茶屋移転、にぎわい創出へ

2021年1月25日 午前7時30分

 【論説】北陸唯一の現存天守を持つ丸岡城について、坂井市が本格的に周辺整備に乗り出す。城ブームに乗って年間41万人の観光客を集める有力資源を生かし、天守ふもとの周辺のにぎわいをどう創出するのか期待したい。

 丸岡城天守のふもとにある一筆啓上茶屋の移転計画が、周辺整備を始めるきっかけとなった。1978年に建設され、そば屋や土産ショップなどが入るが、耐震性の問題を抱えている。移転を機に、天守周辺の総合的な政策が必要との声が上がり、大がかりな周辺整備の方針が決まった。

 昨年、基本計画策定委員会が立ち上がり、検討を始めている。一筆啓上茶屋の移転を核に、周辺にある公共施設の再配置も念頭に協議し、魅力ある観光地として磨き上げる。長期的に先を見越して動きだしているのは評価できよう。

 現時点では一筆啓上茶屋の移転先は▽霞ケ城公園内の南東部▽ふれあい広場―が有力とされ、城ファンの交流拠点「城マルコ」に近い、お天守前広場も候補に挙がっているようだ。

 移転先が決まってから、次のステップになる周辺整備の議論が本格化する。霞ケ城公園の整備、丸岡城址(じょうし)の復元活用などを検討していく。

 周辺整備を巡っては、一般社団法人「丸岡城天守を国宝にする市民の会」が2018年、「丸岡城周辺賑(にぎ)わいのまちづくりビジョン」を策定した。このビジョンも念頭に議論を深める。ビジョンは五角形の内堀の中を「人が集まりたたずむ憩いの場」と設定し、お堀や門の復元などを掲げる。市民の会の思いを何らかの形で反映したい。

 丸岡城の魅力はいうまでもない。全国の城郭のうち、戦国や江戸時代からの天守が現存しているのは、丸岡城など12城だけ。15年、国宝に新指定された松江城(島根県)と同じく、丸岡城も戦前の旧法では「国宝」だった。

 では、文化的価値の高い丸岡城の周辺をどのように整備するのか。2月末ごろからの基本計画策定委での議論が焦点となる。課題は城下町の見せ方や点在する公共施設の集約だろう。丸岡の中心市街地の活性化にもつながるだけに、市は「まち歩き」ができるように、人の流れや観光の動線を工夫したい考えだ。

 天守を見学して帰るだけの観光客が多く、滞在時間の短さが課題となっている周辺観光。大胆な整備、統一性のある景観整備で観光客の滞留増に変革できれば、市民にとっても、さらに誇り高き宝につながるだろう。


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