5月22日にアルゼンチンから帰国した顛末をレポートします

 普段はトラベル Watchで「ボーカリスト琴音の音楽旅」という連載を持っている琴音です。留学で2月にアルゼンチン入りしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響からこの5月に日本へ帰国しました。その体験記をお届けしたいと思います。

 アルゼンチンではコロナウイルス対策として3月20日から外出禁止、国境閉鎖の措置をとりました。

 当初は、アルゼンチンに10月まで留学し、その後ドイツ旅行をしてから日本に帰国する予定でした。私は観光ビザでアルゼンチンに入国。隣国ウルグアイの友人に会いに行ったり、ブラジルに旅行したりして、ビザを延長するつもりでした。

 しかし、現在は近隣諸国も国境を閉鎖。アルゼンチンも、国境を閉鎖しているので、1度出たら戻って来ることはできません。さらに5月に入り、アルゼンチン政府が9月まで民間航空券の発売を禁止。

 外出禁止令が出てしばらくして、観光ビザは30日間の自動延長が認められます。それでも、私のビザの有効期限切れの可能性が出てきました(現在は、またさらに30日間のビザ自動延長が認められています)。

 航空券販売禁止措置のなかでも、「アルゼンチン政府容認の特別便に関しては購入ができる」ということを聞き、ビザの有効期限が切れる前に、航空券購入に挑戦しました。

外務省の運営する「たびレジ」

 外出禁止令が出てからは、外務省の運営する「たびレジ」という海外安全情報配信サービスを活用。在アルゼンチン日本大使館から、新型コロナウイルスに対するアルゼンチン政府の対応や、医療情報などを定期的にメールで受信していました。

 そのメールのなかで、アメリカのイースタン航空が運航するフロリダのマイアミ国際空港行きの特別便販売という情報を発見。しかし、購入しようとしても表示は「No flight」に。大使館に問い合わせたところ、毎回発売ほどなくして売り切れてしまうそうです。そして、運航情報が入ってもいつ発売されるかは公表されておらず、自身でまめにイースタン航空のWebサイトをチェックするしかない、とのことでした。

 また、大使館はこういった特別便の案内を送ってはくれますが、直接座席を確保したり、代理で申し込むといったことはできないそうです。よって、自身で航空会社のWebサイトにアクセスして購入しなくてはなりません。このときに、大使館からブエノスアイレスの日系旅行会社「ニッポンツーリスト」を紹介してもらいました。そちらからも、特別便の航空券販売情報をもらえるように依頼。

 そのときは購入できませんでしたが、別日のイースタン航空特別便が販売される可能性ありという情報が。それから、私もいつ航空券が発売されるかマメにチェックしていました。そして大使館から「イースタン航空のWebサイトで現在発売中」と連絡がきて、そのタイミングでマイアミ行きの航空券を買うことができました。

 私の購入したこの5月20日発イースタン航空の特別便「2A888便」は、11時30分にブエノスアイレスのエセイサ空港からアメリカのマイアミ国際空港19時40分着の直行便です。そしてマイアミから日本への帰路は自身で検索、予約しなくてはなりません。

 すぐにマイアミから日本への航空券と、成田空港に着いてから自宅までのレンタカーを予約しました。帰国後14日間は、電車、バス、タクシーなどの公共交通機関を使えません。海外からの帰国者は、自宅もしくは自身が確保した宿泊施設などで14日間の待機が義務付けられています。

 ホテルなど宿泊施設にかかる費用は自己負担。レンタカーの状況も、最新情報はネットにはありませんでした。国際電話でニッポンレンタカー成田空港店に電話し、PCR検査の結果判明前でも借し出し可能か確認してから予約しました。レンタカー、自家用車での迎えがある人は1~2日かかるといわれているPCR検査結果を待たずに自宅ないし待機場所に移動できるからです。

 5月5日以降は、厚生労働省の基準を満たすハイヤーであれば検査結果が出る前であっても待機場所への移動が可能です。厚生労働省のWebサイトに基準を満たすハイヤー、または調達のできる旅行会社が紹介されています。人数や距離によって異なりますが、自身にとって最適な手段を先に用意しておくと安心です。

外出禁止令下のエセイサ空港までの道のり

 この航空券購入時点で5月10日。外出禁止令下でエセイサ空港まで移動するには大使館へ申請が必要でした。クルマでの移動で事前に運転手の国民番号、氏名、電話番号などを提出しなければいけないので、事前にニッポンツーリストに依頼し車両を手配。すべて日本語で手配できたのが、とても心強かったです。

