アクアライン <日足> 「株探」多機能チャートより

■アクアライン6173>の事業概要

1. 水まわり緊急修理市場と同社のポジション
水まわり緊急修理の市場は、建設業29業種の1つである水道施設工事業に分類され、市場規模は約800億円と推定されている。1)住宅の築年数増加による水まわり設備・商品の老朽化、2)一人暮らし世帯の増加、3)工具箱のない家庭の増加、などにより、緩やかな市場成長が続いている。一方で、地場の水まわり工事を行う工務店は高齢化などの要因で廃業が続いており、同社を含む全国展開大手3社が需要を吸収して成長する構図にある。大手のなかでは(株)クラシアンの規模が大きく、TVCMなどの広告宣伝を積極的に展開し、全国に65ヶ所の営業拠点を展開する。(株)イースマイルは関西から全国展開し、現在は全国35拠点を持ち、TVCMなどの広告宣伝を積極的に行い、リフォームや住宅販売などの事業も手掛ける。同社は業界3位のポジションであり、唯一の上場企業である。全サービススタッフの正社員化や研修制度で人材を強化し、車両を店舗・倉庫と見なし拠点コストを最小化する独自のビジネスモデルで上位2社を追いかけている。同社の拠点は3ヶ所(広島本社、東京本社、大阪事務所)のみであり、拠点数の少なさが際立っている。

2. ビジネスモデルの特長
同社は「水道屋本舗」という自社ブランドを展開し、親しみやすいパンダのキャラクターで認知されている。媒体はタウンページ、Web、マグネット、ちらしなどを複数活用しており、近年は屋上や道路沿いの看板広告やTVCMでも認知を獲得する。顧客獲得コストを下げるために、広告効果を分析したうえで時間帯別にきめ細かく広告媒体を使い分けており、受注が多い日にはWeb広告を止めたりするオンタイム管理を徹底して行う。広告制作物や部品等を本部一括で仕入れているためスケール効果を享受できる。同社のビジネスモデルの独自性には、“修理業からサービス業へ”と“職人のIT武装(生産性)”の2点がある。

(1) “修理業からサービス業へ”
同社は、労働集約的な水道修理業をサービス業に再定義(リブランディング)することで成功をしてきた。スタッフは、笑顔と徹底したサービスマナーにて顧客を接客する。そのために研修を充実させており、未経験者でも短期間で水まわりのスペシャリストに育成するためのプログラムのほか、月1回程度のフォローアップ研修で、笑顔、サービスマナー、コンプライアンスなどを徹底する。水まわり品の買い替えなど、住生活向上のための追加提案を行うこともサービススタッフの大切な役割である。リフォーム、浄水器、鍵修理など様々な周辺サービスを並行して開拓しており、サービススタッフの扱う領域は拡大している。サービス力が向上することで、顧客満足が得られ、受注単価の向上が可能となる。

(2) “職人のIT武装(生産性)”
同社は店舗(営業拠点)を持たずに、サービススタッフが自宅から現場に直行し直帰する。会社から貸与される車両は、GPSなどのITシステムを装備した“動く店舗・倉庫”であり、“誰が現在一番現場に近く、どんな在庫を持つのか”などが可視化されている。見積書、請求書、領収書などがすべてiPadで表示でき、車両内にあるプリンターでも印刷できるようになっており、効率的な業務が可能となっている。働き方改革が叫ばれる前から、効率的な仕事のスタイルを追求してきた先駆的企業である。

サービススタッフを背後で支えるのが、同社が自社運営する24時間365日対応のコールセンターである。コールセンターのスタッフは正社員が中心であり、顧客との最初の接点として、またはサービススタッフとのやりとりを行う“司令塔”として活躍している。同社は「正確、迅速、丁寧、スムーズ」な対応の実現を目指しており、その面でも不可欠な存在だ。以前は夜間の業務を外注にしていたこともあったが、夜間も自社運営に切り替えた後に成約率が向上したというエピソードがあり、同社スタッフのノウハウの優位性が垣間見える。24時間コールセンターを通じて全国から電話が入り、後述の「動く店舗・倉庫(車両)」が現場に直行する、という仕組みがあってこそ全国展開が可能となる。

3. ミネラルウォーター事業
同社は2008年にウォーターディスペンサーの取り扱いを開始し、ミネラルウォーター販売事業を開始した。2009年にはペットボトル入りのミネラルウォーターの販売を開始。事業は軌道に乗り、現在は全社売上高の約10%までに成長した。主な成長の要因としては、大学、ホテル、企業などのBtoB販売において、新規顧客を順調に獲得していることが挙げられる。特に同社が強いのはBtoB市場におけるPB(プライベートブランド)商品の企画提案である。大学がオープンキャンパスなどで配布するブランド入りペットボトルに関しては国内シェアNo.1である。また、ホテルのPB商品(ウェルカムドリンクとして主に消費される)でも攻勢をかけており、新規顧客の獲得が続いている。自社ブランド「aqua aqua」をはじめとする製品は、「高品質かつ安心して飲める良質の水」を提供するため、「非加熱処理」「無菌状態ボトリング」「厳しい水質基準」などにこだわる。需要の増加に伴い、採水地工場の契約も増やし、現在では北は北海道から南は島根県まで8都道府県に10契約工場を持つ体制になっている。2021年2月期の売上高は581百万円(前期比31.7%減)、セグメント利益は24百万円(同42.6%減)となった。注文のリピート率が高くストック型の事業特性のため、中長期的に安定成長が見込まれる。ただし足元はコロナ禍の影響で、特にホテルや大学向けPB商品の販売が減少している。

4. フィットネス事業
同社は2016年12月に、パーソナルジムを運営する(株)アームの全発行株式を取得して子会社化し、フィットネス業界に参入した。アームは、筋力強化やダイエットなどを求める20代~シニア層を対象に、顧客一人ひとりのニーズに合ったサービスを提供する隠れ家的パーソナルトレーニングスタジオ「スタジオアーム」を運営する。2018年4月には、この会社のノウハウを土台としつつ、同社の集客力やマーケティング力を加えて企画を練り直し、新業態「スタジオフィット」をオープン。ターゲットをビジネスパーソンに絞り、トレーニングのみならずヨガやピラティスも選べるようにした。水まわり緊急修理サービス事業で培った「サービス力」を生かして、フィットネスの専門家(筋力強化・姿勢改善、ピラティス・ヨガ・健康管理など)のブランド強化を行う方針である。2021年2月期の売上高は48百万円(前期比12.1%減)、セグメント損失が7百万円(前期は15百万円の損失)とコロナ禍の影響を受けた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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