【全画像をみる】1日1食菓子パンで生活、コロナ禍の技能実習生の叫び「借金のまま帰れない」

匿名を条件に、コロナ禍で解雇されたベトナム人技能実習生が取材に応じた。仮に名前をアインさん(24歳)とする。

「日本に行ったら成長できるし、お金も稼げる。自分は3年間働いて、500万円を持って帰った」

送り出し機関に勤める従兄弟に「日本は稼げる」と勧められ、技能実習生として日本に行くことを決意。

技能実習制度は、開発途上国に日本で学んだ技能や知識を持ち帰り、それを母国で生かしてもらおうという国際貢献を目的とした制度で、82職種150作業(2020年10月21日時点)が対象になっている。アインさんは機械加工職種の普通旋盤作業の技能実習生として来日した。

日本での生活や日本語を学ぶ1カ月間の入国後講習を経て、2月から埼玉県内の工場で働き始めた。そこでは、社長を含め日本人が3人と、30人程度のベトナム人が働いていた。

外国人労働者は皆、ベトナム人だった。

技能実習生はアインさんを含め2人で、ほかのベトナム人労働者の在留資格は、大卒程度の学歴や一定の実務経験がある者を対象とした在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称、ギジンコク)だった。

仕事は皆同じで、何も印刷されていないボールペンを機械に入れ、機械から出てきたボールペンにブランド名などがきちんと記載されているのかを確認し、それを箱に詰める作業。朝の8時半から、昼休憩と15時からの15分の休憩をはさみ、21時まで続いた。

長時間労働は苦ではなかった。アインさんは言う。

「長時間労働は残業代も稼げるので、むしろ良かったです。ただ、指導役のベトナム人のいじめに耐えられなかった」

コロナで仕事が減り、解雇

ある日、機械が故障し、その確認を先輩のベトナム人に指示された。機械に手を入れた瞬間、先輩ベトナム人が機械を起動した。指が巻き込まれ、8針縫う怪我を負った。

病院に同行した日本人の社長はアインさんにこう話したという。

「なぜこんなことになったんだ。手間も(労災の)保険代もかかる」

働き始めた当初は残業も多かったが、コロナの影響でボールペンの需要も落ち、仕事が激減。

4月になると昼の12時で作業は終わった。職場の雰囲気もギスギスしていた。

アインさんは「監理団体」に相談した。監理団体とは、技能実習生を企業に紹介し、さらに技能実習の受け入れ企業での技能実習が計画通りに遂行されているかなどを確認する、技能実習の監督役の組織だ。

技能実習生は皆、この監理団体を通じて企業での技能実習にあたり、監理団体には技能実習生を保護する責任がある。

監理団体については、過去に筆者がBusiness Insider Japanに書いた記事を参照されたい。

アインさんの求めに、監理団体のベトナム人通訳が会社を訪れた。監理団体は本来、1カ月に1回以上の頻度(技能実習1年目)で企業を訪問し、実習が計画通り進められているかを確認したり、実習生の相談を受けたりしなければならない。

しかし、監理団体のスタッフが会社に訪れたのは初めてのことだった。

アインさんは言う。

「いじめの事実は確認してもらいましたが、先輩社員と仲良くできないなら、ほかで働いたほうがいいと言われました。ただ、ほかに仕事が見つからない場合、帰国してもらいますと」

アインさんはコロナ禍の今年4月、受け入れ企業を解雇された。人間関係だけではなく、仕事が減っていることも理由の一つだったという。

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