大阪の定番観光スポット「大阪城」は、例年250万人以上が天守閣に登る。その周りに広がる大阪城公園では、重要文化財に指定される建造物が点在し、美しく咲く花々が観光客だけでなく市民の心も癒やしている。

大都市・大阪のど真ん中に位置する大阪城(大阪市中央区)は、この町のシンボルであり、観光では外せないスポットだ。天守閣がある本丸を中心とする大阪城公園は、105.6ヘクタールの広大な敷地を持ち、庭園や広場はもちろんのこと、大阪城ホールや音楽堂、野球場にジョギングコースまであり、市民のレジャーや憩いの場としても親しまれている。


大阪城天守閣を中心に広がる大阪城公園

スポーツイベントやコンサートから大学の入学式まで、さまざまなイベントが開かれる大阪城ホール
スポーツイベントやコンサートから大学の入学式まで、さまざまなイベントが開かれる大阪城ホール

豊臣家と徳川家が共演する天守閣から大阪を一望

目玉となるのは大阪城天守閣である。入館者数は2017(平成29)年度に過去最高の275万4395人を記録するなど、近年は日本の城の中でも最多を誇る。

大阪城には「豊臣秀吉の城」というイメージがあるが、実は、秀吉が築城した当初の大阪城は、わずか32年後の1615年の大坂夏の陣で焼失。その後、大坂を天領とした徳川幕府が、豊臣時代の石垣や堀を壊し、全国の大名を動員した天下普請で新たな大坂城を築いた。私たちが、目にしている石垣や堀はこの時、造られたものだ。しかし、徳川の大坂城も、完成から36年後の1665年に落雷で天守は焼失。その後、長らく再建されなかった。

現在の大阪城は、1931年に完成した復興天守。徳川家が築いた天守台の上に、「大坂夏の陣図屏風(びょうぶ)」に描かれている豊臣時代の初代天守の外観を参考にした天守を載せたハイブリッド型。歴史的には、ありえない造りとなったが、「なんでもあり」の大阪らしい豊臣家と徳川家の共演と思うと、味わい深い。

「大坂夏の陣図屏風」に描かれた城の意匠などを参考にしたという現在の天守閣
「大坂夏の陣図屏風」に描かれた城の意匠などを参考にしたという現在の天守閣

外観は5層だが、内部は8階建て。1棟まるごと巨大な資料館のようになっていて、フロアごとに、秀吉の生涯や当時の文化、社会背景を模型や解説パネルで説明している。2階には、天守閣の最上層の黒壁を飾る金の伏虎(ふっこ)と、屋根のしゃちほこの原寸大レプリカが展示してあり、迫力満点だ。復元した戦国時代のかぶとと陣羽織の試着体験(有料)は、SNSへの投稿用に外国人観光客にも人気。

金のしゃちほこと伏虎(ふっこ)は、2階に展示されている
金のしゃちほこと伏虎は、2階に展示されている

真田幸村軍と松平忠直軍の激闘を再現した「ミニチュア夏の陣」
真田幸村軍と松平忠直軍の激闘を再現した「ミニチュア夏の陣」

試着体験のかぶとの種類は豊富。右手前から黒田官兵衛、後藤又兵衛、加藤清正、秀吉の着用品を再現。奥の男性がかぶっているのは、真田幸村モデル
試着体験のかぶとの種類は豊富。右手前から黒田官兵衛、後藤又兵衛、加藤清正、秀吉の着用品を再現。奥の男性がかぶっているのは、真田幸村モデル

8階は大阪の街並みを360度見渡せる回廊式の展望台。最初に展望台まで上がって、階段を利用して各階の展示を鑑賞するのが一般的な順路なので、上りエレベーターは長蛇の列となることも。階段で1フロアずつ上がりながら展示を見て、最後に大阪の眺望を満喫、すいているエレベーターで一気に下まで降りる逆順路にすれば、並ぶストレスからは解放される。

8階は回廊式になっていて、大阪の町を360度眺められる
8階は回廊式になっていて、大阪の町を360度眺められる

展望台からはしゃちほこ越しに大阪の風景を撮影できる
展望台からはしゃちほこ越しに大阪の風景を撮影できる

大阪城天守閣

  • 住所:大阪市中央区大阪城1-1
  • 開館時間:午前9時から午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
  • 休館日:12月28日~1月1日
  • 入館料金:大人600円、中学生以下無料 ※団体割引、セット券など有り

