3月30日(2020年)よりスタートしたNHK連続テレビ小説「エール」は昭和の音楽史を代表する福島県出身の作曲家・古関裕而と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)をモデルにした夫婦の物語だ。

   主人公・古山裕一(窪田正孝)の少年時代を子役の石田星空(いしだ・せら)が演じているが、舞台が福島の老舗呉服問屋とあって福島弁が縦横に飛び交っている。他県の視聴者からは「何を喋っているのかわからん。標準語の字幕をつけろ」という声がある一方、福島弁ネイティブの人からは「使い方が違うっちゃ」という声もあり、ネット上では「♯エール 福島弁」のフラッグが立ち、盛り上がっている。

  • 「エール」(NHKホームページより)

  • 「エール」(NHKホームページより)

「生まれたべー!」じゃなくて「生まっちゃぞー!」なんだよな

   中でも論議が起こったのが「ずぐだれ」という言葉。もともとは山形県置賜(おきたま)地方(編集部注・山形県内陸部南部で福島市と接している)で使われている方言で、「だらしない」「いくじなし」という意味だが、どうやら福島市の一部(置賜町)でも使われていたらしい。福島弁ネイティブの人の間で、こんな驚きの声が。

   「『ずぐだれ』って初めで聞いたんだげんちょも、調べだら置賜あだりの言い方なんだない。ほだの福島市で使っだごどねがっだぞい」

   「はい、初めて聞きましたね。置賜町辺りで使ってた言葉なんですね。じゃ福島の中でも都会の言葉だったってことだべが。使ったごどねがったもんない」

   「福島市の置賜町をご存知とは、福島市民でなければ通ですね!置賜町の辺りから、置賜地方(山形県米沢方面)への道路が始まったことから、置賜町という名前が付けられたと昔聞きました」

   もう1つ議論になっているのが、主人公の父親役・唐沢寿明の福島弁がイマイチであること。赤ちゃんが生まれた時に発した言葉が間違っているということらしい。

   「唐沢さんの福島弁がイマイチなんだよなあ。『生まれたべー!』じゃなくて、 生まっちゃぞー!なんだよな」

   「『生まれだ!』だと、『たった今我が子が生まれました』と言う喜び感情を感じないだよね。過去形に感じる。『生まっちゃーーー!!』ぐらいのセリフを唐沢寿明に言わせて欲しかった」

   「そのとおり。あそこでは『だべ』じゃなくて『はぁ』の方が福島弁ぽいかな。『生まれだハァああああ!!』かな」

毎朝エール見でっど「行ってぐっからなあ」となまっちまう

   いずれにしろ、福島弁ネイティブの人々にはうれしい「エール」のようだ。

   「『調子乗っでるがら』も福島弁では『おだっでっがら』が正しい。でもこれじゃ、字幕が必要だね」

   「福島弁が注目されているのは嬉しいです。方言に挑戦なさる出演者さんには頭が下がります。ただ、『ずぐだれ』とか『生まれたべー!』など地元民が使わない単語・用例が出てくること、『〜だない(=〜だね)』『〜だぞい(〜だよ)』という最も重要なニュアンスの語尾が現時点でほぼ見られないのが不満です」

   「今日のエール。どこ行ってたの?→どこさ行っでだの? 壊したら→ぼっこしたら。そんな大きな声出さないで!→そっだでかい声でしゃべんなで!。子役ちゃんたちの福島弁は上手だけど、大人のセリフがなあ」

   また、こんな意見もあった。

   「朝ドラ見てから出勤すんだけんちょも、毎朝これみでっど、なまっちまう。行ってぐっからなあ、と」(テレビウォッチ編集部)

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