観光需要の喚起策「Go Toトラベル」について、政府は、10月1日からこれまで対象から除外していた、東京都内への旅行と都内に住んでいる人の旅行を対象に加えることになりました。東京との往来の増加につながる今回の措置。全国有数の観光地、北海道の人たちはどう受け止めているのでしょうか。 

「Go Toトラベル」とは

「Go Toトラベル」は、旅行代金を割り引く形や、観光施設や土産物店、それに飲食店や交通機関などで使えるクーポンを発行する形で実施されています。具体的には、旅行代金の35%分が割り引かれ宿泊旅行の場合、1人1泊あたり1万4000円が割引額の上限です。利用回数に制限はなく、自治体が独自に行うキャンペーンと合わせて利用することもできます。旅行業者や宿泊事業者にとっては、収益の回復が期待できるいわば起爆剤です。

札幌では複雑な声が

一方で、感染の拡大が続いている東京との往来の増加につながることから、札幌の人たちからは複雑な声が出ています。「来てくれるのは全然、北海道の経済が回るからいいんですけど、ただやっぱり、“密”になるところが増える」と話したのは21歳の女性大学生。70代の女性も「Go Toトラベルを使って、東京に旅行に行きたいと思いますか?」と尋ねたところ、「もうちょっと、もちょっと、収まってきたら行きたいなと思っています」と慎重な意見でした。また、ホテルに勤務するという人もの中にも、ある人は「もっと東京の人が来てくれると、ホテル業界も観光業も盛り上がるからありがたい」と期待の声がある一方で、「微妙なところですよね。時期が時期なので」と単純に歓迎とは言えない心境を話してくれました。

あてにするしかない宿泊業界

それでも札幌市内のホテルでは、「Go Toトラベル」をあてにするしかないというのが実態です。
札幌市中央区のホテル「ビジネスインノルテ」では、10月から、シングルの部屋に宿泊する場合、土曜日や祝日の前日を除いて、1泊あたりの割り引き後の価格が2200円あまりとなる格安プランの販売を始めました。
このホテルでは、これまでも「Go Toトラベル」の商品を低価格で販売してきましたが、8月の稼働率は、50%ほどにとどまっています。このため、東京発着の旅行にも対象が拡大すれば、宿泊客の増加につながるとして期待を寄せています。
ホテルではこれまで、宿泊客に健康状態を調べるシートへの記入を求めるほか、レストランの座席の数も半分に減らしたり、希望者は部屋で食事ができたりするなどの感染対策に取り組んで来ました。宿泊客が増えることを見込み、さらに対策の強化を検討するということです。

ビジネスインノルテ佐々木智保子支配人
「少しでも宿泊客が戻ってくるのなら、大きなことだと思います。感染対策を強化しながらおもてなしの気持ちで迎えたい」

新型コロナウイルスの影響で、厳しい状況に追い込まれている観光業界。その一方で、全国の中でもいち早く感染が拡大したという記憶がまだ鮮明な北海道の人たち。観光産業が主力の北海道で、感染拡大の防止と経済活動の両立をうまく図ることができるのか、「Go Toトラベル」の対象に東京発着の旅行が加わる今回の機会は、1つの試金石となりそうです。

2020年9月18日放送

記者 吉村啓

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