「再度の緊急事態宣言」は前回以上に消費に悪影響も? 経済アナリストがデータから読み解く

新型コロナウイルス感染症の拡大によって2020年は激動の1年となりましたが、今年も当面は新型コロナウイルスの影響は避けられそうにありません。今月1月7日に菅総理大臣が東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を出しました。家計にはどのような影響があるか、前回の緊急事態宣言時のデータを見つつ確認していきましょう。

緊急事態宣言前から消費意欲は減退

内閣府が発表した「消費動向調査」のなかで公開されている消費者態度指数を見てみると、前回の緊急事態宣言が発令されたときは4月に大きく急落しています。このときは発令前の3月から下落し、4月にさらに大きく下落。宣言が延長された5月は反転するという動きを見せました。3月の時点で国内でも新型コロナウイルス感染拡大への警戒感が高まり、下旬には東京都で外出自粛要請が出たことで雰囲気が変わったのは記憶に新しいでしょう。

今回も緊急事態宣言が発令される前月の12月に下落していますが、やはり第3波が一向にピークアウトせず、かつ「Go To キャンペーン」の停止などがあったことも影響していると考えられます。ちなみに、最新月の12月の消費者態度指数は前月から1.9ポイント減少し、4ヶ月ぶりに低下となりました。

内訳をみると「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」のいずれの意識指標も低下しています。今回の緊急事態宣言によって消費者態度指数が昨年の4月ほどまで落ち込むのかに注目が集まります。

在宅勤務は所得に影響を与える

感染を避けるために外出を控えることで消費が冷え込むのはもちろんですが、消費の原資となる収入の減少も1つの要因と考えられます。厚生労働省が発表した「毎月勤労統計」によれば、基本給や残業代を合わせた現金給与総額は昨年4月から8ヶ月連続で前年同月比マイナスとなりました。

在宅勤務によって残業時間が減ったということが大きいのですが、コロナ禍における企業業績の悪化などを考えれば、今後も給与は減っていくことが予想されるため、いつ収束するかわからない新型コロナウイルス感染症を前に、消費者の財布のひもはますます堅くなっていくでしょう。

Go To キャンペーンの効果もなくなる

さらに「Go To トラベル」や「Go To Eat」など、いわゆる「Go To 事業」の中止も消費には逆風となります。そもそも、これらの事業は旅行業や観光業、飲食業界を支援するための制度ではありますが、見方を変えれば消費を後押しする施策であるわけでもあります。

個人的には実施前の期待感に比べれば、それほど大きな効果がなかったと判断しているのですが、それでもGo To 事業によって外食や旅行・宿泊にお金が使われたのはデータからも読み取れます。

特に外食産業は前回の緊急事態宣言発令時よりも状況が厳しくなる可能性が高いと考えます。昨年はゴールデンウィークや年末年始といった本来は稼げるときに稼げなかったため、これまでに貯めこんでいた預金や、借入金でなんとか持ちこたえているものの、年明け早々に緊急事態宣言が発令されたことで、弱り切ったところにさらに下押し圧力がかかることになります。

今回は自粛に従わない場合は店名を公表される可能性も報道されており、現時点で報道されている補償内容では足りないでしょう。

そもそも買い物をしなくなりつつある

最後に、お金を使った場所について見てみましょう。約100万会員の匿名クレジットカード決済情報を基にジェーシービー(JCB)とナウキャストが算出した、現金を含む消費全体を捉えた消費動向指数「JCB消費NOW」を使用します。まずは小売業態で見てみると、昨年の緊急事態宣言が発令されたときは百貨店が大きく下落し、一方で住宅街にあるスーパーには追い風となりました。

コンビニエンスストアは住宅街の店舗はスーパー同様に好調でしたが、一方でオフィス街や観光地の店舗が不調だったため、結果として全体では前年とそこまで変わらない結果となっています。しかし、9月頃から業態に関係なく3業態ともに減少傾向にあることがわかります。この流れがあるなかでの緊急事態宣言の発令ですから、これらの業態はどれも厳しい経営環境が待ち受けています。

飲食関連に目を移せば、昨年の緊急事態宣言の発令時は喫茶店・カフェ、居酒屋、ファミレスが一気に落ち込む一方で、宅飲み需要から酒屋に追い風が吹くという事態になりました。

しかし、この数ヶ月は小売業態同様に飲食関連でもすべての業態が減少傾向にあります。私たちは普段は企業で従業員として働き、給与をもらいそれを消費にあてているわけですから、このように小売業や飲食業で使われるお金が減れば、まわりまわって給料が減ったり雇用が不安定化するなどの影響を受けます。

私たちはどう家計を守っていくべき?

今回の緊急事態宣言は前回よりも制限がかかる範囲が狭いとの指摘もありますが、前回以上に弱っている状態での発令は企業、家計両方に強い逆風となるでしょう。

状況次第では早めに宣言を解除する可能性もあるとのことですが、しばらくは気温や湿度が低いことを考えれば、むしろ昨年同様に宣言が延長される可能性も高く、消費減税や給付金など他国でもとられているような政策が実現しないようであれば、かなり暗い見通しを持たざるを得ません。

私たちができることといえば、家計の見直しや節約ぐらいしかありませんが、比較的お金に余裕がある人たちはつみたてNISAやiDeCoを利用した毎月の積立投資を着実に続けましょう。

経済情勢が不安定になってくると積立投資をやめてしまう人が続出しますが、一度決めたら淡々と続けていくことが重要です。また、最近では仮想通貨が急騰しており、ついつい目が向きがちですが、投機は身を滅ぼします。将来の資産形成をするための投資であるならば、目移りしないことも重要です。

執筆者:森永 康平

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