政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言を13日に19都道府県で延長した一方で、ワクチン接種の進展を前提とした行動制限の緩和案について検討を本格化する。医療関係者には緩和の必要性を理解する声がある一方、時期尚早との見方も根強い。

◆賛成派「2回接種なら」…ただし再拡大に不安も

 政府は10月から11月の早い時期に希望者全員のワクチン接種終了を想定。緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や大規模イベント開催を認める行動制限緩和案をまとめている。

 人工心肺装置「ECMO(エクモ)」の治療の専門家たちでつくるNPO法人「日本ECMOネット」の竹田晋浩理事長は取材に、「ワクチンを2回打った人に、ある程度の行動緩和を認めることには賛成だ」と語る。ただし、春の第4波と現在の第5波を比べると重症化率は減ったが、エクモなどの対象になる人は増えたとして「感染が拡大したら再び強い対策を打ってほしい」と期待した。

◆慎重派は3回目接種後、来春以降を主張

 これに対し、9日に日本記者クラブで記者会見した元厚生労働省医政局長の武田俊彦氏は「楽観シナリオは必ず覆ってきた」と厳しい見方を示した。

 武田氏は、今年春ごろにワクチンを接種した医療関係者の抗体が?月に切れてくるとの見方や、インフルエンザが流行する冬を迎える点を列挙。「3回目接種が視野に入らない限り、ワクチンが行き届いたとは言えない」として、行動制限緩和は来春以降が適切だと主張した。

 武田氏らとともに会見した大橋博樹・多摩ファミリークリニック院長は「イスラエルなどでは2回接種したのに感染する人の数が増えている。2回接種がどこまで有効か見極めができた段階で緩和の議論を始めるべきだ」と指摘した。

◆厚労相は必要性強調

 田村憲久厚労相は10日の会見で「厳しい措置ばかりでは国民に理解いただけない」と緩和の必要性を強調。海外の例も参考に実証実験をへて具体的な仕組みを決めるとした。(大野暢子)

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