ハロゲンヒーター、石油ファンヒーター、ガスファンヒーターの暖房コストをエアコンと比較

 いよいよ2度目の緊急事態宣言が関西など7府県にも拡大されるなど、テレワークを余儀なくされるサラリーマンも増えている。自宅で過ごす時間が増え、電気代が増えた人もいるだろう。フリーランスで自宅で仕事をしている人も、サラリーマン時代より電気代が増えることが多い。さらに寒波の影響もあって、電力需給逼迫のニュースも聞こえてくる。

 前回はエアコンの電気代が温度設定や外気温でとう変わるかを実証してみた。今回はエアコンとハロゲンヒーターやガスファンヒーターなどの暖房コストを検証する。その前に節電の基本となる、電気料金の複雑な算出方法など小難しい話から説明したい。

複雑な電気料金の算出方法、東京電力「従量電灯B」の場合で解説

 電気料金の算出方法は電力会社によって異なり、契約するプランによっても違いがある。大手電力会社は、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社。多くの人はこれら地元の電力会社を利用していると思う。

 電力会社は自由に選ぶことができる。例えば東京電力のプランの中には「北海道エリア」「中部エリア」「九州エリア」など関東エリア以外で東京電力を選択することが可能だ。逆に関東に住んでいて中部電力や四国電力と契約することもできる。

東京電力は関東以外エリアでも利用可能

 さらにガス会社、石油会社、電話会社、家電店なども電力の提供を行っているので、地域によっては100を超えるプランから選択することができる。「電気とガスをセットで契約する」などのセットプランもあり、選択肢が多すぎて困るほどの状況だ。

 節電を考えるために、電気料金が算出される仕組みを理解しておきたい。ここでは代表的な東京電力の「従量電灯B」の電気料金の算出方法を解説しよう。

 電気料金は①基本料金、②電力量料金、③燃料費調整、④再生可能エネルギー発電促進賦課金で構成されている。

電気料金は4つの項目で構成されている

 ①基本料金はアンペア契約などと呼ばれていて、少ないアンペアで契約すると料金は安くなるがブレーカーが上がりやすくなる。1000W級の電化製品、例えばドライヤー、電子レンジ、エアコンを同時に使用すると電流は30Aほどとなり、30Aで契約しているとブレーカーが上がり、デスクトップPCの作りかけのデータが吹っ飛ぶことがある。家族が多くなると40A、50Aなど大きめの契約をするのが一般的だ。子どもが家を離れて家族構成が減った人は、アンペア契約を見直すと電気代を安くできる。

 ②電力量料金が電気料金の主役で、使用した電力量に応じて支払う電気代だ。注目すべきは使用した電力量が増えると、単価が高くなること。例えばエアコンを平均330Wで3時間ほど使用すると1000Wh=1kWhなので、普段から消費電力の少ない人は26.48円、多い人は30.57円と、同じ暖房で15%ほど電気代が高くなる。

 ③燃料費調整は原油、液化天然ガス、石炭といった燃料の価格変動を反映したもので、5か月前から3か月間の価格が反映される。8月、9月、10月の燃料の平均価格により翌年1月の燃料費調整が決まる仕組みだ。原油価格が上がったり、円安になったりすると電気代が上がるイメージだ。2020年12月は-5.01円、2021年1月は-5.20円、2月は-5.17円と毎月変動する。

燃料費調整の電気料金への反映イメージ(中部電力ミライズのホームページより)

 ④再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーにより発電された電気を、電力会社が買取りした際に発生した費用を電気料金に上乗せさせたものだ。電力会社は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって買い取ることが義務付けられている。①②③は電力会社や料金プランにより金額が異なるが、④再生可能エネルギー発電促進賦課金は一律で、毎年5月から翌年4月まで毎月固定単価が上乗せされる。

計算してみよう(30Aの契約で350kWhの電力を消費した場合)

①基本料金 30A=858円

②電力量料金
120kWhまで=120×19.88円=2385.6円
300kWhまで=(300-120)×26.48円=4766.4円
300kWh超=(350-300)×30.57円=1528.5円円
 小計 =8680.5→円未満切り捨て 8680円

