新型コロナウイルスの影響で旅行ができない今、旅への欲求を高め、次の旅を妄想する期間に充てたい方にお届けするシリーズ企画【達人に聞く!次に旅するならココでしょ】、略して「ツギタビ」!!

第1弾は、日本からのアクセスも良く、どこか懐かしい風情を感じさせる台湾を紹介する。

魅力を語るのは、台湾を鉄道で一周、気になった場所があったら途中下車してみる、7泊8日ノープランの気ままな旅の記録をまとめた「台湾一周!! 途中下車、美味しい旅」の著者・光瀬憲子さん。

台湾に7年暮らした経験があり、台湾に関する著書も多い、まさに台湾の達人である光瀬さんに、台湾旅のコツ、鉄道旅の魅力、おすすめの地方と料理、おいしいお店の見つけ方などを聞いた。

「余白を残しドキドキした旅を」

<達人・光瀬憲子さん インタビュー>




(左)「台湾一周!! 途中下車、美味しい旅」 (光瀬憲子/双葉社)
(右)台湾鉄道地図(主要駅と下車した駅)

――これまでも多数の台湾紀行本を出版されています。今回、鉄道での台湾一周の旅を企画された理由は?

台湾の面積はだいたい九州くらいですが、土地ごとにすごく変化に富んだ特徴があって、それを一周するように鉄道が走っています。これまでもバスや鉄道を使っての縦断は経験がありましたが、今回は「新幹線ではなく在来線にこだわって一周できるんだろうか?」ということに挑戦してみたかったんです。

また、読者の方から「鉄道を使って一周してみたい」「女性一人で行っても安全かどうか気になる」という声も多かったので、電車を乗り間違えたとか、そういう失敗談もすべて書きました。この本を読んで一緒に旅をしている気持ちになってもらえたらうれしいです。

台湾の在来線である内湾


在来線は日本統治時代に作られたものがベースとなっているので、車両や駅の雰囲気がどこか懐かしさを感じさせる。駅名が漢字表記なのも日本人には馴染みやすいポイント ©️tabilista/futabasha

――気ままなノープラン鉄道旅の魅力を教えてください。

目的地を決めずに各駅停車に乗って「この駅良さそうだな、降りてみよう」という旅は、ワクワクできて良いんじゃないかなと思いました。余白を残したドキドキ感のある旅をしたかったので、「こっちの方が面白そう!」と思ったらいつでも変更できるようにしたかったんです 。

「高雄の次は台南に移動しよう」とか、移動についてのだいたいの目星はつけますが、実際にどの駅に降りるか、宿はどうするかは現地の方から情報収集をして決めることもできるんです。

台湾って旅人に対してすごく優しいですし、安全だと思います。日本人に対してだけではありませんが、世話好きな人が多い印象なので、行き当たりばったりでも協力が得られて、逆に言葉なんかできないほうが優しくしてもらえる気がします。

少し足をのばしても食べたい!おすすめの地方とグルメ

電車に乗る光瀬憲子さん


電車内で時刻表を見る光瀬さん ©️tabilista/futabasha

――地域ごとにさまざまな特色があるかと思いますが、おすすめの地方とそのグルメを教えてください。

日本での認知度は高くないのですが、台北からは意外と近くて交通のアクセスも良く、食べ物がすごくおいしくておすすめなのは「新竹」です。

“客家”と呼ばれる人たちが多く住んでいる地域で、台北ではなかなか食べられないものを食べたいという場合は、そこから“内湾”というローカル線で内側に入って行った「竹東」と呼ばれる界隈がおもしろいです。

客家料理といえばビーフンがおいしくて、お土産にもとても喜ばれますよ。おすすめは「米苔目(ミータイムー)」というお米でできている麺なんですが、お米の香りがするふわふわとした食感で、あっさりしていて朝ごはんにも食べられます。味も甘いのとしょっぱいのがあって、ローカルなご飯でありスイーツでもあります。

