ANAホールディングス株式会社 取締役 常務執行役員 福澤一郎氏

 ANAHD(ANAホールディングス)は1月29日、2021年3月期(2020年度)第3四半期(2020年10月~12月)の連結決算を発表し、取締役 常務執行役員・グループ財務統括責任者の福澤一郎氏がオンライン会見で説明を行なった。

 新型コロナウイルス感染症の影響から旅客数は大きく減少しているが、国内線では秋以降、各地で人出が戻り始めたことで大きく改善。需要の回復に合わせて運航規模を拡大したことで旅客数が増加し、減収幅は上半期と比べて縮小した。

 また、国際線貨物は需給の逼迫が継続するなか、貨物専用機に加えて旅客機を使った貨物便を設定し、収入の最大化に努めた。これらの結果、売上高は前年から66.7%減の5276億円となった。

 費用面は最適化・固定費の削減に継続して取り組み、第3四半期単独の連結営業損益は814億円となり、第1四半期の損失1590億円、第2四半期の損失1218億円から縮小したが、第3四半期累計では3624億円の営業損失に。

 2020年10月末に策定した事業構造改革の計画のとおり、大型機を中心とした早期退役に関する特別損失を計上。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期損失は3095億円となった。

ANAホールディングス 2021年3月期(2020年度)第3四半期連結経営成績

航空事業/航空関連事業/旅行事業/商社事業/その他のセグメント別成績

 ANA(全日本空輸)ブランドの国際線旅客事業は、世界各国の出入国規制の影響により、第1四半期から第3四半期を通じて旅客数は前年から約95%減の状況。9月以降アジアの一部の国とビジネストラックなどの運用が拡大され、留学生や年末年始の渡航需要が増加したが、その影響は限定的だった。

 また、貨物輸送を中心に需要が一定程度見込めることから12月から日本の航空会社として初めて成田~深セン便を運航開始。これらの結果第3四半期累計では収入は前年から93.6%減の323億円に。今後の出入国規制の動向を見きわめながら、引き続き最適化を図っていきたいとした。

ANAブランドの国際線旅客事業

 ANAブランドの国内線旅客事業は、5月の緊急事態宣言解除以降、需要は回復傾向にあったが、7月下旬から感染者数が増加したため夏休み期間は旅行・帰省が自粛に。10月以降はGo To トラベルの効果もあり、需要の回復が急速に進んだ。四半期ごとに旅客数は着実に増加しており、上半期は前年から80%減だったが、第3四半期は55%減の水準まで改善した。第3四半期までの期間、総じてコロナの影響による需要減で旅客数は前年から71.5%減少し、収入は前年から71.7%減の1563億円となった。

ANAブランドの国内線旅客事業

 ANAブランドの貨物事業は、世界的に旅客便の運休・減便で貨物搭載スペースの供給量が低位に推移するなか、10月以降から年末に向けて貨物需要が増加し、需給バランスが逼迫した状況が続き、貨物専用機を最大限稼働させながら、旅客機を利用した貨物臨時便も積極的に運航し、輸送スペースの確保に努めた。

 第2四半期以降、自動車関連、半導体・電子機器などの高単価商材、年末にかけて増加する季節需要を着実に取り込み、また上海、シカゴ、フランクフルト、バンコク路線に大型貨物専用機・ボーイング 777F型機を投入し、大型貨物も輸送。高単価貨物を優先的に取り込み、第3四半期単独の単価は前年比2.2倍と大幅に上昇。収入は第3四半期3か月間で、上半期6か月間と同規模の収入を計上。過去最高を更新した。

ANAブランドの貨物事業

 ピーチ(Peach Aviation)ブランドのLCC事業は、緊急事態宣言解除後、Go To トラベルなどを背景に国内線の旅客需要が徐々に回復基調にあり、10月以降沖縄や中部発着路線を開設して拡大したが、感染者数増加にともない12月からは旅客数が減少に。国際線は一部を除いて運休を継続。この結果、第3四半期累計の収入は、前年から76.1%減少し、153億円となった。

ピーチブランドのLCC事業

 旅行事業では、海外旅行の催行を中止、国内旅行は上半期は堅調に推移し、10月からGo To トラベルに東京が加わり需要が大幅に回復。第3四半期単独の売上高は前年から39.6%減の223億円となり、上半期6か月の売上高138億円を大きく上回った。これらの結果、第3四半期累計の売上高は前年から69.7%減の361億円となった。

 商社事業では、食品事業の収入が前年を上回り、国内空港売店の減収は旅客数の回復とともに回復したが、免税店は引き続き低迷。結果、売上高は前年から46.7%減少し610億円になった。

 このような状況で第3四半期においてもコストマネージメント計画にのっとり、グループをあげてコスト削減に取り組んだ。柔軟な生産体制を構築し、運航規模の調整を行なったことから、燃油費・空港使用料などの変動費を抑制。役員報酬・管理職賃金・一時金など人件費の抑制に努め、人員の配置見直しによる人材の活用、業務の内製化などにより、委託費の削減を図った。

 以上のように最大限の費用抑制は行なったものの、コロナによる減収が大きかったことから、3624億円と過去最大の営業損失となった。

 直近では、1月8日に首都圏で緊急事態宣言が発出、対象区域が追加され現在に至り、国内旅客需要は12月から減少に転じており、先行きは不透明。一方で、国際貨物は堅調に推移しており、コスト削減も計画通りに進捗している。年度最終の第4四半期では、国内旅客のマイナス、好調な国際貨物のプラスを含め、今後の環境状況を慎重に見きわめていきたいとし、2021年3月期見通し(連結業績)について変更は行なっていない。

連結財政状態

連結キャッシュ・フロー

2021年3月期見通し(連結業績)


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