ユネスコの世界遺産委員会は、北海道と青森県、岩手県、それに秋田県に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産に登録しました。

新たな世界遺産を決めるユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会は、日本時間の27日午後6時半ごろからオンライン形式で審議を行い「北海道・北東北の縄文遺跡群」を、新たに世界文化遺産に登録しました。
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は北海道と青森県、岩手県、秋田県に点在する17の縄文時代の遺跡で構成され、青森市の「三内丸山遺跡」や秋田県鹿角市の「大湯環状列石」などが含まれています。
国は、狩猟や採集、漁を基盤に人々が定住して集落が発展し、1万年以上続いた縄文時代の生活や精神文化を現代に伝えるもので普遍的な価値があるとして、世界文化遺産への登録を目指してきました。
国内の世界文化遺産はこれで20件目になります。

【「北海道・北東北の縄文遺跡群」とは】
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、津軽海峡を挟んだ北海道と青森県、秋田県、岩手県に点在している17の縄文時代の遺跡で構成されます。
縄文時代草創期のおよそ1万5000年前から縄文時代晩期のおよそ2400年前にかけての集落や貝塚、大規模な墓のほか、祭し用の遺構などが残されています。
それらの特徴からこの広大なエリアが1つの文化圏を形作っていたと考えられ、定住の始まりから発展、成熟に至る1万年あまりにわたる道のりを知ることができる貴重な遺跡群とされています。
このうち道内には6つの遺跡があり、▼函館市の大船遺跡は、100棟を超える竪穴住居跡が見つかっている大規模な集落群です。
この遺跡からはクジラやオットセイの骨やクリなどが出土していて、漁を行うとともに森林の恵みも活発に利用していたことが分かります。
また、土坑墓と呼ばれる円形の墓も確認でき、当時の祭しや精神文化を知る上でも貴重な遺跡とされています。
▼同じく函館市の垣ノ島遺跡は、およそ9000年前から6000年間の長期にわたって人々が暮らしていたとされる集落跡で、さまざまな儀式を行ったと考えられる長さ190メートルに及ぶコの字型の盛り土が残されています。
▼伊達市の北黄金貝塚は、噴火湾に面したおよそ7000年前以降の集落跡です。
貝塚からは、ハマグリやカキといった貝類やクジラやオットセイの骨が出土していて、当時の食やなりわいを知ることができます。
また、埋葬人骨を含む14の墓や、鹿の頭の骨を配置した儀礼を行っていた痕跡が確認でき、祭し場としての性格も示しています。
洞爺湖町内で隣接して見つかった▼入江貝塚と▼高砂貝塚では、どちらもおよそ5500年前から3000年間にわたって人々の生活が営まれました。
この貝塚からは、アサリなどの貝類のほか、ニシンやカサゴ、マグロ、エゾシカなどの骨、それに骨で作られた釣り針や銛などが出土していて、漁や狩猟が活発だったことが分かります。
▼千歳市のキウス周堤墓群は、円形に掘った地面にいくつもの墓が作られているおよそ3300年前の墓地群で、最大のものは外側の直径が83メートルにも及び、当時の高い精神性を示す遺跡とされています。
「北海道・北東北の縄文遺跡群」。道内では初めての世界文化遺産となります。
【知事「長年の悲願で喜びたい」】
北海道の鈴木知事は、登録の実現に向けて活動してきた団体の関係者らと、道庁内で審議の様子を見守りました。
そして、登録が決まると、拍手をして、集まった人たちと喜びを分かち合いました。
会場には、くす玉も用意され、鈴木知事らがひもを引っ張って割ると、大きな拍手に包まれました。
このあと、鈴木知事は記者団に対し、「世界文化遺産への登録は長年の悲願だったので、皆さんとともに喜びたい。まずは、国の内外に、北海道の宝、世界の宝を知ってもらうため、多言語で動画を作成して発信するとともに、関係自治体と連携して将来、多くの人に訪れてもらうための方策を検討したい」と述べました。
【函館市役所では】
「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録されたことを受けて、構成資産の「大船遺跡」と「垣ノ島遺跡」がある函館市の市役所では、審議を見守っていた職員などから大きな拍手と歓声が上がりました。
函館市の工藤寿樹市長は「15年以上、登録に向けて活動してきたので登録が決まって正直ほっとしました。北海道や青森県などと連携しながら縄文文化の発信を強化していきたい」と話していました。
そして、「新型コロナウイルスの影響ですぐにぜひ来てくださいと言える状況ではないので、まずは、レンタカーやマイカーで訪れやすい道内の人たちや、夏休み中の子どもたちに縄文文化に触れてほしい」と話していました。
【北黄金貝塚の伊達市では】
伊達市にある北黄金貝塚には、関係者たち、およそ30人が集まり、世界遺産登録の決定を祝っていました。
「北黄金貝塚情報センタ−」では、午後6時50分ごろに世界文化遺産の登録決定が伝えられると、集まった関係者たちから大きな拍手が上がりました。
そのあと、センターの玄関で、この日のために用意したという直径80センチほどのくす玉が割られました。
地元でボランティアガイドを務める矢元信一さんは「本当にうれしくて天に舞い上がったような気分です。市民の大切な財産としてこれからも守っていきたい」と話していました。
伊達市の菊谷秀吉市長は、「登録決定まで長い年月がかかり、関わった1人1人のことが思い浮かんで感謝の気持ちでいっぱい。今後はこの北黄金貝塚を我々がしっかりと育てていきたい」と話していました。
【洞爺湖町役場では】
入江貝塚と高砂貝塚がある洞爺湖町の役場には、町の幹部や地元の関係者などおよそ30人が集まり、世界遺産登録の決定を祝っていました。
会場のスクリーンには、オンラインで世界遺産委員会の審議の様子が映し出され、登録が正式に決まると、見守っていた人たちが万歳などをして喜びを表すとともに、くす玉が割られました。
式典のあと、真屋敏春町長は「長年、この日を待っていました。大変喜ばしく、光栄に思っています。この遺跡群を守っていくとともに、多くの人に見ていただき、縄文人の暮らしを肌で感じてもらいたい」と話していました。
【千歳市役所では】
縄文遺跡群を構成する遺跡のうち「キウス周堤墓群」がある千歳市では、市長や市民団体のメンバーがユネスコの審議の様子をオンラインで見守り、世界文化遺産に登録された瞬間、大きな拍手が起きていました。
千歳市役所に設けられた会場には山口幸太郎市長や市民団体のメンバーなどおよそ20人が集まり、審議の様子をオンラインで見守りました。
そして、世界文化遺産として登録されると、会場からは大きな拍手と歓声が起きていました。
市内にある「キウス周堤墓群」は、円形に掘った地面にいくつもの墓が作られているおよそ3300年前の墓地群で、最大のものは外側の直径が83メートルにも及び、縄文人の高い精神性を示す遺跡とされています。
山口市長は「待ちに待った瞬間を皆様と一緒に分かち合えて、本当にうれしく思う。登録された意味をしっかりかみしめて保存に努めるとともに、多くの人に見てもらえるよう努めていく」と述べました。
また、市民でつくる「キウス周堤墓群を守り活かす会」の大江晃己会長は「北海道の遺跡が1つも欠けずに登録されたことが本当によかった。今後は、訪れた人にどのように楽しんでもらうか、市の協力も得ながら考えていきたい」と話していました。

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