誘客へ民間の力欠かせぬ

2020年10月13日 午前7時30分

 【論説】北陸新幹線敦賀開業で終着駅効果が期待される敦賀市で、観光振興に向けた動きが見えてきた。敦賀駅から敦賀港周辺までのゾーンで、施設などのハード整備のほか、イベントやソフトの充実なども行っていく予定だ。敦賀が観光地として立脚できるかどうかの重要な期間といえるだろう。

 新幹線開業予定の2023年春までには、敦賀駅近くのにぎわい拠点が出来上がる計画だ。駅から2車線化した国道8号を進んでいくと、年間70万人の誘客を誇る気比神宮に至る。近くには敦賀港があり、その周辺は芝生緑地や赤レンガ倉庫、鉄道資料館などのほか、11月に移転オープンする資料館「人道の港敦賀ムゼウム」がある金ケ崎地区だ。駅から金ケ崎まで続く一帯が今後、観光誘客に向けて中心となるゾーンだ。

 渕上隆信市長は会見で、この一帯で二つの社会実験イベントを開くと発表した。にぎわい拠点予定地では24、25の両日に飲食できたり親子が遊べる広場を設置したりするほか、スカイランタンの打ち上げなどを行う。国道8号のイベントは気比神宮交差点周辺で11月1日、飲食物や雑貨のマーケット、市民バンド参加による音楽イベント、ライトアップなどを計画している。いずれも新幹線開業に向けて、民間に施設や敷地を使ったイベント立案を促すために使い方や手法を提示する意味合いが強い。

 敦賀では、経済を支えてきた原発の将来性が不透明となり、観光などによる産業の複軸化が求められている。大きな観光拠点が少ない敦賀は固有の歴史や文化、食などを生かしながら、嶺南周遊観光の推進を図る必要性があるだろう。その意味で、社会実験イベントで、どのような仕掛けが可能かを考えるのは意義深い。

 新幹線終着駅による誘客効果は、長く続かないと言われる。過去を見ると、青森県八戸市は、終着駅期間中に民間や会議所などが主導し、食や朝市などで仕掛けた結果、大きく入り込み客数を伸ばした状態が続く。一方で、期間中に盛り上げられず、観光客数を伸ばせなかった地域も多いという。

 敦賀開業後、駅から金ケ崎までの一帯が恒常的に盛り上がり、敦賀のブランド力や知名度の向上が図られることが必要だ。そのために、まずは民間が主役の一翼を担うという意識を持ち、行政と協力しながら誘客に向けて何ができるのかを考えることから始めたい。終着駅期間は敦賀活性化への好機であり、逃す手はない。


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