自民党の菅義偉総裁は16日、第202臨時国会の衆参両本会議における首相指名選挙で、第99代総理大臣に指名された(衆議院は462票中314票、参議院は244票中142票)。この後直ちに、組閣本部を設置して、菅内閣を発足させる。気になる人事・組閣では、統合型リゾート(IR)について、党役員人事で、IR候補地の和歌山県を地元とする二階俊博幹事長の再任が決まっており、内閣でもIRの担当大臣である赤羽一嘉国土交通相が再任される見込みで、政府の基本的な方針は変更がなさそうだが、今後の進捗については、新型コロナ感染症対策など優先案件が多く、楽観はできない。

首相官邸のFacebookページより

 


党役員人事・内閣組閣はIRを変わらず進める布陣、自治体・経済界からも期待が

 菅総裁はすでに自民党の役員人事は終えており、二階俊博幹事長と森山裕国対委員長が再任され、総務会長に佐藤勉元総務相、政調会長に下村博文選対委員長、選対委員長に山口泰明組織運動本部長が選ばれている。内閣についても、麻生太郎副総理兼財務相、赤羽一嘉国土交通相が再任され、新設の万博担当大臣には井上信治元環境副大臣が選ばれる見込みで、政府の基本的な方針は変更がなさそうだが、IRについては、7月に出る予定が無期延期になっている基本方針の策定・公布や、これに基づいて手を挙げる各自治体のスケジュールに直結する2021年1月4日~7月30日に予定されているIR区域整備計画の認定申請の受け付けなどの進捗が、新型コロナ感染症対策など優先案件が多く、まだ見えない。菅内閣が船出してからの動きが注目される。

 菅総裁が総裁選で勝利した際に、IRに手を挙げる意思を表明している自治体では、毎日新聞などによると、大阪府の吉村洋文知事が14日、「大阪と国がしっかり連携しながら大阪の成長を目指していきたい。自民と維新は(国政では)与党と野党なので、是々非々でしっかり打ち出したい」と述べており、菅総裁と近いと言われる大阪市の松井一郎市長(日本維新の会代表)は「喜怒哀楽を共有できる新総裁の誕生を心からお祝い申し上げたい。政権交代可能な2大政党制を作っていく必要があり、その一翼を担うことのできる政党となるため、胸をお貸しいただきたい」とコメントしていて、2025年の大阪・関西万博、IRなどでの連携に期待感がにじんだ。

 日本経済新聞などによると、関西経済連合会の松本正義会長は14日、菅総裁について、「大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)といった関西のビッグプロジェクトにも深く関わり、関西経済界として心強く感じている」と話している。

 また、紀伊民報などによると、和歌山県の仁坂吉伸知事は14日、「和歌山県知事として評価すれば、ベストの選択だったと思う」と話し、「今の政権がやってきたことは、基本的に評価している。地方振興や国土強靱化のほか、外交やマクロ経済政策も、大変な中でちゃんとやっていると思う。日本をうまく導いてくれると思うので、ずっと続けてほしい」と述べており、地元の二階幹事長が再任されたこともあり、前向きに菅総裁を評価している。

 長崎県の中村法道知事は、長崎新聞などによると、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致や九州新幹線長崎ルートの建設促進など、長崎県の課題に「一層のお力添えを賜りたい」と報道陣に語り、世界文化遺産登録などで「格別のお力添えを頂いた」とも述べ、「力強いリーダーシップで国民の期待に応えてほしい」と期待感を示した。

 菅総裁は9月4日のテレビ番組で、統合型リゾート(IR)について、「IRは観光政策を進める上で必要不可欠と考えている」と延べ、「カジノだけに目が行きがちだが、家族とともに過ごせる施設やホテル、国際会議の際に家族で来て宿泊して楽しめるなど、政府としてIRは進めていこうと思っている」と語っており、今回の人事・組閣にも変わらず進める意思は現れている。

 菅総裁は、衆議院神奈川2区選出の当選8回で、71歳。派閥には属していない。横浜市会議員を2期務め、1996年の衆議院選挙で初当選した。2012年、第2次安倍内閣で官房長官に就任して以来、安倍晋三・前総理大臣を支えてきた。IR候補地の中では、地元が横浜であることから横浜市の林文子・市長とは近い。

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