありません。実際、欧米では多くのビジネスマンがダブルでスラックスを裾上げしています。

スーツの歴史を振り返ると、もともとスラックスの裾はシングルのみでした。ダブルの裾上げが生まれた経緯には諸説ありますが、19世紀末に英国貴族が雨や泥で汚れないように裾を折り曲げたことから生まれたとする説が有力です。基本的に、裾を折り曲げて汚れを防ぐというのは屋外のみで必要な工夫です。つまり、ダブルの裾上げは屋外で活動するカジュアルなシーンに適した仕様であり、シングルよりもカジュアル度が高いのです。

ダブルの裾上げが生まれた背景からも推察できることですが、フォーマルスーツはシングルで裾上げされています。なお、タキシードや燕尾服などのスラックスには側章が付いており、そのことがシングル仕様にせざるを得ない理由ともなっています。

側章とは、スラックスの両側面に付けられたシルク素材のテープのことです。フォーマルスーツのスラックスにはこの側章が付けられているため、裾をきれいに折り返すことができません。こうした事情もあり、シングルがフォーマルでダブルがカジュアルというイメージが現在では定着しています。

ちなみに、側章の起源は18世紀末ごろにナポレオンが軍服のパンツの側面にテープを付け、兵士の所属を区別したことにあると言われています。また、かつてはズボンの脇の縫い目を見せるのはマナー違反とされており、側章には縫い目を隠すという役割もありました。この側章は燕尾服では2本、タキシードでは1本付けるのが正式だとされていますが、これは日本特有の習慣です。実際には、燕尾服の側章は2本ではなく、太いものを1本付けるだけで構いません。

スラックスをシングルで裾上げするメリットとしては、脚が長く見えるということが挙げられます。また、あらゆるシーンで通用するシングルスーツとの相性が良く、合わせれば全体のシルエットがスマートにまとまります。そして、日本のビジネスシーンでは多くの人がシングルで裾上げしているため、シングルを選んでおくのが無難だという事情もあるでしょう。

先述のとおり、ダブルの裾上げにはカジュアルな印象があり、フォーマルなシーンにはシングル仕様が適しています。ダークスーツをシングルで裾上げしておけば、結婚式などのフォーマルシーンでも着用できるでしょう。

一方、ダブルでの裾上げにはクラシカルな雰囲気を強調できるというメリットがあります。フロントボタンが2列に並んだダブルスーツや、ベストを加えたスリーピーススーツなど、近年は英国調のスタイルが人気を集めています。これらの英国調スタイルは概して厳格な空気が漂うため、重厚感のあるダブル仕様が適しているでしょう。プレーントゥやストレートチップなどの格式が高い革靴に合わせると、全体の雰囲気はさらに引き締まります。

ダブルの折り返し部分を「かぶら」といいますが、かぶらはホックまたは糸で留めることになります。ホックで留める場合、かぶらの内側にたまった汚れを取り除くのは簡単ですが、上からのぞいたときにホックが見えて不格好な印象を与えます。裾をスマートに見せたい方は、かぶらを糸で縫い付ける仕立て方のほうが良いでしょう。

ちなみに、シングルとダブル以外に「モーニングカット」という裾上げもあります。モーニングカットとは、裾の前方を短く、後方を長くする仕上げ方のことです。モーニングカットで仕上げれば、スラックスの裾が靴の甲に乗ってたるむことがないので、美しいシルエットを保つことができます。昼間の正礼装であるモーニングコートのコールパンツがこの方法で裾上げされることが呼び名の由来です。シングルよりもフォーマル度の高い仕様ですが、ビジネススーツに採用される場合もあります。

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