③燃料費調整(2021年1月)
350×-5.20円=-1820円

④再生可能エネルギー発電促進賦課金
350×2.98円=1043円

①+②+③+④=8761円
※口座振替をしていると55円割引きされる

合計した8761円を350(kWh)で割ると、全てを含んだ単価は 25.03円/kWh となる。

 細かくみると②電力量料金の120超 300kWhまでの単価は26.48円、300kWhを超えると30.57円となっているが、2021年1月の③燃料費調整と④再生可能エネルギー発電促進賦課金を加味すると120超 300kWhまでの単価は24.26円、300kWhを超えると28.35円となる。単価が上がるギリギリ、300kWhの電気代は7344円だ(2021年1月分)。

 東京電力のホームページには電気料金計算サービスがあり、使用量を入力し契約アンペアを選択すると電気料金を自動計算してくれる。便利そうなサービスだが、月の使用量を知るには検針後の「電気ご使用量のお知らせ」を見るはずで、そこには電気代の明細が記載されているので、このサービスを使うシーンを筆者はパッと思いつかなかった。

東京電力の電気料金計算サービス。使用量を入力、アンペア、燃料費調整(月)、口座振替の有無などを選択すると電気料金を計算してくれる

 各電力会社の一般家庭で利用者の多いプランの料金表は以下のリンク先で確認していただきたい。

電力会社を見直すと料金は変わる。ただし解約金が発生する場合も

 チョット気になって筆者の川崎市のオフィスで契約する東京電力と、名古屋の自宅マンションで契約する中部電力の電気料金を比較してみた。2021年1月の単価で先ほど計算例と同じ基本料金 30A/電力量料金 350kWhを比較すると、中部電力は8263円で東京電力より498円安い。中部電力が関東エリアで提供するカテエネプラン(関東エリア)は8308円で東京電力より453円安い結果となった。

 前述のとおり、電力会社や電力プランは地域によっては100を超えるプランから選択することができる。電力プランの比較サイトなどを利用して、低価格なプランに切り替えると電気代を減らすことが可能かもしれない。注意点は賃貸マンションなどに住んでいる人や転勤の多い人は転居にともない解約料金が発生するケースがある。また燃料費調整は毎月変動するので、選択したプランが半年後、1年後も安いという保証はない。

 さらに、フリーランスで電気代やガス代を異なる割合で按分して経費にしている人は、電気とガスをセットにすると確定申告の手間が増える可能性がある。例えば電気代が6580円で事業割合が6割なら経費分は3948円。ガス代が2420円で事業割合が1割なら経費分は242円。会計ソフトで銀行やクレジットカード会社から自動取り込みをしている人は、按分値を変更しなければ毎年自動的に記帳が完了する。

 もし電気とガスをセットにして8610円と390円のコストダウンになったとしよう。その内訳が電気分6360円、ガス分2250円だとすると、会計ソフトで自動処理ができなくなるので、明細を見て電気代の6割は3816円、ガス代の1割は225円という記帳を手作業で毎月行う必要がある。その手間に見合うコスト削減となるかをよく考えたい。

ヒーターとは異なるエアコンの仕組み

 エアコンはエネルギー効率の高い(=暖房コストが安い)、極めて優秀は暖房器具だ。簡単にエアコン暖房の仕組みを説明しよう。エアコンは電気で熱を発生させる器具ではなく、ヒートポンプによる熱交換で屋外の熱を室外機で吸収し、その熱を室内機から部屋に放出している。図のように低温の冷媒を外気で温め(熱を吸収)し、コンプレッサーで圧縮し高温になった冷媒の熱を室内に放出する。

エアコンの熱交換のイメージ(温度は機種や設定により異なる)

 外気温が10度くらいであれば、効率的に熱が吸収できるが、外気温が下がると効率が落ちるため消費電力が増える。そのため以前は寒冷地でエアコンによる暖房はあまり利用されなかった。

「エアコンはヒーターよりはるかに省エネ」を実験

 電気を使用する暖房器具はヒーター(ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、オイルヒーターなど)やコタツ、ホットカーペットなど選択肢が多いが、エアコンは圧倒的にエネルギー効率が高い(=暖房コストが安い)。近所に住むINTERNET Watchの編集長がハロゲンヒーターを貸してくれたので実験してみた。お借りしたヒーターは弱・中・強の3段階の設定が可能で、消費電力は弱で280W、中で520W、強で740Wほど。強にして3時間稼働させたときの室温の変化を測定した。