 私の帰国に関する情報も、アルゼンチンの日本大使館からマイアミ領事館・領事班に共有され、出発前日に領事班から確認が入りました。私の予約した日本へのフライトはマイアミ国際空港発ではなく、同じマイアミエリアのフォートローダーデール・ハリウッド国際空港を5月21日朝6時半出発で、深夜に空港間を移動で間違いないですかと。

 てっきり私は、到着するのと同じマイアミ国際空港発の便を予約したと思っていました。しかし、両空港間はクルマで1時間ほどの移動時間。なので、日本に1番早く着けるこの便で帰国することに。領事班が心配していたのは、以下の点です。

 マイアミ国際空港は現在タクシーの待機はなく、22時から朝5時までマイアミのあるフロリダ州は外出禁止令を出しています。なので自身でタクシーを呼ぶなど、クルマを手配しなければならないという点でした。そして万が一移動中に現地警察に止められたら、帰国のための移動だと説明するようにとのこと。

 領事班から、マイアミ国際空港からタクシーの呼び方などの情報が送られてきました。そして、さらに私はマイアミ到着時間も間違えていました。時差計算を間違えて、思っていたよりも早い時間に到着することが発覚。

 少し時間があると思い、マイアミインターナショナルエアポートホテルを1泊予約済み。しかし、移動が上手くいかないなど何があるか分からないので、ホテルの予約はキャンセルしませんでした。

 今考えるとうっかりしたミスばかりですが、予約したときはまさか航空券をこんなに早く確保できるとは思わず。最悪、9月までビザの不安を抱えながらアルゼンチンにいる覚悟をしていたので気が動転していたのでしょう。

5月20日チェックイン時のエセイサ空港

売店などの営業は一切なし

 当日朝7時に運転手が来て、エセイサ空港へ向かいました。エセイサ空港の売店や免税店はすべて閉鎖。サンドイッチや飲み物を売っている自販機がありましたが、故障しているのか購入できず何人も困っていました。この日のフライトは、11時30分出発予定でしたが、遅延して約3時間後に出発。

 食べ物や飲み物を持参する人の姿も。何も食べ物を持っていなかった私は空腹のまま飛行機に。犬や猫を連れている人もかなりたくさんいました。今回は、みんな自国に長期で帰るための移動なのでしょう。通常時のフライトとはまったく違う空気です。

 今回私の乗った特別便の機体は、機内エンタテイメントはありませんでした。エコノミーだと預け入れ荷物は1つまでだったので、荷物を2つ預けられるビジネスで約21万円で購入。エコノミークラスと、ビジネスクラスで約2万7000円の差額です。

 USBポートはなく、電源はコンセントのみ。機内食はスナックや缶詰が中心でした。ブエノスアイレスからマイアミまで約9時間、飛行機の中でしっかりと睡眠を取ることに成功しました。

ビジネス席の様子

特別便の機内食

 5月20日の時点でアルゼンチンからマイアミ空港でのアメリカ入国は、特に健康状態のチェックもなく通常時と変わりませんでした。到着して荷物を受け取り、ゲートを出たのは飛行機の遅延で夜の0時近く。

 ここからさらに移動して、ユナイテッド航空でフォートローダーデール空港を朝6時30分発、ヒューストン(ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル)空港、ロサンゼルス国際空港から成田国際空港へ、合計3回の乗り継ぎです。

 預け入れ荷物2つまでOKのエコノミークラスで、約6万4000円でした。そしてすぐに予約していたホテルをキャンセル。早めに空港への移動を済ませようと思い、空港のWi-FiをつなぎUberを呼べるかトライ。

 外出禁止令下のマイアミでも、Uberを呼ぶことができました。現地警官に止められることなく、無事に約1時間で深夜1時ごろフォートローダーデール空港に到着。

深夜のフォートローダーデール空港

フォートローダーデール空港の売店。朝5時半くらいには開店

 フォートローダーデール空港に到着し、誰もいないと思っていたら1人の黒人女性が私のもとに。ホームレスと思われる女性でした。少し会話をしたのですが、私の荷物をジロジロと見ていて不安になり、荷物をすべて持って鍵のかかる個室トイレにこもりました。警備員や空港職員はおらず、たまに空港職員が見回りに来る程度です。