客家の名物料理「米苔目」


客家料理の「米苔目(ミータイムー)」(左)甘いかき氷風(右)温かい焼きそば風

南地方だと「潮州」の温かいかき氷「焼冷冰」がおすすめです。煮込んだ温かい豆や芋の上に冷たいかき氷が乗っている、ここにしかないかき氷なんです。

当初、この駅には立ち寄るつもりはなかったんですが、乗車した電車の車掌さんにおいしい物を聞いたら「食べたほうがいい」と教えてもらい、急遽下車して食べに行きました(笑)。

台北に7年ほど住んでいたこともあり、割と台湾を食べ歩いたつもりでいた私でもこれは知りませんでした。中は温かく外が冷たいので、早く食べないとどんどん内側から溶けていってしまいます(笑)。

潮州の「焼冷冰」


潮州の「焼冷冰」

台湾では老若男女みんな甘いものを食べていますね。私は、“台湾スイーツ男子”と名付けているのですが、高校生くらいの男子が3、4人でつるんでスイーツを食べに来ている姿が多く見られます。

台湾の伝統的なスイーツが食べられるお店で、おじさん2人がスイーツをつつきながら仕事の打ち合わせをしていたり。なんだか安心できる光景をよく目にします。

躊躇せずオーダーを!おいしいお店の見つけ方

――ローカルな食堂を利用してみたいけれど、オーダーの仕方が分からず躊躇してしまうという人は多いと思いますが?

その店ごとに暗黙のルールがあったりして、お店によってオーダー方法が違うんですよね(笑)。でも躊躇せずにどんどん入ってしまったほうが良いです。

身振り手振りで、「ここ、座ってもいいですか?」と聞くと、お店の人が世話を焼いてくれるので大丈夫。お店の人も忙しいと怒っているように見えてひるんでしまいがちですが、お客さんには優しいですよ(笑)。日本人だと分かると日本語のメニューを持ってきてくれることもあります。

台湾「屏東」の人気食堂


高雄の西側にある「屏東」の人気食堂。テイクアウトの品を待っている地元客で、人気の食堂は自然と人だかりになる ©️tabilista/futabasha

ちなみにオーダーの際、「大」「小」があったら小を頼むのがおすすめです。大は日本人には量が多過ぎますし、2、3人で行ったとしても、ほかのメニューも楽しめるように小の方がいいと思います。

それと、周りで食べている人のメニューを「これと同じものがほしい」と言って頼んでも失礼には当たらないので、挑戦してみてほしいです。

光瀬憲子流 “おいしいお店の見つけ方3大法則”

1:人だかりができている店を選ぶ

きれいに行列しているお店は一過性の流行(はやり)なお店の場合が多く、地元の人から人気のお店はごちゃごちゃっとした人だかりができていることが多いです。席が空くのを待っていたり、テイクアウトを待っていたり、お釣りを待っていたりと、人気店だからこそ人だかりができます。

2:新しい街に行ったらお寺を探す

どの街にもだいたいお寺(廟)があり、そしてお寺の周りにはおいしいものが多いです。お寺にはお参りで人が多く集まるので、人の多い場所にはおいしいお店も自然と集まります。

3:ロータリー(円環)を探す

“円環”という 放射線状に道が伸びているロータリーには、かつてその街の中心地だったことが多く、おいしくて人気の老舗はまだそこにあることが多いです。 Googleマップなどで見ると分かるのですが、台湾にはそういった円環と言われる場所が駅前ならずとも結構あるんです。例えば台北の円環の近くには「寧夏夜市」という有名な夜市もあります。

リュック、現金、スマホ、紙の時刻表!旅の準備・必需品

台湾花布が配された鳳林駅のホームと光瀬憲子


台湾花布が配された鳳林駅のホームでのんびりと電車を待つ

――光瀬さんの旅の必需品を教えてください。

私が旅をしたのは、11月で台湾はそこまで寒くはなかったので冬支度もそこそこに、機内持ち込みできるスーツケースひとつで行きました。街歩きをする時は日中使用するものはリュックに入れて、スーツケースを駅のロッカーに預けます。洋服は3日分ほど持って行って、途中でコインランドリーを利用して洗濯をしました。

台湾での食事はカードが使えるところもありますが、屋台や食堂などは基本現金払いなので、現金は持っていた方がいいですね。両替は街中の銀行でもできますが、私は空港でまとめて両替します。電車の切符も安く、小銭を使用する機会が多いので、窓口で購入する場合は現金の方が便利です。