手前はお借りしたハロゲンヒーター。後ろは石油ファンヒーター、ガスファンヒーター

ハロゲンヒーターを強で3時間稼働させたときの消費電力と室温

 室温15.4℃、外気温は10℃で測定を開始し、測定開始から1時間で室温は18.1℃。2時間で18.9℃。2時間50分で19.8℃まで上昇し、それ以上は室温は上がらなかった。電力はノンインテリジェントなヒーターなので730~750Wでほぼ一定。前回の記事で条件が近い、エアコンの「外気温11℃ エアコン温度設定20℃」と比べるとその差は歴然だ。

外気温11℃、エアコンの温度設定20℃のグラフ

 温度の推移が異なるので比較しづらいが、ヒーターで室温が15.4℃→19.4℃まで4℃上昇する時間は174分。エアコンは16℃→20℃まで13分。その間の消費電力量はヒーターが1667Wh。エアコンは111Whと、ヒーターはエアコンに対し時間で13倍、電力量(=電気代)で15倍となった。温度が安定してからの1時間あたりの消費電力はヒーターが734Wh、エアコンが250Whとヒーターは2.9倍だった。

外気温 約10~11度 ハロゲンヒーター エアコン
室温が4度上昇するまで 時間 174分 13分
電力量 1667Wh 111Wh
電気代 41.7円 2.8円
温度安定後1時間の電力 電力量 734Wh 250Wh
電気代 18.4円 6.3円

 電気代のことなど考えたこともなかった20年ほど前、温風を吹き出すセラミックヒーターは低価格で安全、快適と使用した時期があったが、エアコンとのエネルギー効率の差を知ってからは使わなくなった。トイレなどの狭空間でエアコン設置ができない場所での使用は仕方ないが、電気代のことを考えるとエアコンの使用をお勧めしたい。

全ての測定は、温度測定ロガーをエアコンの前に吊して設置した

コタツや電気毛布を組み合わせて節電

 筆者のオフィスにコタツはない。DOS/V POWER REPORTでライターをしている石川ひさよしさん宅にコタツがあると聞いて、測定機持参で訪問し計測させてもらった。20分ごとに設定ダイヤルを最弱、中間、最強に変更すると最弱は75Wほど、中間は130~150W、最強は260→190Wくらいとなった。20分では温度が一定にならず一直線に上昇している。

コタツの電力と温度

 最強にした直後に電力が下がっているので、ダイヤル設定のターゲット温度に達すると電力を抑えて温度を一定に保つ動作をしたと思われる。30分~1時間ごとに設定を変えると、もっと動作が理解できるデータになったと思われるが、ご自宅にお邪魔したうえ電気代を使わせてもらっての測定なので参考程度に見ていただきたい。

 推定値としては弱なら75Wほどでコタツ内は25℃以上。最強にすれば190Wくらいで40℃弱の温度がキープできそうだ。最近はコタツとは無縁の筆者だが、昔の記憶では「最強は熱すぎ」だと思うので、100~150Wくらいがコタツの平均的な消費電力だと思われる。

 コタツ内の体積と部屋の体積は百倍以上の差がある。部屋全体を温めるエアコンと比べ消費電力は少ない。筆者は学生時代に電話帳をコタツの脚の下に入れてかさ上げし、寝返りが打てるようにしてコタツで寝ていた時期があった。コタツ→睡魔→仕事に向かないと思っていて利用はしていないが、仕事中は足元に小型暖房マット、メッシュチェアに電気敷き毛布を局所暖房として利用している。消費電力は2つ足して60~70Wくらい。エアコンや石油ファンヒーターの設定温度を下げ、やや寒いのを厚着+局所暖房で補うようにしている。

足元は小型暖房マット。40W強で表面温度は40℃くらい

仕事椅子には電気敷き毛布。こちらはダイヤル設定により60Wくらでオンオフを繰り返す

座面までメッシュの椅子は夏にお尻が涼しい

電気vsガスvs灯油、エネルギーコスパが最も優れるのは灯油!?

