空き店舗の改築工事を手伝うメンバーら=千葉県香取市で

 江戸時代に利根川の水運で栄えた千葉県香取市佐原地区。市街地を流れる小野川沿いには、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された街並みが広がる。NPO法人ルマルシェ部は、この「小江戸」と称される観光地を訪れる幅広い世代の人たちにより喜んでもらうため、若者の視点から今日的な魅力を補うべく動きだした。(小沢伸介)

 もっぱら年配者を呼び込んでいたツアーバスや、人気映画のロケ地巡りをするタイ人などの外国人観光客が、新型コロナウイルスの影響で姿を消した。代わりにマイカー利用の友人グループや家族連れ、地元の高校生が目立つようになった。

 法人代表理事の田山歩さん(33)は「東京から一時間圏内の観光地はチャンス。客層が若返ったことで、歴史的な街並みに新しい要素を落とし込んでいこうとする私たちの考えや取り組みが求められる状況になった」と分析し、苦境を前向きに受け止めている。

 「まちもどし」をコンセプトに、地域で生まれ育った幅広い業種の十〜四十代の約二十人で二月に設立。クレープ店「TAWARA(たわら)」の運営を活動の第一弾に据えるも、店を構える「さわら町屋館」がコロナ禍で休館し、開業が三カ月遅れた。

 香取産コシヒカリの米粉を生地やカスタードクリームに使い、健康志向の高まりや、アレルギー対策から好評だ。約三十種類を商品化し、「焼き芋あんバター」など地元名産のサツマイモを使った商品が人気という。玄米茶とのセットで税込み五百円。

 同時に進めているのが、パウダールーム付きの観光トイレを併設したコミュニティースペースの整備だ。JR佐原駅と街並みを結ぶ一方通行の「佐原銀座通り」沿いで、鉄骨二階建て約百三十平方メートルの空き店舗を借りた。

 田山さんは「収益は出なくても、人が集まれば何かが生まれるという考え方。新しい文化を発信するスペースとして、街の有力者の理解も少しずつ得られている。どうすれば若い子たちが来たくなる施設になるか、知恵を絞っているところ」と楽しげに話す。

 事業費では、香取市職員という本職の知恵と経験を生かし千葉県の補助金を獲得。改築は大工のメンバーが担当し、週末を中心に仲間たちが作業を手伝って内装を充実させる。来年三月までには完成する予定だ。

    ◇

<たやま・あゆむ> 1987年、千葉県佐原市(現・香取市)生まれ。カヌーのインストラクターなどを経て、2012年に同市内の農園リゾート運営会社「ザファーム」設立に参画。運営部長としてグランピングなどを手掛ける。


クレジットソースリンク