2021年4月17日 午前7時30分

 【論説】越前市の新庁舎前広場が完成し、供用を開始した。芝生スペースや噴水なども整備され、いい意味で役所の施設らしからぬ開放的な空間に生まれ変わった。市民が集う新たな憩いの場としてはもちろんのこと、観光客がまちなかを回遊する起点としての役割も果たしてもらえたらと思う。

 2020年1月に業務を開始した建物部分に続き、今回整備されたのは庁舎南側の広場約4800平方メートル。東側に芝生広場(約600平方メートル)と噴水広場(約500平方メートル)を配置。南東には、新庁舎の工事現場から出土した石積みを再現した。西側の駐車場兼広場(約1500平方メートル)は、平常時は60台収容の駐車スペースとし、催しなどの会場利用も想定する。給排水や電源などのインフラも整え、災害時の避難場所としても活用される。

 特徴的なのは、庁舎からの大屋根が張り出すエリア。庁舎1階の扉を開放することで、屋内のホールやカフェスペースと一体的に利用できる。18日にオープン記念式典が行われる。

 15年度に策定した新庁舎整備の基本構想・基本計画では「まちの活性化とまち空間再生の大きな契機とする」との理念を掲げた。その理念に沿った開放的な空間に仕上がったように思えるが、広く利用されてこそ意味がある。構造上、屋内ホールでコンサート、屋外広場で飲食ブース出展といった複合イベントも可能になる。市は多くの住民が参加できる柔軟な使い道を考え、提案してほしい。

 市街地に立地する利点を生かし、観光客にまちなかを巡ってもらう起点としての役割も期待したい。越前市では24年春の北陸新幹線県内延伸を控え、新設される南越駅(仮称)周辺で新しいまちづくりが進んでいる。開業効果を広く長く持続させるためにも、南越駅を利用する人たちに市中心部に足を運んでもらい、活発な人の流れをつくり出すことが重要と考える。

 市中心部には白壁の蔵が立ち並ぶ「蔵の辻」や50以上の寺院、風情ある石畳の通り、子どもたちに人気の「だるまちゃん広場」など多くの観光資源があり散策していてとても楽しいエリアなのだが、今一つ知られていないのが現状だ。

 新幹線開業を見据えて市観光協会は17年から、伝統工芸など市内の見どころや地域資源を巡るまち歩きツアーを地道に続け、魅力発信に力を入れている。新たな市のシンボルとして庁舎前広場を回遊スポットの一つに加え、まちなかのにぎわい創出につながる仕掛けを官民で考えていきたい。


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