 暖房は電気以外にガスや灯油という選択肢もある。電気、ガス、灯油のエネルギーを比べてみよう。調べてみると都市ガスや灯油の単位あたりのエネルギーは微妙にバラつきがある。東京ガス、大阪ガスのホームページには成分表が公開されていて、メタン、エタン、プロパン、ブタンの比率は会社ごとに異なっている。平均的な値で電気、都市ガス、灯油のエネルギーと筆者宅のガス単価、灯油の購入価格で比較してみた。

電気 都市ガス 灯油
単価 25円/kWh 122.94円/m 3 74円/L
単位エネルギー 860kcal 10750kcal 8750kcal
1円あたりのエネルギー 34.4kcal 87.4kcal 118.2kcal
比率 1 2.54 3.44

 単価は常に変動するので参考程度に比較すると1円あたりのエネルギーは、電気に対し都市ガスは2.54倍、灯油は3.44倍となる。ヒーターによる暖房より、理論的にはガスファンヒーターや石油ファンヒーターは数倍安い計算となる。機種や外気温により差はあるが、エアコンはヒーターに対し3~7倍は効率が高いと言われるので、ガスや灯油と同等、条件によっては圧倒的に安い暖房器具だと思われる。

実験!! ガスファンヒーターとエアコンとどっちが安い?

 INTERNET Watchの編集長が来た際に「ガスメーターを監視カメラで撮影したらガス代が測れるかも」という話題となり試してみた。分単位のガス使用料が0.001m 3 程度で分解能はイマイチだが累積のガス使用量なら参考程度のデータにはなりそうだ。

 現在のオフィス兼住居は部屋にガス栓が付いている。過去にガス栓のある家に住んだことがなく、試しにガスファンヒーターを買って息子の部屋に設置してみた。使ってみると石油ファンヒーターのように燃焼開始時終了時の臭いもなく、余熱時間も不要で瞬時に強力な温風を吹き出してくれるので親子で「ガスファンヒーター、いいね」となった。これを仕事部屋に設置し、エアコン計測時と同じ位置の温度計が20℃になるようにガスファンヒーターを設定し深夜外気温0℃で1時間稼働させてみた。

深夜、外気温0℃くらいで実測した

 計測はガスメーターのボックスの扉にプラネックスの監視カメラを設置。扉がスチール製なのでマグネットアダプタで固定、microSDカードに録画されたメーターの1分ごとの数値をエクセルに手入力した。毎分のガスの消費量は燃焼開始後は0.003~0.004m 3 、温度安定後は0.001~0.002とメーターの下1桁しか分解能がないのでグラフは累積値で表示した。

プラネックスの監視カメラをメーターボックスの扉に磁石で設置。測定中はWi-Fiがつながるように扉を半開きにした

スマホで室内からガスメーターを監視できる。計測前は878.095

計測後は878.245。1時間で0.15m3のガスが消費された

ガスファンヒーターを1時間使用した際のガス使用量と室温

 室温が14.7→20℃まで上昇する時間は19分、0.067m 3 。26分で20.8℃に達するまで強めの0.0035m 3 /分で燃焼し累計は0.091m 3 。ここから燃焼は弱くなり、1時間までは0.0017m 3 /分で燃焼し、室温は20℃付近で推移。

 都市ガスの単価を122.94円とすると20℃まで上昇するまでガス代は8.2円、安定状態で1時間に換算した都市ガスの燃焼量は0.104m 3 。ガス代は12.8円となった。外気温0℃、エアコンの温度設定20℃の検証と比較してみよう。

前回の記事で計測した外気温0℃、エアコンの温度設定20℃のグラフ

外気温 約0℃、温度設定20℃ エアコン ガスファンヒーター
温度設定に達するまで 時間 20分 19分
電力量・ガス消費量 206Wh 0.067m 3
コスト 5.2円 8.2円
温度安定後 1時間あたり 電力量・ガス消費量 355Wh 0.104m 3
コスト 8.9円 12.8円

 20℃に達するまでのガスファンヒーターのコストは1.58倍、安定状態のコストは1.44倍とエアコンよりガスファンヒーターの暖房コストは高い結果となった。

エアコンはコスパ最高

 エアコン、ハロゲンヒーター、ガスファンヒーターの暖房コストを実測で比較してきた。外気温や壁・家具が蓄えた熱などはコントロールできないため、実家屋での計測は繰り返し精度が低く信頼度の高いデータではないが、暖房方法による差はおおむね想定どおりの傾向となった。

夕方から深夜まで外気温が下がるにつれエアコンの1時間あたりの電力量は増えていく。外気温を一定に保つことは容易ではなく、信頼度の高い測定は難しい

 これまでの実証で、エアコンのエネルギー効率は高く、極めて暖房コストが低いことが分かった。電気、都市ガス、灯油の価格は地域差もあるし常に変動するが、エネルギーのコスト比較で、1円あたりのエネルギーが電気より2.54倍高い都市ガス(ガスファンヒーター)よりも1.5倍前後も低コストだった。エアコンは、外気温が低いと効率が落ちると言われているが、0℃でもヒーターの4倍近い効率だと想像される。

