国土交通省から令和2年(2020年)1月1日時点の公示地価が公表されましたが、東京の浅草や北海道の倶知安、京都、金沢といった訪日観光客が増えている都市、地域の上昇が目立っています。しかし、これには新型コロナウイルスの影響がほとんど織り込まれていないとみられます。どのように見ていけばよいのでしょうか。

訪日客の多い浅草周辺で地価が上昇している

国土交通省から3月18日、令和2年(2020年)1月1日時点の公示地価が公表されました。

 

土地の価格には実勢価格、公示地価・基準価格、路線価、固定資産税評価額とありますが、この中でも、公示地価は新聞やテレビのニュースなどでよく取り上げられ、一般的です。毎年3月中旬~下旬に公表されています。

 

国土交通省の資料によれば「地価公示は、地価公示法に基づき、都市計画区域等における標準地の毎年1月1日時点の正常価格を国土交通省土地鑑定委員会が判定・公示するものです。公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格の算定等の規準とされています」とあります。要するに、すべての土地価格の参考値になる、重要な指標ととらえてください。

 

土地の取引価格はさまざまな要因によって決まるもので、公示地価に拘束されるものではありませんが、適正な取引価格を決定するための1つの重要指標と位置付けられています。

 

東京では台東区が、区全体の商業地上昇率のなかで1位となった。

東京では浅草周辺5地点が商業地の変動率トップテンに入った。

 

まず、東京五輪・パラリンピック開催を控える、東京都内をみてみましょう。

 

都内の住宅地、商業地、工業地をあわせた全用途での対前年平均変動率(上昇率)は4.3%となり、7年連続のプラスでした。新型コロナウイルスをめぐる混乱で「はるか昔の話」のように思われるかもしれませんが、少なくとも年末年始までは、多くの訪日外国人観光客が新宿、渋谷、銀座といった繁華街で多く見られました。

 

訪日客が増加してきた影響で、浅草周辺5地点が商業地の変動率トップテンに入ったほか、浅草や上野のある台東区は、区全体の上昇率のなかでも14.9%で1位となりました。

 

複数の報道によれば、東京都財務局では浅草周辺の地価について「東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人観光客の増加とともに、小売店やホテルなどが増えていることが地価上昇につながっている」と分析しているとのことです。

北海道や京都など観光地で地価上昇が目立っている

東京以外をみてみると、北海道の倶知安町で住宅地、商業地の上昇率がともに全国1位となりました。倶知安と言えば、多くの観光客に人気のニセコに隣接し、冬は良質な雪を求めて世界中からスキー、スノーボードを楽しみに来る訪日客向けの宿泊施設が多いです。近年は、数カ月単位で滞在する外国人も増えており、別荘への需要が高まっています。

 

北海道の倶知安町で住宅地、商業地の上昇率がともに全国1位なった。

北海道の倶知安町で住宅地、商業地の上昇率がともに全国1位なった。

 

同様に、訪日客の効果で上昇しているのが京都です。京都府全体では+2.6%となり、5年連続の上昇となりました。商業地、住宅地、工業地のいずれも上昇が続いています。京都では訪日客の急増で宿泊施設が足りず、修学旅行生がホテルを確保できないという問題が、しばしば報じられていました。その対応で宿泊施設が京都市内において建設ラッシュの様相であり、地価が高騰した京都市中心部から、周辺部へと用地需要が広がる傾向が出ています。

 

また、石川県内の全用途平均変動率が+1.8%となり、4年連続で上昇していることも話題になっています。上昇率は全国47都道府県で10番目に高く、全国平均(+1.4%)を上回るのは2002年以来、18年ぶりとのことです。北陸新幹線の金沢への延伸効果が続いているほか、最近は観光に訪れる訪日外国人が増えているとされています。

 

しかし、1月1日時点のデータであり、新型コロナウイルスの影響がほとんど織り込まれていない点は注意が必要です。

 

報道によれば、北海道のニセコや倶知安では、外国人がほとんど消えてしまったとのことです。同じく、京都をはじめ、都内の浅草などでも、訪日客が消えてしまいました。訪日外国人の増加は当面続くであろうという見通しをもとに、ホテルや別荘が急増したわけですが、それらの施設は現状、相当厳しいと推測されます。

 

公示地価は「すべての土地価格の参考値」と先にご説明しましたが、1月1日時点と足もとの状況、あるいはこの先の見通しでは、相当カイ離が出てきました。土地の取引などをお考えの方は、2020年は一段の注意が必要でしょう。

 

京都市では地価が高騰した中心部から、周辺部へと用地需要が広がる傾向が出ている。

京都市では地価が高騰した中心部から、周辺部へと用地需要が広がる傾向が出ている。

 

最後に今回の特徴として、2019年秋の台風、大雨による被害を受けた土地の下落が厳しかった点が挙げられます。

 

茨城県では、10月の台風19号で被災した大子町やひたちなか市などで下落幅が拡大しました。また、宮城県では丸森町で大きく下げました。近年の異常気象により、浸水リスクに対する警戒が不動産業界で高まっているとの指摘もあり、今後の土地価格形成に大きく影響してきそうです。


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