赤羽一嘉国土交通相は11日、政府の観光支援事業「Go To トラベル」に、10月1日から東京都を追加する方針を表明した。割引対象を全国に広げ、全国の観光需要を喚起する。政府はプロ野球、サッカーJリーグなどイベントの人数制限も緩和、コロナ禍の経済立て直しを急ぐ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大を誘発する恐れもあり、対策徹底が課題だ。政府の対策分科会で専門家の意見を聞き、決定する。

 GoToの対象に加わるのは、東京が目的地の旅行と、都民の旅行。赤羽氏は、都が新型コロナ感染に関する警戒度を一段階引き下げたことなどを理由に挙げた。他の地域から開始が遅れた都民に対する割引上乗せなどの措置は「技術的に難しく、現場が混乱する」と否定した。

 10月以降の東京発着旅行を既に予約し、GoTo割引の適用を希望する場合は、いったんキャンセルし、来週にも発売が始まる割引商品を購入する必要がある。

 政府は、人口1390万人の都民を対象に加えることで、地方の観光関連業者の経営を下支えする。ただ、夏休みが終わり、まとまった休暇は取りにくく、利用が伸び悩む可能性もある。

 新型コロナ感染が確認されたGoTo利用者は7人だが、割引を受けずに感染者が対象施設に宿泊していたケースが29件ある。東京追加で人の往来が活発になれば、感染が広がる恐れもある。

 観光庁は、客の検温、浴場の人数制限などを宿泊施設に義務化。運営事務局は調査要員約千人を確保し、医師らの助言を受けながら、全施設について対策が十分かどうか調査を進めている。

 事業は国内の宿泊、日帰りツアー代金の50%相当を補助。感染拡大が顕著だった東京都を除外した上で7月22日、旅行代金の35%引きから先行して始めた。10月1日からは旅先や隣接都道府県の飲食店、土産物店などの支払いに使える地域共通クーポン制度も始まる。

◆「満席」は観客が望まないかも? 戸惑うイベント関係者

 イベント開催では19日から、クラシックコンサートや歌舞伎、映画などで、「満席」が認められることになったが、関係者からは歓迎だけでなく、戸惑いの声も上がった。

 歌舞伎座(東京都中央区)は現在、入場者を約1800席の半分以下に抑えており、10月公演も変更はないという。国立劇場(千代田区)も10月に歌舞伎公演を予定するが、約1500席の半分以下に抑える予定だ。

 歌舞伎興行の関係者は「クラスター(感染者集団)が発生しないか心配」。別の関係者も「『定員100%』はお客の心証としてよくないと思う」と話した。

 映画業界も慎重な姿勢だ。中野区のミニシアター「ポレポレ東中野」の大槻貴宏支配人(53)は「満席は観客が望まないかも。スタッフにも不安はあり、様子を見ながら徐々に客席を広げる」。シネコン大手「TOHOシネマズ」の担当者は「緩和はありがたいが、すぐに座席を元に戻すかは検討中」と言う。

 一方、日本クラシック音楽事業協会の入山功一会長は「すぐには平常に戻そうとは考えていないが、収容率緩和は歓迎。採算面の問題が解消される」と喜ぶ。今後も感染予防を徹底していく。日本オーケストラ連盟の担当者は「観客の反応が伝わり、良い演奏につながる相乗効果が舞台芸術の醍醐味」と話した。

 また、制限緩和が見送られたライブハウスは苦境が続く。日本音楽会場協会の担当者は「都心は特に経営が厳しく、最低でも家賃の補償が必要だ」と話す。(山岸利行、太田理英子)

◆渋谷の年越しカウントダウン、今年は中止

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、渋谷区は、毎年大みそかの深夜から元旦にかけ、渋谷駅前のスクランブル交差点など駅周辺で行われている年越しカウントダウンイベントを今年は中止すると明らかにした。

カウントダウンイベントを待つ人たちで混雑する渋谷駅前のスクランブル交差点=昨年12月31日

 長谷部健区長が9日の区議会本会議で明言した。イベントは、区や地元商店街でつくる実行委員会が2016年から実施。駅周辺を交通規制して歩行者天国とし、昨年も約10万人が集まった。

 中止を決めても当日、多くの人が集まる可能性があり、区は今後、さまざまな機会を通じ、集まらないよう呼び掛けるという。(岩岡千景)


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