新型コロナウイルスの影響で客が激減、ホテルや旅館が深刻な打撃を受けた伊東市=同市街地で

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全国で解除され二十七日、県東部の産業界も本格的に動きだした。だが伊東市や伊豆市のホテル・旅館で観光客減による大きな損失が明らかになるなど、甚大な影響が改めて浮き彫りになっている。再度の感染拡大を懸念し、自治体からは、首都圏などからの誘客拡大を慎重にするよう求める声が出ている。(山中正義、杉原雄介、佐野周平)

 伊東市は、市内の宿泊客が減ったことによる一月中旬からゴールデンウイークまでの推計損失総額が、百十六億円に上ると発表した。日帰り客などは含まれていない上、今後の状況によってはさらに額が膨らむ恐れがある。

 伊東温泉旅館ホテル協同組合に加盟する宿泊施設の情報を基に算出した。

 市内にはホテルや旅館など六百五十三施設があり、影響を調べ始めた一月十七日〜四月三十日のキャンセル数は十六万五百九十五人、損失額は五十億円と推計。四月二十九日〜五月六日の大型連休中の宿泊客は、前年比で二十万八千六百六十人の大幅減となり、損失額は六十六億円を見込む。

 昨年は連休中に二十一万一千人程度が宿泊したが、今年は推計でわずか三千百七十六人だった。

 小野達也市長は「日帰り客や物販などを含めると総額はさらに膨らむ。しっかり事業者を支えていきたい」と危機感を募らせた。緊急事態宣言が全国で解除されたことには「新しい生活様式に従ってもらいながら客を迎える」と語った。ただすぐには以前のようには戻らないとし、「身近なところから客に来てもらう施策を考えている」と明かした。

首都圏の観光客から人気の修善寺温泉街。コロナの影響で、現在も休業が続く旅館もある=伊豆市で

◆県外客に慎重姿勢 伊豆、沼津市長

 「感染者が出るリスクを考えて、万全の態勢を整えてから再開しようという旅館が多い。まだ県外にアピールする時期ではない」。伊豆市の菊地豊市長は会見で、ホテルや旅館が性急に首都圏など県外客を呼び込むことに慎重な姿勢を示した。

 今年一〜五月のコロナの影響は「宿泊客は十七万人、日帰り客は五十万人ほど減ったとみられる。損失は五十億〜七十億円にのぼる」とした。県外客呼び込み再開の時期は、政府が全国移動を容認するとされる六月十九日を目安とした。例年は中国人客も多いが「今夏はインバウンドに全力でいくことにはならないと思う」とも述べた。

 沼津市の頼重秀一市長も「政府の取り組みや首都圏の感染状況を見ながら、当面の間は市民向けのアピールに力を入れたい」と語った。

 観光スポットとして人気の沼津港では、沼津港深海水族館が市内在住・通学者を対象に入館料を割引するフェアを開催中。市も朝市の実施を予定している。


クレジットソースリンク