西日本高速道路株式会社 取締役 常務執行役員 保全サービス事業本部長 北村弘和氏

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が7都府県を対象に緊急事態宣言を発令したのが4月7日。16日には対象を全国へ拡大し、6道府県を加えた13の都道府県を「特定警戒都道府県」として、重点的に感染防止の取り組みを実施している。

 例年どおりであればゴールデンウィークを迎え、全国各地でイベントや観光が盛り上がり、旅行や帰省で移動する人たちが急増する時期でもある。しかし周知のとおり、総理大臣から「ゴールデンウィークに向けて、すべての都道府県において、不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで移動することを絶対に避けるように」と強い要請が出ており、外出自粛は当面続くとみられる。

 その一方で、医療や生活を支えるための物資・食料の輸送は本状況下でも欠かせない存在だが、こうした状況を高速道路会社はどう見ているのかだろうか。NEXCO西日本(西日本高速道路)保全サービス事業本部長の北村弘和氏にお話を伺った。なお、本インタビューはリモートで実施している。

4月に入って普通自動車の交通量は4割減少

道路上の情報板で不要不急の外出自粛を呼びかけている(写真提供:NEXCO西日本)

 北村氏によると、2月ごろまではほぼ例年どおりだったという交通量は、3月に入ると1割強の減少があり、4月7日の緊急事態宣言とその全国拡大を受けて、例年より4割ほど減少。「出控えが進んでいる印象を受けている」という。一方で、大型車は2割減少して前年比8割程度の交通量になっており、「物流を支えるクルマは皆さんの生活を守るために動いている」と現況を説明する。なお、SA(サービスエリア)とPA(パーキングエリア)については6割くらいの売り上げが減少し、前年比4割程度で推移しているとのこと。北村氏は「ここまで交通量が減っているのは初めての経験」としつつ、政府の外出自粛要請の効果が出た結果と受け止めているという。

 しかし、上記の値はあくまで連休前のもの。特に自動車は公共交通機関と異なり、それ自体が密室であるため、安全で自由に移動できると考えてしまいがちだが、自覚症状なく感染していれば移動先でウイルスを移してしまうリスクがあり、逆に移動先で移されて地元に持ち帰ってしまう可能性だってある。

 既報のとおり、例年実施しているゴールデンウィーク期間中の休日割引は、今回実施しないことが決まっている(関連記事「高速道路各社、GW期間中は休日割引の適用を除外」)。同社では、都道府県をまたいだ不要不急の移動の自粛を促すべく、高速道路上の電子情報板や交通情報サービス「iHighway(アイハイウェイ)」のほか、SA/PAでポスター掲出、テレビ・ラジオを通じたCMなどで情報発信を続けるという。なお、例外的な状況であるということもあり、今期は連休中の渋滞予測の公表は控えているとのこと。

SAなどでもデジタルサイネージで自粛を促している(写真提供:NEXCO西日本)

大前提は「高速道路事業を継続すること」

 一方で北村氏は、「大前提として、我々は高速道路事業の継続が使命」であると話す。

「国民の皆さんは感染対策で働いている医療関係者に感謝していると思います。同時に、外出抑制がされているなかで生活拠点へ医療物資・食料品を運ぶことも重要です。物流業の方が平時と変わらず働けるように、貨物輸送のための高速道路を良好な状態に維持して、間断なく道路サービスを提供することが使命であると考えています」と述べ、通行止めをすることなく、通行の支障となるリスクをなくす努力をすることを最優先に、社員の安全も考えて取り組んでいるという。

 具体的には、緊急時・非常時のために用意している「事業継続計画」に沿って事業を展開しており、例えば、利用者と接する機会の多い料金所の職員については、1月末の時点でマスクの着用・うがい・手洗いの慣行を指示しているほか、SA/PAについても同様の取り組みを指示したうえで、レジ前に飛沫防止のビニールカバーを取り付けたり、レジの列で間隔を空けるようにしたりと、3密にならないような対策も行なっている。

 国内で感染例が出てきた2月上旬には、「もしNEXCO西日本のグループ社員に感染者が発生したら」という想定で、高速道路サービス維持の観点でケーススタディを始めている。「初期の対処を間違えると大変なことになると分かっていたので、3日おきにブラッシュアップを繰り返してきました」と北村氏。高速道路事業には、交通管制、巡回パトロール、緊急保守、料金所といった1日も欠かせない作業と、構造物の点検のように毎日実施する必要のないものがある。こうした切り分けを行なうことで、グループ社員に対しても感染リスクを抑えて、「高速道路事業の継続」に注力できているという。

 なお、こうした現場での作業を除くデスクワークの職員については、現在7割程度がテレワークになっているそうだ。出勤の必要がある部署は交代制で、時差出勤で感染リスクに対応している。さらに4月からはクラスター対策として、「私は感染している」「あなたも感染している」という前提で人と接することで、確実に相手と距離を保つこと、「むやみにモノに触らない」「自分の顔に触らない」を徹底するように社内で呼びかけを行なっているという。


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