皆さま初めまして、株式会社TBWA HAKUHODOのソーシャルリスニング組織65dB TOKYO (65デシベル トウキョウ)です。今回はSNSから見えてくる世の中の動きについて、お話しさせてください。

世界は、予告なく劇的に変化してしまいました。

もともとVUCAと呼ばれていた先がわからない中で、コロナという脅威。

不安に拍車がかかり、もはや明日すら予測できない状況です。未来が予測できなければ、つくるしかありません。

この未来づくりのヒントを探る手法に「調査」がありますが、時間がかかるプロセスです。世の中のスピード感を考えると、結果が出た頃には人々の価値観が大きく変わっている可能性があります。しかし、人々の現実をスピーディに把握できる調査手法があります。

それはSNSに広がる人々の会話を分析する「ソーシャルリスニング」。

2020年6月30日、私たちは、この調査・分析手法を駆使し、社内の有志メンバーと株式会社PR TIMES様、一般社団法人FUKKO DESIGN様とともに、コロナ禍で深刻な打撃を受けている観光業界に向けて、『新しい時代に対応する観光復興ガイドーSNSから見える企画のタネー』を発表しました。

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今回はこの「観光復興ガイド」を元に、「ソーシャルリスニング」を詳しく

ご紹介いたします。

人々の本音が飛び交うSNSの世界。

SNSは今や人の行動・心理を紐解くための重要なデータソースです。

投稿内にある言葉や感情は、通常の調査では抽出しづらい一次情報であり「生声」だと思っております。

コロナによって激しく価値観が変化する中で、この生声はとても重要です。

またこれらの投稿は、定性面と定量面を兼ね備えたデータです。

事実を投稿量で正しく理解・把握しつつ、投稿内容を読み解くことで、これからのニーズなどが抽出できます。この「今」と「少し先の未来」がわかることで、適切な戦略立案や示唆を提示することが可能になります。

今と未来の兆しを導き出すプロセス。

観光復興ガイドを使ってプロセスを説明します。

まずは、SNS分析ツールを活用し、コロナウイルスが発生し始めた1月から6月まで期間で、「旅行」「旅」「観光」を含むTwitter投稿から話題量の推移を抽出しました。特に話題になった投稿に着目することで、世の中の大きな兆候を

定量的に捉えていきました。

そしてコロナが日本の生活者の行動に大きく影響を与えはじめた2020年春を参照期間と設定し この時期の”旅行”に関するTwitter投稿を抜き出すと874万件が取得できました(RTを除いたユニーク件数)。昨年同時期と比較すると-13.4%と大きく減少しています。

そこで 総量がここまで大きく影響を受けているからには質にも大きな変化があるに違いないと仮説を立て、昨年と比べ伸びている話題やこの状況下で新しく生まれている生活者の行動を大量にリストアップ。チームで議論しながら重要な20個に絞っていきました。

以下 今回用いた兆しの抽出方法を3つご紹介します。

①昨対比で増加している話題

一つ目は昨対比で増加している話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。

旅行に関する投稿をさらに10程度のサブカテゴリに分解したうえでそれぞれの投稿数を算出。昨年同時期と比べて増加している話題は何か?を特定し 伸びているカテゴリの投稿内容を徹底的に深掘っていきました。

ポイントは様々な方向でカテゴリを作成してみて一度定量化すること。投稿の絶対量や成長率をボリューム出しし可視化することで 実は存在しないカテゴリだった(RTが伸びた1投稿が目立っていただけで総数は少ないケース) などの思い込みを防げます。

今回のレポートでは「再訪」などがこのアプローチから出てきています。「旅行 また行きたい」など再訪系のワードで大きな伸長が見られていました。

②「新しい日常」に特有の話題

二つ目はコロナ特有の話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。

今回のレポートに通底するテーマ”コロナ”に特有のユーザー行動はどこよりも深く分析する必要があるとチームで議論し 網羅的な分析を行いました。深掘りのためのポイントはキーワードの細分化。「旅行 コロナ」でブレイクダウンしても粒度の粗い投稿しか出てきません。「旅行 キャンセル」「旅行 密」「旅行 リモート」など”コロナ”の関連キーワードを一つ一つ個別に掛け合わせて見ていくことで 新しい日常に特有の兆しが大量に取り出せます(ワードクラウドを活用するのが便利)。

今回のレポートでは「補助制度」「検討リスト」などがこのアプローチから出てきました。旅行には前向きなもののGoToキャンペーンはじめ国/自治体の補助制度に対して適用条件がわからないという声が多く見られています(※調査を行なった期間において)。

③施策に直結する話題

三つ目は施策に繋がりやすい話題=有力な兆しと捉えるアプローチです。

今回レポートの目的は事業者の方々に行動してもらうことに尽きます。そのためお勉強的な内容ではなくアクションが即座に思い浮かぶ兆しを重視する必要があると指針を立てました。ポイントはあえてキーワードを絞り モチベーションを捉えること。「旅行 行きたい」「旅行 また」などモチベーション系のキーワードに絞って実際に旅行にいきたがっているユーザーの声を探っていくと飛躍的に効率が高まります。

今回のレポートでは「趣味旅」「おひとり様」などがこのアプローチから出てきました。日々のソーシャルリスニングの手法としても非常におすすめです。

SNSは社会を動かす「討論」の場に。

立場や環境を気にせず発信できるSNSでは、多種多様な意見が集まりやすく、リアクションが可視化でき、結果として拡声器を通ったかのように情報が膨らんでいきます。

タブーとされていた芸能人の政治発言も増え、意見を持つことが受け入れられる社会に変わりつつあります。

人が集まれない今、オンラインデモも広がりました。この世界を注視し、分析することはもはや避けては通れない道です。

しかし、そこにはビジネスのニーズだけでなく、社会に還元できるアイディアも埋もれています。

この社会に還元するアイディアのタネこそ、65dB TOKYOが大事にしていきたい部分です。

観光復興ガイドには、この思いが込められました。

状況を正しく理解し、考えうる打ち手を示唆することは分析の基本ですが、本当に意味あるデータは人の感情が入っています。

ビッグッデータも人の行動・トレンドを把握するのに重要ですが、起因性まではつかめません。

この「本音データ」こそ、人を動かし、世界をよくする要素だと信じています。

一人ひとりの声が社会を動かす時代。65dB TOKYOは、この「個人の声」をアクションに変える独自の視点があります。

ただ分析をするだけでなく、ニーズを抽出し、兆しを捉える力が。

我々は引き続きこの世界で行われている会話を聴き続け、世の中にいい変化を起こしてけるよう進んでいきたいと思います。


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