新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で旅行需要が落ち込む中、利用者数を伸ばしている宿泊形態がある。海外からの帰国者の自主隔離物件としての宿泊施設利用だ。今年に入ってから、取引先に隔離物件の手配を求められた旅行会社も少なくないだろう。しかし、公共交通機関の利用規制など注意点も多く、手配は煩雑だ。

 matsuri technologies株式会社は今年2月、他社に先駆けて、一時帰国者に隔離施設として物件を提供する「一時帰国.com」のサービスを開始し、8月までに1,000組以上の帰国者の手配を行っている。同社システム事業部で部長を務める加藤拓真氏に、サービスの特徴や今後の展開について聞いた。インタビューは9月1日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

━まず、matsuri technologiesの事業内容について教えてください

加藤拓真氏(以下敬称略) 弊社はインバウンド需要を受け入れる民泊を運用する会社としてスタートした。社名「matsuri technologies」の由来は、「祭り」という言葉が海外の方にも受け入れられやすいということと、民泊オーナーの多くが利用するAirbnbの運用をテクノロジーで楽にしていきたい、という思いを込めたものだ。

 会社設立は2016年8月で、民泊に関する法律が定まる前の段階だが、民泊という言葉が徐々に浸透し、需要が右肩上がりに増えてきていた時期だった。Airbnbのルールでは、宿泊者からの質問に対して24時間以内に返信が必要とされているが、時差の関係もあり、人力で対応するには限界がある。その課題を解決するためのシステム開発をしつつ、自社所有の民泊物件の運用も行うところから事業を開始した。設立時の社員数は10名未満だったが、2020年9月現在60名まで増えている。

━民泊のシステム開発や運営から一時帰国.comのビジネスを始めたきっかけは何ですか?

加藤 帰国者の隔離要請が始まった当初は、ホテルなどの宿泊施設も受け入れを行っておらず、自宅に同居する家族がいる場合など、隔離期間中の滞在先に不安を覚える帰国者が多かった。加えてインバウンドの旅行客が激減していた状況もあり、今年2月より、自社で扱う民泊物件を帰国者向けに運用するサービスを開始した。

 2月の時点では競合がなく、サービス開始に合わせて広告を打ち出したため、反響は大きかった。空港から宿泊施設までの移動も含めたパッケージでの販売を行い、8月末までに約1,000組、1,500名以上の手配を行った。宿泊日数としては、最短でも隔離期間である14日以上だが、マンスリーマンションを契約して1ヶ月近く滞在するケースもある。

クレジットソースリンク