「袋田の滝」に続く仲見世通り。観光客の姿はほとんどみられない=大子町袋田で

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国の緊急事態宣言が三十日の期限で解除されることが決まり、茨城県内の観光地では秋の行楽シーズンに向けた準備が始まった。宿泊施設や飲食店を訪ねると、客足の復活に期待が高まっている半面、自粛要請が解かれることによる感染の再拡大を心配する声も漏れた。(出来田敬司、長崎高大)

 八月六日から閉鎖されている国名勝「袋田の滝」に続く川沿いの仲見世通り。観光客の姿はまばらで、有料駐車場には利用禁止のロープが張られる。みやげ物店の軒先では、十月一日から再開する滝の一般開放を前に、商品にかぶったほこりを落とす店員の姿が見られた。

 「滝の再開はありがたい」。旅館「豊年万作」を経営する阿久津博史さん(51)は喜ぶ。八月下旬から休館を強いられているといい、「予約のお客さまに休館の連絡をするのがつらかった」と打ち明ける。十月から再開される県の宿泊補助事業「いば旅あんしん割」が「観光復活の動機づけになってくれれば」と力を込めた。

 定食屋「川ふじ」の田沢静枝さん(67)は「期待と不安で半々かな」とぽつり。滝の閉鎖中も営業を続けていたが、地元のなじみ客が感染を恐れ来店を控えることもあった。「これからは紅葉とリンゴ狩りでお客さんは増えるかも。ただ感染が広がるのは怖いね」

 みやげ物店と郷土料理店を兼ねる「滝本屋本店」専務の小室圭佑さん(38)は、再開後のV字回復には懐疑的だ。滝の閉鎖中、飲食の提供は取りやめ、お菓子などの販売にとどめてきた。「団体旅行のバスはすぐに戻らない。もうコロナ以前の水準には戻らないのではないか」と嘆く。

 県有数の観光地の大洗町では、アクアワールド県大洗水族館や大洗マリンタワー、大洗キャンプ場などの施設が緊急事態宣言の期間中、ずっと休業していた。町商工観光課によると、海水浴客などで最もにぎわう八月に宣言が重なったことで、観光業は昨年並みの不振が続いているという。

 大洗観光協会長で「割烹旅館 肴屋本店」代表の大里明さん(44)は「国の補助などを見越した宿泊予約がすでに入り始めている。秋以降は以前の観光客数が戻るといい」と願いながらも、「感染の再拡大はやはり怖い。宣言が明けても感染防止対策は緩めず営業を続けるしかない」と一抹の不安を口にした。

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