力強い産業へ戦略描こう

2020年6月30日 午前7時30分

 【論説】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため国内外で人の移動が制限され、観光産業が大きな打撃を受けた。福井県の観光客入り込み数はここ数年、右肩上がりに増え、昨年1800万人を超えたが、すぐには戻れない。長期的な戦略を描きながら、この危機に立ち向かいたい。

 他の業種と同様、旅行客を受け入れる施設も感染防止策に力を注いでいる。旅館などは接客サービスを売りにしているだけに「これまで当たり前だったおもてなしを180度変えることになる」(あわら温泉の旅館)との声も聞かれる。安全、安心は必須であり、最大のアピールになる。関係団体を挙げた対策、安心のPRに取り組んでほしい。

 7月1日~8月7日の県内宿泊を対象に、県民向けの旅行プランを最大半額割引する県のキャンペーンが好調だ。値ごろ感はもちろん、外出自粛で家に閉じこもりがちだった反動で、大勢の人がリフレッシュを求めるのだろう。

 料理や地酒にこだわったプランが多く、県民に地元の魅力をあらためて知ってもらうことになる。この機会に、ぜひキャンペーン後を見据えたい。新型コロナの第2波、第3波が懸念され、旅行者も受け入れ側もまずは県内旅行を考えることになるだろう。

 予約者には宿泊プランの紹介のみに終わらず、近場の観光スポットとの組み合わせを提案したり、観光の足となる公共交通機関のサービスを紹介できないか。県や関連団体は知恵を絞りながら後押ししてほしい。宿泊施設も2泊目、3泊目を割り引いたり、個性に応じた特典をさらに付加したりと、サービスの強化、充実につなげたい。

 県外からの需要をどのように段階的に回復させるかは大きな課題だ。新型コロナの状況次第とはいえ、あらゆることを想定し、先手を打つ形で臨みたい。戦略を練る人材の強化も急がなければならない。もちろん2023年春の北陸新幹線の県内開業が大きなターゲットとなる。

 政府は先に公表した観光白書で休暇取得の分散化を目指す方針を打ち出した。社会はこの方向に向かうだろう。新型コロナは世の中の仕事や余暇に対する考え方、価値観を変えたともいわれ、ニーズの多様化が進むのも間違いない。

 観光産業は今後の日本経済にとって基幹とすべき産業であり、長期的に観光ブームは続くだろう。地域間の誘客競争は一層、激しくなる。力強い福井県の観光産業を目指す新たなスタートと位置付けたい。


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