オフィスや商業施設、ホテルなどに投資を行なう投資法人みらい(資産運用会社:三井物産・イデラパートナーズ㈱。以下「みらい」)は6月16日に公表した2020年4月期決算説明資料において、同社が2018年11月に取得していたホテルWBF淀屋橋南のオフィスへのコンバージョンプランを公表した。一部都市での客室の供給過剰の上に新型コロナウィルス問題でホテルの需要は早期の回復が難しいことが予想される中、建ててしまったホテルの用途転換という形の成功事例となるか、業界関係者の注目が集まる取り組みと言えるだろう。(文・岩本 大輝)

 

ホテル⇒セットアップオフィスへ

 

 今回のコンバージョンの背景には新型コロナウィルス以前からの経緯があった。2018年11月にホテルWBF淀屋橋南を取得したみらいだが、2019年以降大阪エリアの供給過剰、さらに日韓問題による訪日韓国人の現象を受けてホテルパフォーマンスが悪化。12月にWBFホテル&リゾーツ(以下「WBF」)から賃料減額要請を受けたことで、オペレーション会社の変更や用途変更(コンバージョン)を検討していたという。そこに新型コロナウィルスの影響が大きくなりみらいはWBFとサービスオフィスへのコンバージョンを前提に賃貸借契約の解約に向けた協議を開始。4月にWBFが民事再生法の適用を申請し、5月にはWBFの代理人弁護士を通じて賃貸借契約の解約に至った。

 

 サービスオフィスの新名称は「MiiX(ミックス)淀屋橋」。「サービスオフィスとセットアップオフィスのミックス」、「入居者同士のビジネスチャンスのミックス」といった複数の意味を込めた。

 1階はデザイン性と利便性を兼ね備えたエントランス。2階は今後増加するであろうオンラインミーティングのニーズを想定し複数の会議室を用意。3階以上は12㎡、16㎡、24㎡と複数のタイプのセットアップオフィスとする。



同社決算説明資料より


オフィス不足であった大阪中心部。

これが上手く行けば追随者も続々?


 

 みらいは決算説明資料の中で、大阪中心部は2018年以降オフィスの新規供給が限定的であった一方で需要は旺盛であり、マーケット稼働率は99%前後で推移するとともに成約賃料水準も上昇傾向であり、新型コロナウィルスの影響はあるものの今後もオフィス床の不足は続くと分析。



同社決算説明資料より。資料内注「シービーアールイー㈱のマーケットデータをベースにイデラ キャピタルが作成したもの」

 

今回の新型コロナウィルスの影響を受けてオフィスの選定基準にBCPやテレワーク対応も重要となる中で、淀屋橋エリアにそうしたBCPやテレワークに対応するサテライト・サービスオフィスが少ないとし、オフィスへのコンバージョンによりホテルよりも高い営業純利益(NOI)が期待できるとしている。

 




同社決算説明資料より。資料内注「ホテルの数値は2019年10月期実績を年換算した数値、コンバージョン後の数値は現時点の想定に基づく数値であり、達成を保証するものではありません」

 

 2018年以降京都や大阪では客室の供給過剰が言われていた。ある、大阪含む全国でホテルを運営する運営会社の経営者は、「これまでホテルを建てれば運営会社が無理な事業計画を書いてでも手を挙げて、それを信じて購入するオーナーがいるという状況だった。今回のようなコンバージョンが成功をすればそこに追随するホテルも増えるだろう。それは私達にはありがたいことであり、成功して欲しいと思っている」と話す。また、ある別のホテル運営会社の経営者も、「コロナ関係なく供給過剰市場におけるホテルのコンバージョンは誰もが興味を持っていたことだった。このようなコンバージョンを、REITが情報を開示しながら取り組むということは、業界への影響も大きいだろう」と話した。

 




同社決算説明資料より。資料内注「2020年6月時点の計画に基づいて作成しており、今後変更される可能性があります」

投資法人みらい 公式HP

https://3476.jp/

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