重要文化財や巨石、四季の花々など見どころ満載

明治維新の動乱にともなう大火、第2次世界大戦の空襲などによって、天守以外にも多くの建造物が焼失した。それでも、本丸、それを囲む二の丸には、重要文化財が10カ所も残存している。大手門や桜門、多聞櫓(たもんやぐら)などの5つの櫓、2つの蔵と金明水井戸屋形は、そうした災禍をくぐり抜け、今日まで残存している。

期間限定だが、櫓などの内部も特別公開される。2019年は11月24日までの土日祝限定で、重要文化財に指定される多門櫓と千貫(せんがん)櫓、焔硝(えんしょう)蔵の建物内に入る貴重な体験ができる。

城の正面入り口にあたる大手門
城の正面入り口にあたる大手門

1626年に創建された金明水井戸屋形
1626年に創建された金明水井戸屋形

災禍をくぐり抜けて今日まで残った櫓のひとつ千貫櫓
災禍をくぐり抜けて今日まで残った櫓のひとつ千貫櫓

城好き上級者には、「桝形」の巨石をおすすめしたい。「桝形」とは侵入してくる敵軍の勢いを削ぐために設けた、垂直の壁に囲まれた四角い空間のこと。直進して本丸に到達できないよう、敢えて、進行方向とは直角の方向に門を配し、敵陣がもたついている隙に、銃弾や矢を浴びせて敵陣を撃退するためのトラップだ。行き場を失った敵が、壁をよじ登って逃げないよう、凹凸の少ない巨大な1枚岩で囲っている。桜門をくぐった先にある「蛸石」は大坂城で最大の石で、表面積がおよそ畳36枚分(59.43平方メートル)、重量は推定108トン。重機などの無い時代に運んだことに驚かされる。

本丸正面口の桜門にあった桝形の蛸石
本丸正面口の桜門にあった桝形の蛸石

備前岡山藩によって運ばれたという京橋口桝形の肥後石。表面積は畳33枚分
備前岡山藩によって運ばれたという京橋口桝形の肥後石。表面積は畳33枚分

そして、大阪城公園の庭園や広場では四季折々の花が楽しめ、特に春の梅と桜が有名である。二の丸の東側にある梅林には、西日本一といわれる100品種以上、1270本が咲き誇る。「さくら名所100選」に選出される園内を、ソメイヨシノやヤマザクラなど約3000本が薄紅色に染め上げる。

西の丸庭園の桜と天守閣の共演
西の丸庭園の桜と天守閣の共演

堀端に咲くソメイヨシノ越しに見えるのが、重要文化財の六番櫓
堀端に咲くソメイヨシノ越しに見えるのが、重要文化財の六番櫓

大阪城の櫓 内部特別公開

  • 券売所:西の丸庭園前
  • 公開時間:午前10時から午後4時30分(最終入場は午後4時まで)
  • 2019年公開期間: 3月2日~11月24日 土日祝 ※7月20日~8月31日の夏休み期間、定休日は月曜日のみ
  • 入場料金:大人700円、中学生以下300円 ※団体割引、セット券など有り

周辺情報

JO-TERRACE OSAKA

大阪城公園の周りには複数の電車やバスが走り、アクセス方法も多様。その中でも、最近はJR「大阪城公園」駅を利用するのが人気。駅に直結する商業施設「JO-TERRACE OSAKA(ジョーテラス・オオサカ)」が2017年にオープンし、そこを通り抜けて公園内には入れるようになったのだ。飲食店が充実しているので、大阪城観光の前後にランチやディナーを楽しむ人が多い。野点傘(のだてがさ)の下で殿様や姫様、武士たちのイラストと一緒に記念撮影ができる、ベンチ型のフォトスポットもにぎわっている。

大坂城観光とセットで人気となっているJO-TERRACE OSAKA
大坂城観光の前後に立ち寄る人が多いるJO-TERRACE OSAKA

休憩しながらインスタ用写真が撮れるベンチ型フォトスポット
休憩しながらインスタ用写真が撮れるベンチ型フォトスポット

JO-TERRACE OSAKA

  • 住所:大阪市中央区大阪城3-1
  • アクセス:JR環状線「大阪城公園」駅下車、徒歩すぐ

取材・文=藤井 和幸(96BOX)
写真=黒岩 正和、藤井 和幸(96BOX)
(バナー写真:大阪の中央に位置し、市民の憩いの場となっている大阪城公園)

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