 そのくらい、深夜のフォートローダーデール空港は人がいませんでした。結局、朝4時ごろまでトイレにいることに……。搭乗客が少しずつ現われ、無事にチェックインし予定時刻にフォートローダーデール空港を出発。

 ヒューストン空港まで約2時間の空の旅です。ヒューストンに到着すると、一部ですがレストランも営業していて、ドーナツ店にソーシャルディスタンスを守って並ぶ姿も。通常時の人出よりかなり少ないです。乗継時間が搭乗開始まで45分しかありませんでしたが、無事に空港内のモノレールに乗ってターミナル間を移動し搭乗開始10分前にゲートに到着。

ヒューストン空港、一部レストランも営業

ターミナル間移動用モノレール「Skyway」

ドーナツ店にソーシャルディスタンスを守って並ぶ人々

 ヒューストンからも予定通りに出発し、また約3時間ロサンゼルスまで空の旅です。飛行機の中ではダウンロードした映画を見たり、Kindleで本を読んだり。ロサンゼルスに到着し、ほぼ無人状態の空港を見るのは、まさに映画の世界。ゲート近くではスターバックスなど売店もやっていて、暑かったのでアイスコーヒーを注文。アルゼンチンのカフェにはコールドブリューはあってもアイスコーヒーはないので、すごく日本に近づいた気がしました。

人のいないロサンゼルス空港

営業中のスターバックス

 ロサンゼルスからはANA(全日本空輸)とのコードシェア便です。乗客は数えるほどしかいませんでした。そして搭乗してすぐにCA(客室乗務員)から、帰国後の移動方法について質問が。レンタカーを予約していたことを伝え、検疫についての書類をもらい、質問事項に返答を記入。ブエノスアイレスから約9時間、アメリカ国内で約2時間と約3時間、ここからまた日本まで約11時間飛行機に乗るのか……と暗い気持ちになりました。

 ですが機内食の内容は通常時と変わらず美味しく、アルコールなどのドリンクサービスもあり、あっという間の快適なフライトでした。

筆者の座席から撮影

アルコールやアイスクリームのサービスも

機内食も通常時と変わらず

 飛行機が成田空港に到着。すると、成田空港から乗り継ぎの人、レンタカー利用や自家用車で迎えがある人、検査結果が出るのを待って待機場所に移動する人の順番で、降機の指示がありました。

 飛行機を降りてからは体温チェック、どこの国に滞在していたかの質疑応答、そして入国制限対象地域からの帰国者はPCR検査を受けます。到着した5月22日時点では、アルゼンチンは入国制限対象地域ではありませんでした。しかし、私は入国制限対象地域のアメリカに入国して帰国だったため、PCR検査の対象になりました。

 PCR検査自体は鼻の奥に長い棒を入れて、数分で終わります。そして、その後はレンタカーを借りるところまで検疫官の付き添いがあります。到着ゲートを抜け、予約していたニッポンレンタカーのカウンターに行きました。レンタカーを借りる手続きはいつもと同じです。そしてクルマの鍵を受け取り、契約完了するまでを検疫官が確認します。

 私は都内自宅近くの支店に乗り捨て返却で1万1000円でしたが、帰国者が多かった時はもっと高額だったそうです。レンタカー、ハイヤー、自家用車での迎えのない人は、空港内などの指定場所で検査結果が出るのを待ちます。

 陰性であれば、入国後14日間の待機場所に公共交通機関を使わずに移動です。空港近隣ホテルには、空港検疫所が用意する送迎バスがあります。そちらの対象ホテルで待機する場合に限り、送迎バスの利用は可能です。

成田空港に到着

 雨の中、まずは自宅まで運転して荷物を下ろしてからレンタカーを返却。長時間のフライト後に、雨の中の運転だったのでかなり緊張しました。無事に帰宅できてよかったです。

 筆者が成田空港に到着した時間帯の到着便は、私の乗った便しかありませんでした。帰国者ももう随分と減ったようです。民間航空券販売禁止中のアルゼンチンから出国するのは大変でしたが、さまざまな方のお力添えで無事に帰国が叶いました。PCR検査の結果は、メールで2日後に届き陰性でした。現在、14日間の自宅待機で外に出ない生活を送っています。以上が5月22日にアルゼンチンから帰国した筆者のケースでした。


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