観光需要の喚起策「GoToトラベル」をめぐり、赤羽国土交通大臣がこれまで除外していた東京都への旅行と都内に住んでいる人の旅行を10月1日から対象に加える方針を明らかにしたことについて、各地でキャンペーンの効果に期待する一方、不安の声もあがっています。

浅草 観光客が増えるか不安の声

東京 浅草では、キャンペーンの効果に期待する一方、新型コロナウイルスの感染拡大が収まっていない中で観光客が増えるのか不安だという声も聞かれました。

都内有数の観光地 浅草の仲見世商店街では感染拡大の影響で外国人観光客が激減したことに加え、国内からの観光客も減っているためシャッターを閉めて休業している店舗がところどころに見られます。

商店街で豆菓子などを販売する女性は「気持ちは少し楽になりましたが、観光客が増えて売り上げが上がるか不安です」と話していました。

店では新型コロナウイルスの影響で売り上げが例年の1割に満たない状態が続いているということで、「仕事帰りにスーパーへ買い物に行っただけで、その日の売り上げがなくなってしまう日もあります。どうしようもないことなので、少しでも工夫して乗り切りたい」と話していました。

また、土産物店を営む女性は「期待はしていますが、東京はまだ感染者が多いので、地方の人は怖さを感じるのではないか。あまり期待すると客が来なかった時にがっかりすると思うので、今は複雑な気持ちです」と話していました。

箱根のホテル アプリ使い”密”避ける対策も

神奈川県箱根町の宿泊施設では、スマートフォンの「LINE」のアプリを使って事前にチェックイン手続きができるサービスを導入するなど密集を避ける対策を強化しています。

箱根町湯本にある「ホテルおかだ」では、もともと東京からの客が多く、今月の予約も例年に比べて3割ほど少ない状態となっていて、「Go Toトラベル」で東京発着の旅行も対象に加わることに大きな期待を寄せています。

このホテルでは館内で密集状態になるのを避け、より多くの宿泊客に安心して楽しんでもらおうと、大浴場の混雑状況をスマートフォンなどで確認できる仕組みをすでに取り入れているほか、今月15日からは、「LINE」を使って事前にチェックイン手続きをすることでフロント付近に立ち止まる時間を少なくするサービスも導入することにしています。

「ホテルおかだ」の原洋平常務取締役は、「東京からの宿泊客が戻ってくることに大きな期待を持っています。少しでも『密』が防げるよう工夫してお客様に楽しんでいただける環境を整えていきたいです」と話していました。

京都 嵐山 ちりめん細工店「売り上げが少しでも上がってほしい」

京都の観光地では期待と不安の声が聞かれました。

京都有数の観光地、京都市右京区の嵐山は新型コロナウイルスの影響を受けて観光客は少ない状態が続いています。

このうち、竹細工の土産物店でも売り上げは大きく落ち込んでいるといいます。店の経営者で嵐山商店街の副会長も務める石川恵介さんは「東京から人が訪れることで打開のための第一歩になってほしいと期待しています。感染が広がるのではないかという不安もありますが、感染防止策を徹底していきたいです」と話していました。

また絹織物のちりめん細工などを販売している店でも買い物客は少ない状況が続いていて、引き続き感染防止策を取りながら観光客を呼び込んでいきたいとしています。

従業員の女性は、「マスクの着用や消毒をきっちりと継続するとともに、秋の観光シーズンに向けて嵐山全体がにぎわって売り上げが少しでも上がってほしいと思います」と話していました。

また愛知県から観光に訪れていた男性は、「今後は東京にいる友人とより会いやすくなると感じています。感染のリスクに対する不安もありますが、私自身もこれからも感染防止を気をつけていきたいと思います」と話していました。

また、買い物で訪れたという京都市の女性は「観光客が全体的に少なくなっていて今後はさらに一人一人が感染対策をして京都に来てほしいと思います」と話していました。

福岡空港 土産店から歓迎の声

福岡空港では、土産店から歓迎する声が聞かれた一方、利用客からは時期尚早だといった声も聞かれました。

福岡空港の国内線ターミナルでめんたいこを販売している土産店は、ことし7月に「Go Toトラベル」が始まった直後は売り上げが伸びたということですが、その後は再び売り上げが落ち込んでいるということです。

このため、東京を発着する旅行が対象に追加されることで観光客が増加し、めんたいこを使ったせんべいやチューブ入りのめんたいこなど若い世代に人気の商品を中心に売り上げが回復することに期待を示しました。

土産店の大谷尚毅店長は「これから10月、11月と観光シーズンを迎えるので東京からたくさんの観光客が訪れることを期待しています」と話していました。

また、これから東京に向かうという20代の女性は「東京が追加されれば、感染予防をしたうえで、また何度も遊びに行きたいです」と話していました。

一方で、北海道に帰る娘と孫を見送りに来ていた女性は「感染のリスクを考えると東京が追加されるのは時期的に早いと思います。まだ旅行も県内しか行かないよう控えているので、東京に旅行に行こうとは思わないです」と話していました。

松山の旅行会社 東京へビジネス出張の手配強化

松山市の旅行会社は東京へのビジネス出張の手配を強化するなどの対応にあたっています。

松山市の旅行会社では「Go Toトラベル」の対象に東京を加える政府の方針を受けて、幹部や窓口の担当者が集まり、新たに割り引きの対象になる東京へのビジネス出張の手配を強化することや、来月1日に始まる「Go Toトラベル」のクーポンの利用もあわせて客に案内することなどを確認しました。

また、四国有数の観光地道後温泉本館に近い宿泊施設ではキャンペーンにあわせて通常より最大で7割ほど安くなるプランを販売することにしました。さらに東京から来る客には愛媛県産のみかんの濃厚な味を楽しめるゼリーをプレゼントする予定です。

また、大浴場の脱衣所では隣り合う洗面台の間についたてを設けたほか、大浴場に入る扉を自動にして接触をできるだけ減らすといった感染対策もとりました。

道後プリンスホテルの河内広志社長は、「これまで東京など関東圏の客は宿泊客全体の25%ほどで主力だったので、多くの宿泊客が来ることを期待しています」と話していました。

沖縄 ホテル支配人 期待も「しっかりと対策したうえで訪れて」

土産物店や飲食店が並ぶ那覇市の国際通りでは歓迎する声が上がる一方で感染が再び広がることへの不安も聞かれました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた沖縄県の緊急事態宣言は今月6日から解除されていますが、国際通りはいまも歩く人が少なく、閑散としています。

「GoToトラベル」で来月から東京を発着する旅行も対象とする方針となったことについて、土産物店の女性は「うれしい気持ちとまた感染が広がるのではという不安の気持ちの半々です。早く修学旅行生や観光客でにぎわう普通の状態に戻ってくれればと思います」と話していました。

また50年間、宝石店を営んでいるという男性は「もともと外国人のお客さんが多かったので東京が解除されても多くは期待できません。5か月間、ほとんど売り上げがない状態で本当に苦しいです」と話していました。

国際通りに面したホテルでは感染対策を徹底するなどしてPRしてきました。県独自の緊急事態宣言が解除されてからは客足が戻りつつありますが、それでも部屋の稼働率は40%足らずと例年の半分以下となっています。

ホテルの高倉直久総支配人は「沖縄は東京を含めた関東からのお客様がとても多いので期待しています。ホテル業界としても感染症対策に力を入れてきたのでお客様もしっかりと対策をしたうえで訪れていただければと思う」と話していました。

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