最大限得られる準備急務

2020年4月16日 午前7時30分

 【論説】北陸新幹線が敦賀まで延伸すると、福井県への経済波及効果は年間約309億円になるとの試算を日本政策投資銀行北陸支店がまとめた。2023年春の開業まであと3年、新型コロナウイルスの影響でなかなか厳しい状況ではあるが、最大限の効果が得られるよう準備を急ぎたい。

 国土交通省による全国幹線旅客純流動調査や地域ブランド調査などの指標を組み合わせ、入り込み客数を推計するモデル式を構築した。それに当てはめると、開業により首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)からはビジネスで年間約35万9千人、観光で35万5千人、関西圏(大阪、京都、兵庫、滋賀)からはビジネスで年間約3万2千人、観光で約3万9千人の増加が見込めるとしている。

 経済波及効果は、旅行客が支払う飲食費や宿泊費などの直接的な効果としてビジネスで約91億円、観光で約100億円の年間約191億円。土産物の生産など間接的な効果として約71億円、サービスなど就業者の所得水準が上がり消費が増えることに伴う効果を約48億円と見積もり、合わせて約309億円とした。

 金沢開業前の13年に同支店が行った石川、富山両県の調査では、石川県で約124億円、富山県で約88億円と試算したが、開業後の調査では石川県は約678億円、富山県は約304億円と大幅に上方修正している。調査の基になる数値などが異なるため石川、富山両県と一概に比較はできないが、福井県の効果も今後の取り組み次第では、309億円から大きく膨らむことが期待できる。

 一方、気になる点もある。石川、富山両県の調査では、観光の経済効果がビジネスを大きく上回ったのに対し、福井県は観光とビジネスが同程度にとどまっていることだ。福井の場合は観光面でまだまだ伸びしろがあるとみるべきで、同支店も「広域周遊の施策など、観光客の増加に向けたさまざまな取り組みが必要」と指摘している。

 新幹線開業時には県内に芦原温泉、福井、南越(仮称)、敦賀の4駅が設けられ、現在それぞれの駅周辺で再開発事業が進んでいる。単なる通過駅にならないよう魅力ある地域づくりが必要だし、点在する観光地を結ぶ2次交通の充実や宿泊施設の整備も課題だ。

 県内ではレール敷設工事が始まり、いよいよ開業がリアルに感じられるようになってきた。新型コロナウイルスが終息して万全の体制で観光客やビジネス客を受け入れられるよう、みんなで知恵を絞りたい。


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