豊岡は日本最大のかばんの街って知ってた???

豊岡市街中心部には“カバンストリート”なるものが!

 日本の4大鞄産地のなかでも、飛び抜けて長い歴史があるのが豊岡市。なんと西暦27年に豊岡の鞄のルーツとなる柳細工の技術が伝わったと言われているのです。実に2000年近く(!)の歴史がある豊岡の鞄ですが、そもそもなぜこの地が鞄の産地になったかと言うと、2つの大きな理由があります。湿地帯という風土を活かして昔から「行李柳(コリヤナギ)」という柳を育て、それを使った柳細工が栄えたこと。2つ目は、地理的に日本海の海産物が舟で到着する場所だった豊岡は、それらを神戸や大阪といった都市に運ぶ役割がありました。その際に運ぶための籠が必要だったのです。そう、豊岡の鞄のスタートはこの“籠”なのです。

「トヨオカ カバン アルチザン アベニュー」。アルチザンとはフランス語で“職人”という意味

 今回おじゃましたのは「トヨオカ カバン アルチザン アベニュー」。オリジナルブランドはもちろん、豊岡産のさまざまな厳選ブランド鞄を取り扱う鞄専門店です。市の中心部だけでも約60社もの鞄製造メーカーがあるのだそうで、日本製といわれる鞄の約7割が豊岡製なのだとか。あなたの鞄もメイド・イン・トヨオカかもしれませんよ。

2006年に登録商標として認定されたロゴマーク

 豊岡には“鞄の神様”を祀る神社があって、その神社では鞄に携わる若手を中心に神輿を担ぐことができるという、年に一度のお祭りがあるのだとか。ここ豊岡で鞄産業がどれだけ大切に守られているか分かりますよね。

「鞄の街・豊岡の大きな3つの強みは、(1)鞄の神様がいること、(2)1000年以上の歴史があること、(3)そして鞄職人が日本一いること。これらはどれもお金では買えないもの。買えないということはどこも真似できないということなんです」という担当者さんの言葉がとても印象的でした。

文学好きさんにオススメ! 城崎文芸館

城崎文芸館は温泉街の中心部にあります

 次にご紹介するのは「KINOBUN」の愛称で知られる城崎文芸館です。ここは2016年10月にブックディレクターの幅允孝さん監修でリニューアルしたばかり。常設展では「城の崎にて」で有名な志賀直哉をはじめ、それぞれの作品のなかで城崎の街を登場させている武者小路実篤や高村光太郎といった白樺派作家の本や書画を紹介しています。

白くてステキな外観。足湯もあります

1階は物販、書籍の販売などのフリースペース

センスのいいオリジナルグッズいろいろ

ドリンクを飲みながらゆっくり本が読めるスペースも

 城崎文芸館では1年に2回のペースで企画展を開催しています。現在は「鴨川ホルモー」や「鹿男あをによし」などで知られる人気作家の万城目学さん。題して「万城目学と城崎温泉」展。城崎のNPO法人「本と温泉」から出版されたタオル型防水本「城崎裁判」が作られた背景などを紹介しています。開催期間は2017年5月7日まで。万城目学ファンはぜひ期間中に足を運んでみてはいかがでしょうか。ちなみに5月から始まる第2回の企画展は湊かなえさんだそう。こちらも盛り上がること間違いなしな企画展になりそうですね。

日本、いや世界最先端! 城崎国際アートセンターがスゴい

世界からアーティストが訪れる城崎国際アートセンター (C)西山円茄

 木造3階建ての純日本風家屋が立ち並ぶ城崎温泉は、私が思ってもみなかったもう一つの素晴らしい一面を持っていました。次にご紹介する「城崎国際アートセンター」がそれです。ここはもともと1980年代に建てられた城崎大会議館という研修施設でした。地方自治体でよく見られる、いわゆる“ハコモノ”施設だったのです。

 建てられてから30年余。年間わずか20日間ほどしか稼働していない大会議館をなんとか有効活用ができていないものか? と考え出されたのが「劇団に無料で場所を提供してはどうか?」という発想でした。なぜなら6つのスタジオ、1000人収容のホール、そして最大22名が泊まれる宿泊施設がある建物だったからです。

 情報発信力や影響力のある人たちといえばアーティスト。なかでもスタジオやホールを有効に使ってもらえるダンスや演劇といった舞台芸術を創作する人たちを迎え入れれば、街に新しい人の流れができるのでは? と考えたのは豊岡市長でした。こうして“アートセンター構想”が生まれ、2014年にオープンしたのが城崎国際アートセンターです。

