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旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)<9603>が2022年10月期に、コロナ前の2019年10月期の水準まで売上高が回復するシナリオを公表した。

同社は2019年の売上高を100とした場合の2022年までの四半期ごとの売上高を百分率(%)で表しており、2022年10月期第4四半期は2019年第4四半期比98%にまで回復するとしている。

各四半期の百分率に2019年の実績を掛け合わせて計算すると、2022年10月期通期の売上高は約7335億円となり、2019年10月期の売上高約8085億円に近いところまで回復する。

背景には旅行事業、ホテル事業が2021年初頭から回復基調に入り、その他のテーマパーク事業やエネルギー事業などはさらに早期に回復するとの読みがあり、2022年に向け海外旅行のシェアアップや外国人旅行者の受け入れ強化などを推し進める。

旅行最大手のJTB(東京都品川区)は2020年11月20日に、中長期的に450億円の営業利益を目標とする中期経営計画「新」交流創造ビジョンを公表しており、今後、旅行業界はコロナ後を見据えた動きが活発化しそうだ。

2020年10月期は上振れで着地

HISは2020年12月11日に2020年10月期決算を発表。その中で業績回復シナリオを公表した。

2020年10月期は売上高が4302億8400万円で、前年度比46.8%の減収となった。営業損益は311億2900万円、経常損益は312億8300万円、当期損益は250億3700万円のいずれも赤字だった。

同年9月25日に発表した2020年10月期第3四半期時点の業績予想よりも売上高で約62億円の増収となり、営業、経常、当期の赤字はそれぞれ5、60億円改善した。ワーストケースを織り込んだ業績予想に対し、上振れて着地したという。

2021年10月期の業績予想については算定が困難として、第1四半期のみを開示したが、業績回復のシナリオを基に計算すると、2021年10月期通期の売上高は4252億円ほどになる。

【HISの2020年10月期の実績と第3四半期時の予想】単位:億円

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
2020年10月期実績 4302.84 △311.29
△312.83
△250.37
第3四半期時予想 4240 △367
△360
△318
差額 62.84 55.71 47.17 67.63

機動的なM&Aも実施

同社の2020年10月期決算説明会資料によると、コロナ後の日本での旅行事業の展開について、海外旅行でさらなるシェアアップを目指すほか、訪日外国人旅行者の獲得を強化する。さらに将来的な業界再編の可能性を踏まえ、機動的なM&Aにも取り組むとしている。

一方、コロナ後の海外での旅行事業については、トルコやベトナムでそれぞれの国内での出張手配や日本人駐在員向けの近郊ツアーなどを販売するほか、バングラデシュ、インド、マレーシアなどでオンライン航空券の販売を強化する。

さらに日本国内の労働力不足の解消を目的に、ブラジルやバングラデシュなどから日本に人材を派遣する事業などにも取り組む。

英国で新型コロナウイルス向けワクチンの接種が始まるなど、感染症収束に向けた動きが現れており、旅行業界をはじめ、いろいろな業界でコロナ後に向けた取り組みが表面化しそうだ。

文:M&A Online編集部

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