政令指定都市の大阪市を廃止して4つの特別区に再編するとしたいわゆる「大阪都構想」の協定書について、大阪市議会は賛成多数で承認しました。
協定書は先に大阪府議会でも承認されていて、これにより、大阪市の有権者による2度目の住民投票の実施が決まりました。

いわゆる「大阪都構想」の協定書を審議する大阪市の臨時市議会は、閉会日の3日、本会議が開かれ、市議会の5つの会派が、賛成、反対それぞれの立場で討論を行いました。
このうち、都構想を推進する大阪維新の会は、「4つの特別区設置で、より住民サービスが拡充される大阪をつくっていきたい。まさに歴史的な改革と呼べるものであり、地方からの改革こそ、今後の日本における真の地方分権への大きな流れを生み出す歴史的な一歩となる」と主張しました。
一方、都構想に反対する自民党は、「すべての特別区における財源と職員体制は極めてぜい弱であり、加えてコストの負担も、大きく財政運営に響いてくる。この協定書の内容で、本当に大阪市民に幸せを約束できるのか、いま一度、真剣に考えていただきたい」と指摘しました。
このあと、記名投票による採決が行われ、協定書は、大阪維新の会と公明党の賛成多数で承認されました。
一方、自民党と共産党などは反対しました。
協定書をめぐっては、先月28日に大阪府議会でも賛成多数で承認されていて、これにより、5年前の平成27年に続く、大阪市の有権者による2度目の住民投票の実施が決まりました。
大阪維新の会の代表を務める大阪市の松井市長は、11月1日に住民投票を行うことを目指していて、新型コロナウイルスの感染状況や国政をめぐる情勢などを見極めたうえで最終決定したい考えで、今後、住民投票に向けた賛成派、反対派双方の運動が本格化します。

【大阪 北区の商店街では】。
いわゆる「大阪都構想」の協定書が承認され、2度目の住民投票の実施が決まったことについて、大阪・北区の商店街では行政の効率化につながるという声が聞かれた一方、住民投票より新型コロナウイルス対策を優先すべきだという意見が聞かれました。
このうち、50代の男性は、「都構想には賛成です。行政のむだを省けるし、東京と対抗できる2極をつくるという意味でも方向性は間違っていないと思います」と話していました。
70代の男性は、「大阪市民の税金が大阪府という役所に流れ、市民にとってメリットはあまりないのではないか。住民投票の結果は一度、出たのに、もう一回行うのはいいこととは思わない」と話していました。
40代の女性は、「経費の削減につながるなら進めたらいいと思うが、内容がまだ詳しくわからない」と話していました。
30代の男性は、「新型コロナウイルスの状況のほうが気になっていて、あまり関心がない。住民投票よりコロナ対策を優先してほしい」と話していました。

【松井市長は】。
大阪維新の会の代表を務める大阪市の松井市長は、記者団に対し、「2015年の住民投票のときには、あまりにもエキサイティングな形でぶつかり合った。今回は住民に冷静に判断してほしいので、中身を丁寧に説明し、エキサイトしすぎない行動をしていきたい。気を引き締めて丁寧に説明し、住民投票で賛成多数を勝ち取りたい」と述べました。

【公明党は】。
公明党大阪市議団の西崎幹事長は記者団に対し、「一つの通過点を過ぎたという思いだ。これまで『住民のために』という思いで、信念をもって議論を進めてきたので、これからは、さらに丁寧に説明をしていかなければならないと思っている」と述べました。

【自民党は】。
自民党大阪市議団の北野幹事長は記者団に対し、「大阪市を残さなければ、市民サービスは維持されない。かくなる上は、市民と一緒になって、『今度は、市民の皆さんが決めることだ』と訴えていきたい。わざわざ苦しい自治体になりたいのか。市民にメリットはないと訴えていく」と述べました。

【共産党は】。
共産党大阪市議団の山中団長は記者団に対し、「議会人として本当に情けない思いでいっぱいだが、いよいよ市民と一緒に決めていくときが来た。市民の力ではね返していくため、草の根の戦いを1日でも早く、1人でも多く広げていくことに尽きる」と述べました。

【立憲民主党は】。
立憲民主党大阪府連は、3日夕方、大阪市役所で記者会見を開き、府連の尾辻副代表は、「私たちは大阪市の廃止分割には反対だ。デメリットがどういう部分かをしっかりまとめて、市民に理解してもらえるよう、サイトやツイッターなどあらゆる方法を使って発信していきたい」と述べました。

【菅官房長官は】。
菅官房長官は、午後の記者会見で、「『大阪都構想』は、大阪市を廃止して特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものと認識している。特別区設置の成否は、法令の手続きに沿って地域の判断に委ねられることになっている。関係者間の真摯(しんし)な議論を期待している」と述べました。

【都構想協定書の概要】。
いわゆる「大阪都構想」は、東京23区をモデルに、政令指定都市の大阪市を廃止して4つの特別区に再編し、この特別区が子育てや福祉など住民に身近な行政を担う一方、成長戦略や消防などの広域行政を大阪府に一元化する構想です。
協定書では、いまの大阪市を廃止して、新たに「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」の4つの特別区を設置するとしていて、特別区への移行日は「大阪・関西万博」が開催される年の令和7年1月1日としています。
4つの特別区には、▼淀川区に新大阪、▼北区には梅田、▼中央区はミナミ、▼天王寺区には天王寺と、それぞれ拠点となる商業地などが組み込まれています。
また、住民の利便性を維持するため、大阪市役所をはじめ現在の24区の庁舎を、特別区の本庁舎や、行政窓口などとして活用することにしています。
財政面では、安定した住民サービスを提供できるよう、最初の10年間は、大阪府から毎年、特別区に一定額を支出するとしています。
また、4つの特別区のすべてに児童相談所を設置するほか、大阪府に、特別区との調整業務を担う「特別区連携局」や、消防を統括する「消防庁」などの新しい組織を新設するとしています。
さらに、各特別区の区議会議員の定数は、「淀川区」が18人、「北区」と「中央区」が23人、「天王寺区」が19人となっています。
一方、特別区への移行にかかる当初のコストは、システム改修費に182億円、庁舎の整備費に46億円、まちの案内表示などを変更する費用などに13億円のあわせて241億円を見込んでいます。
これに対し、反対派からは、大阪市の廃止で、福祉や教育などの住民サービスが低下するおそれがあるという指摘や、特別区が財政的に成り立つのか疑問だといった声が出ています。

【都構想で府市の役割は】。
いわゆる「大阪都構想」は、大阪府と大阪市が同じような業務を行う二重行政を解消するとして提唱されました。
大阪府と大阪市という2つの大きな役所は、成長戦略の立案や観光振興をはじめ、港湾の管理、大学や高校の運営などの業務をそれぞれが行ってきました。
「都構想」では、こうした広域的な業務のほか、大阪市が担当してきた消防や水道事業も大阪府が一元的に担い、特別区と役割を分担するとしています。
特別区は、より住民に身近なサービスを担当し、認定こども園や児童相談所の設置、小中学校の運営、地域のまちづくりなどを行います。

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