・世界遺産・富士山が眺められる東京のスポットを厳選

・東京から富士を見るなら冬場(12~2月)の午前10時までが最適

・専門家が撮影した「ダイヤモンド富士」「橋脚富士」「額縁富士」

かつて東京は至る所で富士山が見えた

円錐型で均整のとれた山体は美しくも雄大。日本の最高峰たる存在感ゆえ、古より信仰の対象として根付いている霊峰「富士山」(標高3776 メートル)。2013年、ユネスコの世界文化遺産に登録され、訪日観光客向けのツアーも多く組まれるなど、海外でも知名度が高まっている。

浮世絵師の葛飾北斎や歌川広重は、江戸から見た富士山の絵を数多く描いている。そして、都内に「富士」がつく地名が多く残っていることからも、一昔前は東京各所から富士山を望むことができたのが分かる。しかし、高層ビルが多く建ち並ぶ現在、それは難しくなった。東京23区内で、今でも富士山を望めるスポットはどこか? 「富士山遠望鑑定士」の田代博さんに、とっておきの名所をピックアップしてもらった。

若洲海浜公園(江東区

恐竜のようなダイナミックな橋梁(きょうりょう)のデザインと、展望の良さで知られる東京ゲートブリッジ。若洲海浜公園からは、その橋脚ごしに富士山を眺めることができる。この構図は、葛飾北斎「富嶽三十六景」の一つ、「深川万年橋下」にも見られる「橋脚富士」と同じ。2月と10月の年2回、日没が富士山頂に重なって「ダイヤモンド富士」となる。

公園が広いため、橋脚と富士山の配置をあれこれ思案しながら場所を移動できるのが楽しい

「ダイヤモンド冨士」の日は大勢のギャラリーで賑わうが、広い若洲海浜公園なら撮影スポットの確保はそれほど難しくない

東京スカイツリー(墨田区)

2012年に開業した東京スカイツリーでは、東京の建造物における最高地点から富士が堪能できる。都内から富士山を美しく見るためには、午前中できれば10時頃までが適している。そのため、営業が午前8時からという点も富士山マニアには嬉しい。

富士山の南東側山腹にある側火山、宝永山もはっきり見える

富士山頂の幅よりややオーバーした、スカイツリーからのダイヤモンド富士。横浜のランドマークタワーなどから望むと、山頂に太陽がぴったりと収まって美しいのだが

東京都庁(新宿区)

その国の最高峰を首都から拝める国は世界の中でも珍しい。東京都庁の無料展望室は、外国語の眺望ガイドツールも利用できるため、訪日観光客も多く訪れる。なお、富士が見やすい南展望室は、201891日から2019年春頃までリニューアル工事のため休室となる。

都庁からの壮大な富士山。東京から富士を眺めるなら、気温が低く、見通しが利く冬場(12~2月)がおすすめ

タワーホール船堀(江戸川区

大規模なイベントやコンサートに対応したホールと、高さ115メートルの展望室を持つタワーが併設されている江戸川区の施設。船堀駅から徒歩1分とアクセスが良いのに、あまり知られていない富士見の穴場だ。手前に高速道が走り、大東京の高層ビル群が連なる奥に富士山がそびえ立つ。

巨大都市・東京と富士山の関係を象徴的に示した構図といえる

羽田空港(大田区

国際線旅客ターミナルの5階展望デッキ「富士見台」から望むことができる。丹沢山系の大山の稜線に重なり、さらに天に伸びるような富士の景観は独特。羽田から入国する訪日観光客や海外から帰ったばかりの日本人が、すぐに富士山を眺められ、日本到着を強く実感できる貴重な場所だ。

モノレールが走るタイミングに写すと、さらに味わい深い

キャロットタワー(世田谷区

都心部から少し離れ、西寄りに位置するため、遮る建物がないのが特徴である。富士の真下に見えるのが、丹沢山系の最高峰にして神奈川県の最高峰でもある蛭ヶ岳(標高1673メートル)。その真上に富士山がのぞく。ダイヤモンド富士も可能。

丹沢山系のどのピークが手前に来るかを観察すれば、富士山マニアは撮影した方角を把握できる

成城・富士見橋(世田谷区

小田急線に架かった2つの橋、富士見橋と不動橋は世田谷百景に選ばれている名所。富士見橋に設けられたフレームを使って、写真のように切り取った富士山を「額縁富士」と呼ぶ。都内にあるのはここだけだ。

この写真のように撮影できる場所は限られているので、事前に場所取りが必要(2人程度のスペース)

不動橋から富士を眺める人たちを額縁におさめつつ、ダイヤモンド富士を撮影

江戸時代の浮世絵師で、富士見のパイオニアでもある葛飾北斎が「富嶽三十六景」で描いたように、眺める場所で変化する富士山のさまざまな表情を見出すのが楽しい。今回紹介したスポットに足を運びながら、天候などで目にすることができない場合もある。がっかりせずに、ぜひ何度も挑戦してみてほしい。

写真提供=田代 博
(1950年、広島県生まれ。日本地図センター相談役。山岳展望図の作成、富士山が見える地域の図化などをライフワークとする。富士山に関する著書も多く、富士山遠望鑑定士として、多数のメディアに登場している。http://yamao.lolipop.jp/

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