柱には滞在した世界各国のアーティストのサインが

 滞在費やスタジオ利用料は無料、そのほかの費用は自分で負担してくださいねというスタンスで“果たしてわざわざ東京から豊岡まで来るだろうか?”という心配はあったそうですが、蓋を開けてみると初年度は年間稼働日が250日、なんと500名を超えるアーティストが滞在したそうです。

 作品制作に集中できることに加え、利用する側の付加価値としては、なんといっても城崎の温泉に入れること! 街に出ていき温泉に入って観光客にまぎれこむと、心の底からリラックスできてクリエーションがうまくいくと評判なのだとか。そして地域の人たちとの交流なども創作活動の刺激になっているのだそうですよ。

このようなスタジオを6つも備えています

 実はパフォーミングアートに特化したアーティスト・レジデンスは日本を探してもここだけ。世界を見てもかなり珍しい施設で、まさに舞台芸術関係の方々が待ち望んでいた施設だったわけです。こうしてオープンからわずか2年で城崎国際アートセンターの存在は口コミで広がり、2016年は40団体、13カ国から滞在の申し込みがあったといいます。

1000人収容できる大ホール

「ここで滞在制作することが劇団にとって一つのステイタスになっていくだろう」。オープン初年度にアドバイザーとして運営に携わった劇作家の平田オリザさん(現在は芸術監督)はそうおっしゃったそうですが、まさにその言葉どおり、城崎国際アートセンターは世界からアーティストが来る温泉の街の拠点となったのです。昔から文筆家や芸術家を迎え入れてきた歴史を持ち、共存共栄という精神が根付いている城崎の街だからできたことなのかもしれませんね。

地元の人たちはここでさまざまな作品に触れることができます

 建物だけで運営の費用を埋められないならば、街全体で盛り上げていこうという大胆な発想が功を奏した城崎国際アートセンター。滞在したアーティストには公開リハーサルや学校での授業などで豊岡の街への還元事業をお願いしているとのこと。そう、城崎の子供たちは先端のアートに触れているのです。これってとっても素晴らしいことですよね。

城崎国際アートセンター

所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島1062
TEL:0796-32-3888
Webサイト:城崎国際アートセンター

もう一度泊まりたい! ホテル招月庭

月を招く庭と書いて招月庭

 今回泊まったお宿は「ホテル招月庭」。同じく城崎温泉にある安政年間創業の旅館・西村屋本館グループが運営するホテルタイプのお宿です。

「ホテル招月庭」は先にご紹介した城崎国際アートセンターのすぐ近く。ほぼ目の前といってもいい場所にあります。城崎温泉のメインストリートからは少し西に離れますが、そのかわり5万坪という広い庭園が見どころの超贅沢な空間は見事ですよ。

松葉ガニなどを売る朝市を開催していました

1階のロビーラウンジ

泊まったお部屋は「庭の棟」。その名前のとおり障子を開けたら、この大庭園の景色

仲居さんがわざわざ持ってきてくれたお着き菓子とお茶

 温泉は男女共にそれぞれ内湯と露天風呂があり、開放感抜群のジェットバスやハーブ香るミストサウナもありました。今回は利用しませんでしたが森のプライベートスパという貸切露天風呂や岩盤浴もあって、できれば2泊くらいして極上の温泉リゾートライフを満喫したいところ。ゆっくり温泉に浸かって身体がほぐれたところでお楽しみのお夕食です。

なにはなくともやっぱりコレ! 西村屋の地酒、純米吟醸はお冷でいただくのが最高

 この日は、下の写真でご紹介するお料理のほかにも、食前酒を含めて、さらに4、5品あって、とにかく豪華で大満足の献立でした。冬の城崎温泉の食といえばカニ料理! ということで甲羅付きのカニから身をほじくり出すうれしい作業に全員無言で没頭したのは言うまでもありません。そうそう、但馬牛の鉄板焼きも美味でした。カニとブランド肉。なんという贅沢!

前菜は全11種! 子持ち昆布が絶品

甲羅付きの茹でカニ半匹

カニ刺身とお造りいろいろ

待っていました但馬牛! ロース肉を鉄板焼きでいただきました

こちらは海鮮小鍋。またしてもカニ!

コシヒカリは釜飯で

お部屋に戻って窓の外を見るとご覧の雪景色。夜の森林庭園は幻想的にライトアップされます。散策路があるので季節によっては庭園散歩も楽しめそう。夏はガーデンプールもあるみたいですよ

西村屋ホテル招月庭

所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島1016-2
TEL:0796-32-3535
Webサイト:西村屋ホテル招月庭

 さて、次回は最終回。但馬の小京都と呼ばれる出石(いずし)の街や、天然記念物コウノトリの野生復帰を目指す豊岡の取り組みなどをご紹介します。お楽しみに~♪


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