 ちなみに石油ファンヒーターを体重計で重さを計り、しばらく燃焼後に再度計ると0.2kgほど軽くなった。都市ガスと灯油のエネルギーから理論値で計算すると都市ガス0.15m 3 と同エネルギーの灯油は0.18L、重さで150g程度なので0.1kg単位の体重計ではまともな計測は不可能だった。エアコンが4倍の効率であれば石油ファンヒーターの3.44倍を上回っていて「エアコン、コスパ最高」と言えそうだ。

 付け加えるとガスファンヒーターも石油ファンヒーターも電力を消費する。稼働中は送風するための電力が20~30W、1時間に1円以下の電気代が燃料コストに上乗せとなる。石油ファンヒーターは燃焼前に灯油を気化するための570Wで3分ほど加熱電力を消費する。短時間だがここでも0.7円ほど電気代がかかっている。

電力需給が逼迫、ガス機器も組み合わせて電力ピークを下げよう

 大手電力会社で構成する電気事業連合会は10日、電力需給の逼迫を受け節電への協力を呼びかけた。これから先の天候がどうなるかは分からないが、この冬は節電を求められる機会が増えそうだ。加えて緊急事態宣言が発令され、家庭での電力消費が増加する可能性が高い。電力会社が公開している電力需要のデータをみると、朝9時前とと夕方18時前後にピークが訪れる。万が一大規模停電などが発生すると命にかかわるので、朝夕の電気製品の使い方も注意したい。

東北電力のでんき予報。ピークは9時台と17時台

九州電力のでんき予報。ピークは8時台と18時台

 電気事業連合会は「暖房以外の電気機器の使用を控えるなど……」と節電を呼びかけているが、電力需要を下げるには暖房の仕方を見直すのが効果的だ。その方法は以下が挙げられる。

  • ヒーター類よりエアコンを使用する
  • エアコンは設定温度を下げる
  • ガス、灯油など電気以外の暖房器具を使用する

 エアコンに関してもう少し細かな方法は、

  • エアコンの温度設定を徐々に上げる→最初の電力ピークを分散する
  • エアコンの開始時間を前後にずらす。朝8時にオンする人は7時にオンすればピークシフト
  • エアコンのフィルターを掃除する
  • 室外機回りの送風をさまたげるものを移動する

 さらに、エアコン以外の暖房器具を持っている人は、最初に20~30分ほどをガスファンヒーターや石油ファンヒーターで室温を上げ、そこからエアコンに切り替えればエアコン特有の稼働開始時のピーク電力を抑えることができ、その後は低コストなエアコンの安定動作と両立も可能だ。

 次のグラフは室温11℃でエアコンの温度設定を20℃で稼働させたときの電力(赤線)と室温(赤点線)と、事前に石油ファンヒーターで室温を21℃くらいに上げてから、エアコンの温度設定を17℃で稼働させたときの電力(青線)と室温(青点線)場合の比較だ。暖房前の室温と設定温度に差があると最初に大きな電力ピークが訪れる。事前に室温を上げておくと電力ピークを回避することができる。設定温度を下げることで安定後も電力を下げることが可能だ。

ピークシフトの例

 エアコン以外で朝夕に電力消費が多そうなのは炊飯器。「炊きたてが食べたい」は筆者も大いに賛成だが、朝8時や夕方18時に炊飯器を使用している人は6時、16時に炊いて少し保温するようにすればピークシフトができる。瞬間にお湯を沸かす電気ポッドも1000W越えの電力を消費する。朝夕はガスコンロ+やかんに切り替えることも考えていただきたい。

暖房中の二酸化炭素(CO2)を測ったら驚きの結果に

 昨年、筆者は室内の二酸化炭素濃度を計測できるCO2チェッカーを購入した。きっかけは知り合いの著名ライターさんの記事に「空気中の二酸化炭素濃度が高くなってくると人は眠気を感じる」と書かれていたからだ。ザックリ言うと、部屋の二酸化炭素濃度(CO2)が高くなると眠くなるから、換気をしてCO2を下げれば眠気がなくなる……はずということだ。