新竹駅の近くにある人気朝食店『新銘早餐』の名物、油條蛋餅(揚げパンと玉子)


新竹駅の近くにある人気朝食店「新銘早餐」の名物、油條蛋餅(揚げパンと玉子) ©️tabilista/futabasha

私はGoogleマップをよく使うので、スマホとWi-Fi、筆談用の筆記用具が必需品です。あと今回は鉄道の旅ということもあり、「ニュー台湾時刻表」(日本鉄道研究団体連合会)という日本語で書かれた紙の時刻表がとても役に立ちました(2020年1月版が発売中)。

台湾は日本ほど乗り換えアプリが発達していないですし、中国語での入力も難しいので、紙の時刻表には助けられました。Wi-Fiがつながらない時も安心です。

次に行ってみたい“台湾ど真ん中”

――新型コロナウイルスが収束したら行ってみたい光瀬さんの「ツギタビ」を教えてください。

途中下車の旅をしてみて、まだまだ知らない街がたくさんあるんだなというのを発見してうれしかったんです。現地の人とお話をするのも好きで、すごく田舎の駅で降りた時に、日本語ペラペラのおじいちゃんがいて「あんたお国はどこかね?」なんて言われて話が盛り上がったり(笑)。

一人や少人数で旅をしていると、現地の人と触れ合うチャンスが多いので、そういう体験をもっとしたいなと思っています。

次は台湾の真ん中に行ってみたいです。台湾の真ん中は富士山のような高い山がいくつかあり、先住民が多く住んでいて全然違った文化があるので、奥深い体験ができるのではと思っています。コロナが収束したら「台湾ど真ん中」みたいな旅も良いですね(笑)。

【プロフィール】光瀬憲子(みつせ・のりこ)
1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。著書に「台湾一周 ! 安旨食堂の旅」「台湾縦断!人情食堂と美景の旅」「美味しい台湾 食べ歩きの達人」(双葉社)「台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な『本当の日本』」(実業之日本社)「スピリチュアル紀行 台湾」(東洋経済新報社)ほか。近況・最新情報はこちら

さらに、台湾の魅力を掘り下げるべく、ワンテーマにこだわる旅のWEBマガジン「TABILISTA」で光瀬さんが連載中の「台湾人情食堂」から、食・泊・深のテーマで魅力をピックアップして紹介する。

台湾の人情食堂


【食】台北“人気行列店”以外の超おすすめ店

盛園絲瓜小籠湯包


「盛園絲瓜小籠湯包」の小籠包は絲瓜小籠湯包(オリジナル)とカニ味噌小籠包がおすすめ ©️tabilista/futabasha

せっかくなら観光客が行かない地元客で賑わう人気店であの味を食べてみたい、そんな人におすすめな小籠包、豆漿(豆乳)、夜市の屋台メニューの名店と注文のコツも紹介。

【泊】台湾一周の宿

台湾新竹の民泊


駅近で清潔感のある新竹の宿。シャワー・トイレは共用だが、旅の疲れを取るには十分な施設 ©️tabilista/futabasha

台南、台中、新竹地区のコストパフォーマンスの良いおすすめのAirbnbを紹介。暮らすように旅する民泊のコツとオーナーとのやり取り、宿泊した室内の様子や金額も詳細に記されているので民泊初心者には大いに参考になる。

【深】知られざる台湾の保存食文化

ヤミ族のトビウオの日干し


3月から6月の漁を終えると蘭嶼島のあちこちでトビウオの日干しが見られる ©️tabilista/futabasha

先住民ヤミ族のトビウオの日干し、からし菜や高菜の漬物、発酵食品の「梅干菜」など、知られざる台湾の多彩な保存食について紹介。食文化から理解すると旅がより味わい深いものに。

上記以外にも興味深いテーマに沿った、台湾に密着した情報が盛りだくさんな連載コラム「台湾の人情食堂」は、双葉社が運営する旅の達人たちによる本物志向の旅サイト TABILISTAで楽しめる。


クレジットソースリンク