会見に臨む菊間潤吾氏(一般社団法人日本旅行業協会 会長/株式会社ワールド航空サービス 代表取締役会長)

 JATA(日本旅行業協会)は8月5日、新会長に就任した菊間潤吾氏が会見を開いた。

 前会長の坂巻伸昭氏の逝去に伴うもので、任期は2022年6月中旬開催予定の定時総会まで。菊間氏は1975年にワールド航空サービスに入社、1996年から同 代表取締役社長、2013年から同 代表取締役会長を歴任しており、JATAでは2012年から2年間、会長を務めた経験を持つ。2017年からはJOTC(JATAアウトバウンド促進協議会)の会長も兼務している。

 新体制は、会長に菊間潤吾氏(海外旅行担当)、副会長に髙橋広行氏(JTB 取締役会長、国内旅行担当)、小谷野悦光氏(日本旅行 代表取締役社長、訪日旅行担当)となる。

会見詳細

 以下、会見での菊間新会長の就任あいさつと今後の取り組みについての発言をまとめる。

「私自身、異例の再登板となるが、この難局を三役や理事の皆さんとともに乗り越えていきたい。旅行業界にとってこの1年は厳しいときだが、まずは旅をする人と受け入れる人の安心安全を確保することが最重要と考えている。

 最近(4月~5月)の旅行取扱額を見ると、2019年比で85~90%減と厳しく、存亡の危機である。JATAは大手旅行会社の集まりという認識を持っているかもしれないが、正会員1135社のうち70%以上が従業員20人以下の企業であり、100人以下が93%を占めている。経営的に見るとこの1年が正念場。

 現在、国はワクチンの摂取率を高めることに務めているが、我々はこれを唯一の機会と捉えている。年内に集団免疫を獲得すること期待している。海外の例を見てもワクチンがゲームチェンジャーになるのは間違いない。

 コロナ禍では人流抑制の一点張りと感じられるが、ワクチンパスポートによって国際交流が再開し、国内でも行動制限が解除され、社会経済活動が日常に戻ることを要望していきたい。

 国際交流に関しては、半年後の再開をメドにみているが、その障害となる14日間の隔離や感染症危険度レベルなど、国際的な視点を持ち、日本だけが取り残されることのないように働きかけていく。

 海外旅行が2019年の50%に戻るまでにはかなり時間がかかる。そのため旅行会社は国内旅行に依存することになるので、Go To トラベルを早期に再開してほしいと願っている。昨年のGo Toの数字からみて、国民が理解できる制度設計に取り組み、長いタームでの実施を期待したい。

 訪日旅行に関しては2019年まで順調に伸びていたが、JATA会員の取扱額で見ると全体の20%に過ぎない。再開を迎えるに当たって、安心安全のために管理型ツアーが求められる。JATAには『Tour Quality Japan(ツアークオリティジャパン)』という組織があり、本当に日本のよさが分かる質の高い訪日ツアーを正しくリードしていくことで、世界に我々の存在が認知されるように伸ばしていきたい。

 コロナ禍で1年半近く観光が止まってしまった。その間に観光が地域経済にとっていかに重要なものであるか、旅が人にとってどれほど重要なものであるか再認識した。観光が止まっている間に、世界中が立ち止まって見つめ直す時期にもなった。観光に対する世界の意識が変化していることを認識し、コロナ後のサステナブルトラベル・セーフティトラベルへのシフト、地域活性化の強化が求められる。

 これは旅行会社が社会的役割を果たし、存在価値を高めるチャンスでもある。代理店的手法からの脱却、従来的なビジネスモデルから変化し、コロナ後の諸問題を積極的に解決するよう主体的に取り組む覚悟を持つこと、これにより旅行会社の存在感を示すことが必要で、長年の課題である低収益構造からの脱却にもつながると考えている。

 再開までの時間は限られている。各社の観光の再開、経営を復活させたいという気持ちは理解できるが、新しい時代に即した旅行の造成のため、JATAも尽力したい」

 菊間氏の話にもあるように、国際交流の再開には外務省による感染症危険度レベルや日本帰国後の防疫措置が大きな障害になっている。氏は「半年後をメドに国際交流を再開」と挙げたが、レベルの引き下げやツアー造成のタイミングなど、この先半年のロードマップについて、JATAはどう見込んでいるのか。

 この本誌からの質問については、「オリンピックが終わったくらいに政府がロードマップを示してくれるとありがたい。各国の例を見ると、ワクチン摂取率が4割くらいになるとロードマップの作成を行なっている。日本では現状から見ると、秋にはそのくらい(4割超え)になるのではないか。

 集団免疫が年内に実現して、年内に再開すればうれしいが、年明け第4四半期には海外旅行が再開するとみている。壁となっている14日間の問題、感染症危険度レベルの問題、これに関しては正直我々はどうなればレベルが引き下がるのか分からない。これは国がジャッジすること。

 ただ、諸外国と話をしているなかで、『我々の国は摂取率が何割になれば、感染者数がどのくらい減ればレベルを下げてくれるのか』『どういう数字を示せばレベル3が2に、レベル2が1になるのか』という声を聞いている。指標があれば日本との国際交流再開のために計画が立てられる。航空会社も機材繰りや便数計画を立てられる。しかしそういうものが示されていない。

 政治力でお願いをすると、ユニークカントリー扱いされてしまう恐れがある。国に対しては明確さを示してほしいと考えている。

 いつごろ現地に視察団を送り込めるか。国によってセーフティトラベルに対する構え方が違う。スマートフォンにアプリを入れさせて管理している国もある。観光庁の示すガイドラインもあるが、それを超える仕組みがある場合、現地に行ってみなければ分からない。

 実際に、トラベルバブルで旅行を再開している国のなかでは、旅行の申し込みが殺到したにもかかわらず、旅行後の口コミを見てキャンセルが相次いだ例がある。例えば、コロナ前と同じ感覚でビーチリゾートに行ってみたら、感染症対策が厳しすぎて『ビーチでリラックスというレベルではなかった・こんなときにいくもんじゃない』という声が上がった。

 こんな不幸な形にはしたくない。現地がどうなっているかを視察団を通じて勉強して、ツアー造成はそれに見合った日程の組み方をしなければならない」と回答した。


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