短角和牛のうま味凝縮 生ハム「セシーナ」発売 岩手「肉のふがね」スペインから製法学ぶ

いわて短角和牛のセシーナを披露する府金社長

 精肉・加工品販売の「肉のふがね」(岩手県岩手町)が、いわて短角和牛を用いた生ハム「セシーナ」を29日発売する。岩手の貴重な地域資源を生かした商品。新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむスペインの恩人への感謝も胸に、地域活性化に貢献する。

 いわて短角和牛は、山々に囲まれた地形を生かした飼育法「夏山冬里方式」で育つ。セシーナの製造工程は仕入れから完成まで1年以上を要する。主にいわて短角和牛の雌を使い、岩手県野田村産の天然塩「のだ塩」に漬けた上で冷やして薫製にし、熟成させる。
 同社の府金(ふがね)伸治社長(47)は「脂の割合が少ないヘルシーな赤身肉で、豊富なうま味が味わえる。岩手の自慢の商品にしたい」と話す。無添加の牛肉熟成加工品は国内で初めてという。
 セシーナは元来、牛肉を使った生ハムを指す。スペイン北部のレオン地方を中心とした山間部が主な産地として知られる。
 府金社長は知人の輸入業者を通じて2014年、スペイン・バルセロナの食品見本市を訪れ、レオン地方の生産者が手掛けたセシーナを口にした。牛肉や塩の味に加え、草の香りが広がる。「牛が摂取した物、育ってきた環境が、味や香りに出ている」。大きな衝撃を受け、岩手ならではのセシーナ作りを決意した。
 牛の月齢、塩分濃度、熟成期間といった詳しい製法をレオン地方で学び、約2億円を投じて18年、岩手町に専用工場を建設。腐敗による廃棄など試行錯誤を経て商品化した。
 肉のふがねのセシーナは30グラム、2300円(税別)。当初の販売目標は年間の数量約300キロ、売上高2000万円程度を見込む。東北経済連合会の事業化支援組織、東経連ビジネスセンター(仙台市)が21年3月までの1年間、販路開拓に向けた市場調査やブランディングを支援する。
 販売開始が近づく中、国内外で新型コロナの感染が広がり、スペインでも2万人を超える犠牲者が出ている。府金社長はレオン地方の生産者にメールでセシーナの出来具合を伝え、外出を制限されている現地の苦境を聞いた。
 「お世話になった方々が大変な状況になっている。すごく悲しい」と府金社長。早期の終息を願い、セシーナを日本で普及させ恩返しすることが、自分の使命だと考えている。

2020年04月27日月曜日


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