CO2チェッカーをパソコンディスプレイの奥に設置した

 二酸化炭素濃度の目安は1000ppmで、これを超えると眠気が襲ってきて、2000ppmを超えると人によっては酸素不足で頭痛まで起こりやすくなるそうだ。実際に設置したCO2チェッカーの値を見ると、閉め切った部屋では1時間も経たずに1000ppmを超える。窓とドアを開けるとジワジワと下がるが、閉めきったままだと翌朝になっても高い値のままだ。窓を開けずドアを開けただけではなかなか下がらないので「換気は2か所開ける」という方法が正しいことが分かる。

 で、実際にCO2の値が高くなると眠気が襲い、換気すると眠気が解消するかと言うと……、筆者にはあまり関係ない印象だ。個人差はあると思うが、CO2の値が高くても眠気を感じないときもあるし、CO2の値が低くても眠いときは眠い。

 部屋を閉め切っているとジワジワと上昇するCO2の値が、石油ファンヒーター、ガスファンヒーターを使用すると、あっと言う間に上昇。初めて計測上限値を超えた際に「Hi」の文字が表示されることを知った。

 石油ファンヒーター、ガスファンヒーターによるCO2の変化を計測してみた。電気代とは関係ないがCO2の値が気になる人は参考にしていただきたい。測定方法は、今回もプラネックスの監視カメラをディスプレイの前に小型三脚で設置してCO2チェッカーの値を録画。録画した映像を再生して1分ごとの数値をエクセルに手入力した。

監視カメラを三脚を利用して設置し撮影した

 まずは窓とドアを開けて換気。自分が室内に入るとすぐにCO2が上昇するので、別室で監視カメラの映像をスマホで確認。500ppmくらいで安定するのを待って、窓とドアを閉めてファンヒーターを始動。部屋を出て別室からスマホで計測上限の3000ppmを超えて「Hi」の表示になったら計測終了とした。

別室から監視カメラの映像でCO2をチェック

 石油ファンヒーターもガスファンヒーターも“瞬殺”だった。石油ファンヒーターは3分ほどで燃焼が始まると6分(実質3分)で1000ppmを超え15分で3000ppmに達した。ガスファンヒーターはすぐに燃焼が始まるので3分で1000ppmを突破。18分で3000ppmに達した。石油ファンヒーターの方がCO2の上昇が早く見えるが、これは器具の性能によるものだと思われる。大型のガスファンヒーターを使用すると逆の結果になったかもしれない。いずれにせよ、燃焼をともなうファンヒーターは盛大にCO2を排出し、部屋の二酸化炭素濃度は急激に上昇する。

30分間のCO2の推移

 この結果を見て筆者は……気にしないことにした(←個人の感想です)。元々CO2による眠気の影響を感じていなかったし、何十年も石油ファンヒーターを使用してきたので、筆者は今さら気にしても仕方がないと開き直ったが、健康のため読者には定期的に換気を行うことをお勧めしたい。

 参考程度に人によるCO2の上昇も計測してみた。換気をして別室でCO2の値が500ppm程度に下がったのを確認して筆者を仕事部屋に設置。仕事部屋は約9畳、筆者の体重は87kgくらいのデブという条件で、40分で1000ppmを超え2時間20分で1500ppmとなった。長時間の計測なので、トイレに行ったり、飲み物を取りに行ったり、何度か部屋を出ている。狭い部屋だとCO2は上がりやすく、体重が軽い人だとCO2は上がりにくいような気はする。

2時間30分間のCO2の推移

 これを見るとCO2を排出しないエアコンは最強の暖房器具と言えよう。ついでにコロナ禍で叫ばれる換気について言及すると、一人暮らしで自分が感染していなければ、飛沫感染という観点では換気は不要だ。ただ、いつ感染するかは分からないので、家族がいる人は換気により家庭内での感染が防止される可能性はある。

 換気をすると熱が逃げ暖房費が増えるが、過度に神経質になる必要はないと思っている。夏の冷蔵庫を思い浮かべていただきたい。冷蔵庫は庫内の飲食物を冷やすために庫内の空気を冷やす。夏の冷房は室内の空気を冷やすことが目的だが、室内の家具や、壁、床、天井も冷える。冷蔵庫のドアを開けると冷気は逃げるが、すぐに飲食物の温度が常温に戻ることはない。部屋も同様で換気をすると冷房・暖房した空気は逃げるが、家具や建物の温度はすぐに変化しないので、換気が終われば室温の回復は早い。

 次回はPC、液晶ディスプレイ、NAS、ルーターなどパソコン関連の消費電力について紹介したい。


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