熱海温泉の土産物店=20日、静岡県熱海市で

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 業界の「救世主」、それとも感染加速の火種? 22日から始まる政府の観光支援事業「Go To トラベル」。行楽地では、多くの旅行客が訪れることへの期待と不安が交錯する。東京除外、キャンセル料補償と揺れ続ける政府方針を受け、対応に追われるホテルマンには早くも疲れの色が見られた。

 首都圏からのアクセスが良く、若者や家族連れでにぎわう熱海温泉(静岡県)。JR熱海駅近くにある干物店の後藤魁子さん(73)は「観光客が来てくれるのはありがたいが、これだけ感染者が増えていると不安も大きい」と明かす。道路に面した店先で商品を並べて販売しており、換気は問題はないが、接客にはマスクを欠かさない。「こういう商売だし、危険はつきもの。とにかく人との接触に気を付けるしかない」

 霧島温泉(鹿児島県)の宿泊施設では変更の相次いだ政府の方針に戸惑いの声が上がった。霧島国際ホテルの駒走隆志常務(63)は「十分な周知がないまま前倒しになった。問い合わせも多く、混乱している」と疲れ切った様子。需要喚起はありがたいとしながらも「霧島には高齢者が多く県外客への警戒感もある。まずは県内需要を掘り起こし、次に状況を見て隣県、九州と進めていくのが一番」。キャンペーンの範囲を少しずつ広げていくべきだと訴えた。

 函館湯の川温泉旅館協同組合の川崎研司事務局長(70)は「旅行客が来るのが不安だと言ったら観光業はつぶれる。函館は北海道内でも感染者が少なく、安全に観光できるというイメージで売り込みたい」とキャンペーンに期待を寄せる。例年夏は首都圏からの観光客が多いが、東京除外でキャンセルも出ているといい「近場に誘客のターゲットを絞るなど戦略の転換も必要だ」と話す。

 道観光振興機構の担当者は「8月に観光シーズンが終わってしまう北海道としては、早い段階で取り組んでもらえるのはありがたい」と歓迎。東京除外には「残念だが、感染が再拡大している状況では致し方ない」と理解を示した。


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