浸水した亀戸天神社近くの通りの様子を収めた絵はがき(「絵葉書で見る江東百景 大洪水」から)

 水に漬かる亀戸駅や亀戸天神社−。江東区は、「明治43年の大水害」として記録される、1910年の台風による被災を伝える絵はがき26点を掲載した「絵葉書(はがき)で見る江東百景 大洪水」を刊行した。2019年秋の台風では、区に接する荒川も氾濫の危険があったとされる。水害の歴史を知り、区民に認識を深めてもらおうと「大洪水」を取り上げた。 (井上靖史)

 同区は関東大震災(一九二三年)や東京大空襲(四五年)に遭い、戦前の資料をほとんど所有していない。半面、区民から託される古い道具類の中に、戦前の様子を収めた写真付き絵はがきが交じっていることがあるという。区によると、絵はがきは当時、身の回りで起きた事件や災害を伝える庶民のツールだった。

 区は、収集した絵はがきを通して区の近代の景観を知ってもらいたいと考えて「絵葉書で見る江東百景」と題した冊子をシリーズで出してきた。これまでに深川公園や花の名所、関東大震災などを扱っており、五冊目の今回は「大洪水」をテーマにした。

水害の絵はがきを集めた冊子

 明治四十三年八月の大水害では、関東を中心に堤防決壊などが相次ぎ、市街地も浸水。旧東京府だけで少なくとも死者四十五人、行方不明者七人など深刻な被害があったとされる。

 掲載されている絵はがきでは、大人の男性の尻くらいまで浸水した亀戸天神社前の様子や、ひざくらいまで浸水しているホームに汽車が立ち往生している様子を収めた写真もある。区の担当者は「特にこの場所だけが浸水したわけではないと思う。庶民が足を頻繁に運ぶ場所や、観光地のため撮影対象になりやすかったのではないか」と言う。

 豪雨災害に警戒が必要なのは現代も同じ。区の担当者は「水害と闘ってきた歴史を多くの人に知ってもらい、意識喚起にもなれば」と話している。

 「絵葉書で見る江東百景 大洪水」は、A4判で十六ページ、五百円。区役所などで販売している。

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