たった10日間でも「7月のGo To」の効果は出ていた


「9月の4連休に有馬温泉に行こうとしたら、どこも一杯。高額な宿が多いから空いているだろうと思ったのですが」


著名なエコノミストはこう苦笑する。国土交通省が7月から始めた「Go To トラベル」の効果だ。


観光庁が9月11日に発表した7月の「旅行業者取扱額」によると、国内旅行は前年同月比78.4%減の492億円。1年前の2282億円の5分の1だった。それでも緊急事態宣言で人の動きがピタリと止まった4月の93.6%減や5月の96.6%減、6月の87.9%減と比べると急速に改善している。ちなみに海外旅行は4月以降98~99%のマイナスが続いたままだ。


写真=時事通信フォト

政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」開始から1カ月となる8月22日、東京・羽田空港の出発ロビーは、8月の週末にもかかわらず閑散としていた。


国内旅行が戻してきたのは当初「8月の早い時期」としていたGo To キャンペーンを7月22日からに前倒ししたことが大きい。


新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていた段階で、東京都発着を除外してまで強引に実施したが、その10日分だけでも旅行業界にとっては干天の慈雨となった。最大手のJTBグループの7月の取扱額は71.0%減まで持ち直した。8月、9月は「Go To トラベル」効果でさらに減少幅が急速に縮小していくことになりそうだ。


「金持ち優遇」の政策ではないかという批判


だが、そんな中で恩恵を受ける宿泊施設や旅行者に「歪み」が目立っている、という指摘が出ている。


中国新聞デジタルは9月15日「GoTo恩恵、宿泊施設間に格差 お得感強い高級宿に人気集中、ビジネスホテルは閑古鳥」という記事を掲載。山口県や広島県の老舗旅館が「ほぼ満室」だという経営者の声を紹介。一方で、「低価格帯の中小宿泊施設。特に出張が減ったビジネスホテルは閑古鳥が鳴いたままだ」と指摘していた。宿によって大きな格差が生じている、というのだ。


利用して恩恵を受ける旅行者にも「歪み」が出ている。高級な旅館やホテルを利用できる富裕層ばかりが得をしている、という批判だ。国内宿泊やツアー代金の35%分が割引になる他、15%分の地域共通クーポンも支給されるようになる予定だ。1泊ひとり最大2万円が補助されるので、4万円高級旅館・ホテルが最もお得ということになる。


だが、新型コロナが経済を直撃している中で、そうした高級旅館に泊まれるのは生活に余裕のある人たちだけ。「金持ち優遇」の政策ではないか、という声も聞かれる。もともと「Go To キャンペーン」自体が、政府の補助金を「呼び水」にしてお金を使ってもらうというのが狙い。1兆円あまりの予算を政府が支出して、それが2兆円、あるいは3兆円の経済波及効果を生むことを期待している。もともと富裕層が恩恵を被ることが想定されている。それでも庶民感覚からすれば、利用できるのは金持ちばかり、ということになる。



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