大型連休の期間に入り、ツイッターなどのSNSには、人の多いスーパーや観光地の様子が、連日のように書き込まれています。

ひょっとして今、3月下旬にも指摘された感染への警戒感の“緩み”が起きているのではないか?

ビッグデータを分析して、各地の人出を詳しく調べてみました。(社会部記者 齋藤恵二郎、ネットワーク報道部ディレクター 森田将人、田中元貴)

※この記事は、令和2年5月1日時点の情報で書かれています。

ビッグデータ分析 人が増えた場所を調べてみた

携帯電話の位置情報を基にした、人出や人の流れのビッグデータ分析。

4月7日に初の緊急事態宣言が発表された後、都心などを訪れる人の数はどれだけ減っているのか。

通信大手各社のデータを基に分析が行われ、今は内閣官房のホームページにも、主要地点のデータが毎日掲載されています。「●●駅周辺 ○%減」といった数字を見たことのある方もいるのではないでしょうか。

このビッグデータ分析による人出の推計。

NHKも、IT関連企業のアグープが携帯の利用者の許可を得て集めた位置情報のデータを基に、個人情報を特定しない形で独自に行っています。

大きな特徴は、主要地点だけでなく、関心がある場所も詳しく分析できることです。今回は、5連休を前に、首都圏ではどこで人が増えているのか、徹底的に調べてみました。

都心では「自粛」による人出の減少続く

この図は、東京都心周辺の、土日の人出の分析を可視化した地図です。

緊急事態宣言発表前の4月4日、5日と、4月25日、26日の平均を比較しています。オレンジは増加。青は減少。色のついていないところは人が少なく増減を出せない場所です。

東京、渋谷、新宿といったターミナル駅を中心に、人が減っているのがわかります。

このうち、まばらな人の様子が連日のように紹介されている、渋谷のスクランブル交差点付近の人出を、2月中旬から4月29日まで見てみます。

4月25日からの土日は、最も多かった土日と比べると83%減少していました。繁華街では、自粛の傾向が続いていると言えそうです。

人出が増加する巣鴨 「ステイホーム週間」の効果は?

多くの場所を分析すると、人出が減っていなかったり、逆に増えていたりする場所の特徴も見えてきました。

「買い物」に行く場所です。

その1つが、日常の買い物に使う商店街。東京の多くの商店街で、人出があまり減っていませんでした。

このうち、人出が増加していたのが、東京 豊島区の巣鴨。高齢者が集うことで有名な商店街です。

平日、休日ともに人出が増加傾向に。特に4月25日、26日は、この2か月半で最も人出が多い週末となっていました。

東京都は、25日からを「ステイホーム週間」として、買い物を3日に1回程度に控えるよう呼びかけています。しかし、データからは、その呼びかけの効果はそれほど出ていないように見えます。

人出の増加 郊外の大型モールでも

買い物目的で人が訪れるのは、商店街だけではありません。

営業を続けている郊外型の大型の店舗でも、人がそれほど減っていない場所があることがわかりました。

千葉市内にある大型スーパーと、山梨県内のショッピングモールです。

千葉市の大型スーパーは、休日は減少する傾向にある一方で、平日は、おおむね増加していて、4月28日は、この1か月半ほどの間では、もっとも多い平日となりました。

山梨県のショッピングモールは、アウトドアなどで遠方から訪れる人も、買い出しに立ち寄るのが特徴です。4月25日には、この2か月半で2番目に多い人出になっていました。

公園のにぎわいも続く

また、公園の中にも、人出が減っていないところがあります。

住宅地にある世田谷区の砧公園です。

2月から、ほぼ横ばいの傾向が続いています。

「外出が止められていない」場所では、今も人が大きく減っていないのが、現状なのです。

ツイッターなどのSNSでは、商店街やショッピングモール、それに公園に、多くの人が集まっている様子が、相次いで投稿されています。データは、その傾向を、裏付けているとも言えます。

人出が急増の場所は? データ徹底解析

さらに今回のビッグデータ分析では、新しい試みもしました。

首都圏で、人出の増加が特に高い場所をデータで出してみたのです。東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県の休日の人出を、500メートル四方のデータで分析します。

赤で示すのが、人出が3倍以上に増加した場所、合わせて67か所ありました。

そのひとつひとつを調べてみると、どのような傾向があるのか。1か所1か所、地図と照合して調べてみました。

次が、その結果です。

特に目立ったのは、先ほども見た公園や広場の付近。

そのほかにも、海岸や港、ゴルフ場、観光地、パチンコ店がありました。

人増えるゴルフ場 「県をまたいでの移動が…」

公園と同じく体を動かす施設として増加の傾向が見られたのが、ゴルフ場です。

このうち、千葉県内のあるゴルフ場に話を聞きました。

緊急事態宣言の後も、日によっては大きく人出が増加していました。特に4月26日の日曜日は、この2か月半で休日として最も多くなりました。

運営する会社に取材すると、最近の週末は、天気がいい日も多く、実際に人が増える傾向にあるそうです。

レストランや入浴施設は閉鎖するなど感染対策は強化していますが、不安もあると言います。

ゴルフ場の担当者
「ゴルフはシーズンに入り天候がよい日には利用者が多くなります。施設内では“密”になる可能性のある場所は封鎖するなど、対策を徹底しているつもりですが、大型連休は、特に県をまたいでの移動が増えるのではないかと思い、心配な点もあります」

専門家の指摘 “1つの密でもリスクあり”

このデータ分析の結果を、専門家はどのように見るのでしょうか。感染症に詳しい水野泰孝医師に聞いてみました。

水野さんが指摘するのは、多くの人が、外出する先にも気を使っているように見えるということです。

水野泰孝医師
「人出が増えている場所が、公園などの屋外が多い。それは、多くの人が、屋内で起きる密集、密閉、密接の“3密”を避けるように気を使っているからではないでしょうか」

では、どういった点に注意すればいいのか。

水野さんが懸念するのが、「“3密”でなければ大丈夫」という思い込みだといいます。

水野医師
「『3密を避ける』という当初のことばが、自粛の長期化に伴って、『3密でなければリスクはない』という『緩い認識』に変化していることが考えられます。“3密は高リスク”、“2つの密は中リスク”、そして“1つの密でもリスクがある”と認識してください。屋外であっても、人が集まって会話をすれば、“2つの密で中リスク”となるのです。リスクを1つでも少なくするよう、行動を変えることが必要です」

「大型連休だからこそ、注意を」

さらに、水野さんは「大型連休だからといって、少し無理をしてしまう行動」は避けてほしいと話していました。

水野泰孝医師
「例えば、少し足を伸ばした公園では、『遊具が混んでいるけど、せっかく来たんだから遊んで帰ろう』と考えてしまいがちです。買い物でも、同じようなことがあるかもしれません。家を出る前に、『混んでいる所には近づかない』と、家族で“密のリスク”を減らす約束ごとをきちんと決めておくことで、行動を変えやすくなると思います」

社会部記者
齋藤恵二郎

ネットワーク報道部ディレクター
森田将人

ネットワーク報道部ディレクター
田中元貴

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