少人数ずつで入店し、小分けされて並ぶ野菜などを見る利用客たち=川崎区のラーメン店「麺五六」で

 新型コロナウイルスの影響で外出を控えるお年寄りらが安心して食材を購入できる場にと、川崎市川崎区のラーメン店が土曜午後限定の野菜市を始めた。同市麻生区在住の店主夫妻が市北部の若手農家から朝採れ野菜を取り寄せて販売。週に一度の開催を心待ちにする利用客らは「野菜が新鮮。小分けして売っているので一人暮らしでも食べきれる」と喜んでいる。(安田栄治)

 十六日午後三時すぎ、降り続く雨に傘を差した女性が、二十分後の開店を待ちラーメン店「麺五六(めんごろく)」の前に立っていた。近所に住む主婦田中かつ子さん(80)。初回の四月十八日から毎回利用してきた。「新鮮な野菜ばかりなのでいろんな人に紹介した」ところ、前回は十人以上の友人が先に来店し「欲しいものがほとんど買えなかった」という。

 この日は一番乗りで、持参したバッグをいっぱいに膨らませた。「麻生のキュウリ、ホウレンソウに、もち米も買った」。麻生区に姉がいるが、遠出を控えて会えずにいる。麻生の香りに、笑顔になった。

 「麺五六」を経営するのは小野貢一さん(39)とさくらさん(44)夫妻。二人は、大規模災害時に避難所からあふれた帰宅困難者や外国人観光客などに、市内の飲食店など十店舗以上の協力で食事などを無料提供する活動「まごころキッチンプロジェクト」を主催している。

 新たな野菜市は「かわさき7の市」。買い物客が集まる中で感染しないか心配してスーパーなどへ行けずにいる人たちも、小規模の市なら利用できるのではないかと考え、企画した。ラーメン店の営業を自粛している土曜日午後に店を活用。お客が増えてくると店内に入れる人数を制限し、密集、密接にならないよう工夫する。

 自宅から店まで市内を縦断して通うから、市内七区の食材を並べることを目標にしているが、まずは麻生、宮前区の野菜から。十六日はトマト、アスパラガス、イチゴ、ブロッコリーなど二十種類以上が並んだ。

 野菜以外の人気商品は麻生区岡上産の納豆ともち米。もち米は区内の子どもたちが田植えや稲刈りを手伝って収穫したもので三百グラム百円、一キロ三百円とお値打ちにした。

 さくらさんは「お年寄りは新鮮で安心して食べられるものを求めています。感染を心配する状況が続く限り野菜市を続けていきたい」と話している。

 「麺五六」の住所は川崎区田島町一二の六。市バス停留所「小田栄」のすぐそば。次回開催は二十三日午後三時半~同五時。品物がなくなり次第終了する。


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